2019年09月26日

●「瀬取り監視に参加していない韓国」(EJ第5096号)

 2019年9月22日付、朝日新聞の一面に次のタイトルの記
事が掲載されています。
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     ◎「瀬取り」8ヶ国監視/中国牽制の思惑
      ──2019年9月22日付、朝日新聞
 東シナ海から南シナ海にかけ、日米を中心とする計8カ国の艦
船や航空機が集結している。表向き、北朝鮮船籍に洋上で積み荷
を積み替える違法な「瀬取り」の監視を目的に揚げる。(中略)
 この枠組みは昨年1月、カナダでの北朝鮮関係外相会合で決ま
った。監視活動の参加国は「ファイブ・アイズ」と呼ばれる米、
英、豪、カナダ、ニュージーランドと、日仏韓。日本以外は朝鮮
国連軍の構成国だ。
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 この「瀬取り」監視に一番熱心に取り組んでいるのは、日本と
米国です。日米、とくに北朝鮮からの核・ミサイルを含む軍事的
脅威を直接受けている日本は、北朝鮮の完全にして、検証可能な
かつ不可逆的な方法での、すべての大量破壊兵器およびあらゆる
射程の弾道ミサイルの廃棄の実現に向けて、国連安保理決議を完
全に履行する必要があると考えて、空と海から、この取り組みに
参加しているのです。
 この監視活動に、現在、日米の他に、次の各国が、航空機と艦
艇で参加しています。
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 ◎航空機による警戒監視活動
  オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、フランス
 ◎艦 艇による警戒監視活動
  オーストラリア、カナダ、英国、フランス
  以上に日米を加えた7カ国
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 ここで押さえておかなければならないことがあります。それは
「朝鮮国連軍」(以下、国連軍)についてです。朝鮮戦争が勃発
したのは1950年6月25日のことです。これを受けて国連軍
は、6月27日、国連安保理決議第83号および84号に基づい
て創設されています。この国連軍は、現在も朝鮮半島の平和と安
全の保持のために、重要な役割を果たしています。その構成国は
次の18カ国です。
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 ◎朝鮮国連軍構成国
  オーストラリア   ギリシャ      韓国
  ベルギー      イタリア      南アフリカ
  カナダ       オランダ      タイ
  コロンビア     ニュージーランド  トルコ
  デンマーク     ノルウェー     イギリス
  フランス      フィリピン     アメリカ
─────────────────────────────
 朝鮮戦争は、1953年7月に休戦協定が成立し、1957年
7月に、国連軍司令部が韓国ソウルに移され、日本には国連軍後
方司令部が設立されます。この後方司令部は、2007年11月
以降、横田基地に置かれています。なお、国連軍司令官は、在韓
米軍司令官エイブラムス陸軍大将が務めています。
 この国連軍後方司令部には、オーストラリア、イギリス、イタ
リア、カナダ、フランス、トルコ、ニュージーランド、フィリピ
ン、タイの9カ国の駐在武官が、それぞれ在京大使館に常駐して
おり、国連軍連絡将校としての務めを果しています。これらの連
絡将校が日本に滞在する間の権利・義務その他の地位および待遇
は「国連地位協定」として、定められています。つまり、朝鮮戦
争はまだ終っておらず、一朝ことが起きると、即座に国連軍とし
て行動を起こせる体制を敷いているのです。今回の「瀬取り」監
視活動もこの国連軍としての枠組みにおいて行われています。
 なぜ、「瀬取り」監視活動の背景について詳しく述べたのかと
いうと、2つ理由があります。
 1つの理由は、この「瀬取り」監視活動に、本来主役として対
応すべき韓国が参加していないのではないかという疑いです。こ
のことについて、日本の外務省は、VOA(ボイス・オブ・アメ
リカ)の「韓国は参加していますか」の質問に対して、次のよう
に答えています。
─────────────────────────────
 韓国は、「瀬取り」監視活動のために航空機や艦艇を派遣し
 た記録はない。       ──2019年6月6日放送
─────────────────────────────
 何となく歯に異物がはさまった表現ですが、明らかに「参加し
ていない」といっています。冒頭の朝日新聞の記事でも、韓国は
参加していることになっています。ところが、韓国は、参加して
いないだけでなく、韓国駆逐艦が、北朝鮮の瀬取りを見逃したり
韓国籍の船舶が、瀬取りをしているとの次の情報もあります。
─────────────────────────────
 疑惑の対象となっているのは、韓国籍のタンカー「Pパイオニ
ア号」だ。同船は、2017年9月、北朝鮮籍の2艘の船舶に対
し、瀬取りの手法で石油製品を提供したものと見られている。韓
国海洋警察庁は今年1月、同船船長と管理会社を、南北交流協力
法および船舶入出港法違反の疑いで送検した。事実であれば韓国
国内法だけでなく、国連安全保障理事会の制裁決議への違反にも
当たる。              https://bit.ly/2kWyCaH
─────────────────────────────
 疑惑はこのほか、たくさんあります。実際に「瀬取り」監視活
動をやっている国は、韓国が、この活動に参加していないことを
知っています。もう一つの理由は、明日のEJで述べます。
 なお、このテーマは30日で終了する予定でしたが、新情報が
あるので、10月4日まで続けることにします。
              ──[中国経済の真実/095]

≪画像および関連情報≫
 ●監視不参加を暴露された韓国が愚かすぎる自爆的反論
  ───────────────────────────
   日本政府が、北朝鮮による、海上での違法な物資積み替え
  (瀬取り)を取り締まるための多国籍活動に韓国は参加して
  いない、と明らかにした。日本の外務省は6月5日(現地時
  間)「対北朝鮮海上監視のための多国籍活動に韓国も参加し
  ているか」という米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(V
  OA)の質問に、「韓国は参加していない。韓国が監視活動
  のため航空機や艦船を派遣した記録はない」と答えた。
   同放送は「日本の外務省によると、日本・米国・英国・カ
  ナダ・フランス・オーストラリア・ニュージーランドの7カ
  国は、昨年初めから東シナ海とその近海で北朝鮮の制裁回避
  行為を取り締まっている。日本は参加国の詳細な作戦規模や
  期間などを同省のウェブサイト上で公開している」と報道し
  た。韓国は日本の外務省が公開した国際協力リストに含まれ
  ておらず、7カ国の統合作戦からも外れている。
   韓国国防部(省に相当)はこれについて、「韓国軍の作戦
  区域内では北朝鮮による瀬取りの取り締まり支援作戦や国際
  協力活動を実施している」と反論した。国防部関係者は「外
  信が報道した7カ国の多国籍作戦区域は、東シナ海とその近
  海で、韓国軍の作戦区域からは離れている」と述べた。韓国
  軍は主に海軍はP3C海上哨戒機などを使って西海(黄海)
  地域で収集された北朝鮮による瀬取り関連情報を米軍などに
  提供してきたと言われている。  https://bit.ly/2kZhssT
  ───────────────────────────

瀬取りの現場/手前北朝鮮船舶.jpg
瀬取りの現場/手前北朝鮮船舶


posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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