2019年09月10日

●「米中貿易戦争は米中価値観の衝突」(EJ第5086号)

 9月6日、韓国国会では、法相候補のチョ・グク氏の適性審査
が行われましたが、その審査会の開催中にチョ・グク氏の妻であ
るチョン・ギョンシム韓国東洋大教授が、私文書偽造で、突然在
宅起訴されたのです。7日の午前0時に時効が迫っていたからで
す。娘が同大学の総長賞を受けたと申請し、他大学の大学院に無
試験入学している件につき、総長賞はウソで、妻が偽造したもの
であることが判明したのです。この件で、チョ・グク氏自身も、
東洋大学総長と電話で話しており、無関係ではありません。
 疑惑は、他にもたくさんあり、いずれも、良心のかけらもない
ものばかりで、まして法を預かる法務大臣には不適任です。それ
でもチョ・グク氏は、法相候補を下りるつもりはなく、文大統領
も、何があろうと法相に任命する構えです(本稿執筆当時)。こ
れまでもそうしてきているからです。
 6日の世論調査会社「リアルメーター」の調査では、チョ・グ
ク氏の法相任命についての賛否は次の通りです。
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       任命賛成 ・・・・ 40・1%
       任命反対 ・・・・ 56・2%
         ──世論調査会社「リアルメーター」の調査
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 驚くのは、それでもチョ・グク氏の「任命賛成」が40%もい
ることです。日本ならあり得ないことです。やはり、日本人と韓
国人では価値観が異なるようです。
 ファーウェイは「わが社の通信機器のどこに問題があるのか。
ハードウェアもソースコードもすべて公開するから、問題がある
なら、指摘してくれ」と米国をはじめ、世界に訴えています。実
際に調べてみても、問題は発見されていないことは既に述べてい
る通りです。それなら、なぜ排除するのか。ファーウェイからす
ると、大いに不満であると思います。
 中国事情に詳しいジャーナリストの福島香織氏が、中国と日本
の比較論で、面白いことをいっています。
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 中国は、時代の流れが日本の3倍ぐらい速い。つまり、日本が
100年かけて歩んできた道を30年ぐらいで進んできたわけで
す。たとえば、日本ではさらし首のような残酷なことが行われて
いた時代から、すでに100年以上(100年どころではないで
すね)が経っていますが、中国ではつい30年ぐらい前まで公開
処刑があってそのような時代感覚で見ている。中国は文化大革命
や天安門事件で、残酷で野蛮なことをしたと言うと、日本だって
磔獄門やさらし首をやったでしょうと、日本の100年ぐらい前
のことと同じ感覚で見ているのです。──渡邊哲也/福島香織著
     『中国大自滅/世界から排除される「ウソと略奪」の
                中華帝国の末路』/徳間書店
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 もっとも日本には民主主義という基本があって、普通選挙が行
われるし、報道の自由もあるので、弾圧や虐殺があれば直ちに報
道されて大騒ぎになり、そういうことは行われないのに対して、
中国では、現在でも中国共産党が軍隊もメディアも握っており、
報道の自由もなく、情報が完全に遮断されているので、相当ひど
い人権弾圧をしても、表沙汰にならないのです。これは、価値観
の相違といえます。
 結局米国は、こういう価値観の国である中国をWTOに参加さ
せ、自由社会、自由経済のなかに組み込んでしまったのです。そ
うすればきっと中国は、自由主義国家に体制変換をするだろうと
甘く考えたのです。しかし、中国は、体制変換どころか、それに
よって得た富を体制を強化させることに使い、世界第2位の経済
大国として、経済面でも、軍事面でも、科学技術面でも、米国に
迫る存在になりつつあります。これは、米国にとって誤算であり
大失敗であったといえます。
 つまり、いま米国と中国との間に起きていることは、中国のイ
デオロギー、秩序、華夷思想に対して、西側の既存のスタンダー
ド、それも米国がつくり上げた思想や価値観とのせめぎ合い、ヘ
ゲモニーの争いといえます。まさに価値観の衝突であり、文明の
衝突でもあります。
 米国の考え方は、「ペンス演説」に明確にあらわれています。
これは、トランプ大統領の考え方というよりは、米国議会のそれ
です。米中貿易戦争における中国は、米国にとっていみじくも投
資家、ジョージ・ソロス氏のいう「中国は開かれた自由社会の最
も危険な敵」であり、米国の絶対優位を脅かす国なのです。福島
氏の指摘する「ペンス演説」の本質です。
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 ペンス演説では、中国が、製造業高度化戦略として掲げている
「中国製造2025」について、ロボット工学、バイオテクノロ
ジー、AIなどの世界の先端産業の支配を目指すものだとし、軍
事技術を含む米国の技術の大規模な窃盗であると断罪しました。
中国をジョージ・オーウエルの小説「1984」のような監視国
家を作り、宗教を弾圧する自由社会の敵と位置づけました。
 習近平政権が掲げる、経済一体化新シルクロード構想「一帯一
路」戦略はアジア、アフリカ、ヨーロッパからアフリカに至るま
で各国を借金漬けにし、政治にも干渉するようになっていると批
判しました。さらに米国のジャーナリズムやアカデミズム、映画
や企業、官公庁に中国が金を使って操り、プロパガンダを流し、
次の大統領選にも影響を与えようとしている、と、危機感を示し
ました。こうした中国の世界支配の野望から米一国の民主主義を
守るために断固戦う姿勢をペンスは打ち出し、一部メディアから
は、米国の中国に対する宣戦布告″という見出しもつけられま
した。                   ──福島香織著
   『習近平の敗北/紅い中国・中国の危機』/ワニブックス
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              ──[中国経済の真実/085]

≪画像および関連情報≫
 ●米中貿易摩擦とテック・ウォーが本質的に異なるワケ
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   米中貿易摩擦で米国が問題視しているのは、知的財産権保
  護の不十分さ、国営企業優遇、補助金供与など中国の不公正
  です。対してテック・ウォーは、中国企業による米国企業に
  対する技術移転の強要、米国企業買収時の不適切な技術移転
  など、安全保障上の問題を指摘しています。米国では、中国
  製の通信機器を使うことに安全保障上の問題があるという考
  え方が強まっています。その意味で、テック・ウォーは軍事
  ・ハイテクの安全保障を含む覇権戦争といえます。
   テクノロジーのほとんどの分野で米国が圧倒的に強いのは
  間違いありません。しかしながら、中国が不正・不適切な手
  段でハイレベルな情報技術を集め、米国を抜き去る事態だけ
  は避けたいと思っています。だから、世界の製造大国を目指
  すという政策「中国製造2025」を目の敵にしているので
  す。公正な技術競争であれば仕方ないのですが、そうでなけ
  れば関税や取引禁止などで制御せざるを得ない、といった考
  えが米国のテック・ウォーの背景にあると考えられます。
   中国が5G(第5世代移動通信システム)などで強みを持
  つといわれますが、まだ技術立国とはいえないようです。中
  国を代表する上海/深センCSI300指数の業種構成比を
  みると、300銘柄のうち情報技術関連は34銘柄で、指数
  全体の時価総額比率では10%もありません。
                  https://bit.ly/2k9sZ8O
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マイク・ペンス米副大統領.jpg
マイク・ペンス米副大統領

posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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