2019年10月17日

●「インボイス制度を知る必要がある」(EJ第5110号)

 消費税の「インボイス」について考えてみます。高橋洋一氏の
著書を参考にして説明します。そのためには、モノを売る業者が
どのようにして、消費税を納めるのかについて、理解する必要が
あります。消費税は10%として考えます。
 ある商品を仕入れて売る場合を想定します。8000円で仕入
れて、10000円で売るとします。商品を仕入れるとき、消費
税を10%支払います。800円です。そしてその商品を売ると
き、買い手から10%の消費税を受け取ります。10000円が
売値ですから、消費税は1000円です。
 さて、この業者は、消費税をいくら支払うのでしょうか。
 それは、売ったとき受け取った消費税1000円から、仕入れ
のとき支払った800円を引いて、200円を収めるのです。ま
とめると次のようになります。
─────────────────────────────
 仕入れ: 8000円×10%= 800円 消費税支払い
 販 売:10000円×10%=1000円 消費税受取り
       消費税納付:1000円−800円=200円
                      ──高橋洋一著
     『「消費増税」は嘘ばかり』/PHP新書/1174
─────────────────────────────
 インボイスというのは、消費税の税率と税金の額を明記した請
求書/納付書のことです。上記の例で、仕入れ側は800円の消
費税を支払いますが、相手側は、800円を受け取ったことを明
記したインボイスを発行します。これは、仕入れ側が800円の
消費税を支払ったことの証明書になります。これがあると、消費
税を納めるさい、販売時に受け取った消費税1000円から、仕
入れのさい支払った消費税800円を控除できます。
 しかし、日本の消費税はインボイス制度を導入しておらず、簡
易課税制度を使っています。2016年11月末に可決・成立し
た税制改正関連法によると、2023年10月から実施されるこ
とになっていますが、面倒なので、実施を急いで、実施時期を先
延ばししたように見えます。それは次の名称になっていますが、
このことを知っている人は、ほとんどいません。
─────────────────────────────
     インボイス方式(適格請求書等保存方式)
─────────────────────────────
 それでは、現行の「簡易課税制度」とは何でしょうか。
 事業者は、あらかじめ業種の登録をしておくと、消費税を納付
するさい、業種ごとに決められている「みなし仕入れ率」という
ものを使って税額を控除できます。
 例えば、一般的なサービス業は、「みなし仕入れ率」が50%
になっています。例を上げて、説明します。
 あるサービス業の事業者の売り上げが100万円だとします。
そのさい、消費税は10万円受け取っています。しかし、インボ
イスが導入されていないので、仕入れのさい支払った消費税を証
明するものがありません。そこで「みなし仕入れ率」を使って計
算するのです。100万円の50%ですから、50万円というこ
とになります。そうすると、消費税は5万円になります。5万円
が仕入れのさい、支払った消費税とみなされるのです。そうする
と、納める消費税は「10万円−5万円=5万円」になります。
 仮定の話ですが、実際の仕入れ価格が30万円であったとしま
す。そうすると、支払っている消費税は3万円です。そうである
とすると、本来は「10万円−3万円=7万円」の消費税を支払
うべきなのですが、実際には5万円しか支払っていないので、事
業者は2万円トクすることになります。これを「益税」といいま
す。まとめると、次のようになります。
─────────────────────────────
 ◎現行の消費税納付
  売り上げ:100万円/消費税として10万円受領
  みなし仕入れ額:100万円×50%=50万円/消費税
  として5万円支払ったことになるとみなす
  納付する消費税:10万円−5万円=5万円
 ◎インボイスによる消費税納付
  売り上げ:100万円/消費税として10万円受領
  実際の仕入額:30万円/消費税3万円支払い
  納付する消費税:10万円−3万円=7万円
  益税:2万円        ──高橋洋一著の前掲書より
─────────────────────────────
 上記のケースでいうと、本来国に納付されるべき2万円の消費
税が益税として事業者の懐に入ってしまうことを国として容認し
ていることになります。本来であれば、税率を上げる前にインボ
イス制度を導入すべきです。高橋洋一氏は自分はみなし仕入れ率
を使っていないとして、次のように述べています。
─────────────────────────────
 ちなみに私はインボイス方式を長年主張している手前、みなし
仕入れ率を使った簡易課税の届け出はしていません。大学教授の
仕事以外にも執筆や講演などの仕事をしていますが、サービス業
の場合は50%のみなし仕入れ率を使えます。みなし仕入れ率を
使って簡易課税にすれば、たとえば印税100万円、消費税8万
円(8%の場合)を受け取った場合、消費税は4万円程度の納税
で済みます。
 しかし実際には、執筆や講演には仕入れというものはほとんど
発生しません。だから実額で仕入れを計算して、8万円近い消費
税を納付しています。簡易課税を申請すれば、納める消費税の額
を減らすことができますが、あえて実額で計算しています。簡易
課税を使ってしまうと、「インボイスを主張している人間が、自
分は簡易課税を使って利益を得ているじゃないか」と批判される
からです。           ──高橋洋一著の前掲書より
─────────────────────────────
            ──[消費税増税を考える/008]

≪画像および関連情報≫
 ●消費増税で免税事業者が4年後に直面する本当の「大問題」
  ───────────────────────────
   消費税の税率引き上げと軽減税率の導入に伴って、免税事
  業者に問題が起きる。しかし、実は、これは「序曲」にすぎ
  ない。免税事業者にとっての本当の問題は、2023年から
  生じる。「インボイス」が導入され、消費税納税の仕組みが
  大きく変わるのだ。この問題は分かりにくい。しかし、経済
  活動に極めて大きな影響を与える可能性がある。場合によっ
  ては日本社会の根底を揺るがすような問題になりかねない。
   消費税は取引の各段階で課税される。したがって、そのま
  まだと、税額が累積してしまう。こうならないように、前段
  階でかかった消費税を控除する措置が取られる。これが「前
  段階税額控除」(あるいは「仕入税額控除」)と呼ばれる仕
  組みだ。ヨーロッパの付加価値税では、前段階税額控除のた
  めに、「インボイス」が使われている。これは、商品やサー
  ビスごとに、取引内容、税率、税額、取引金額などの法定事
  項を記載した書類だ。
   この書類に記されている消費税額を控除できる。インボイ
  スに基づかずに前段階税額控除を行うと、税務調査があった
  場合に否認される。例で説明しよう。広告会社のCが、化粧
  品会社Aのために宣伝用ポスターを製作するとする。最初に
  税のない世界を考える。     https://bit.ly/35vPZBI
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2023年から導入されるインボイス.jpg
2023年から導入されるインボイス
 
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 消費税増税を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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