厳しい措置に踏み切るさい、とくにソフトバンクグループに対し
て厳しい警戒の目を向けたそうです。なぜなら、ソフトバンクは
中国系最大のIT企業アリババの筆頭株主であり、ファーウェイ
とは業務提携して、4Gのときから同社の基地局を採用、設備投
資の約10パーセントがファーウェイとZTEの機器購入に充て
られていたからです。また、ソフトバンク・ホークスは、ファー
ウェイがスポンサーになっており、選手の帽子にはファーウェイ
のロゴマークが入っているほど親ファーウェイ企業だからです。
2018年12月6日にカナダで孟晩舟副会長が逮捕されたと
いうニュースが入ると、日本政府は、10日、直ちにファーウェ
イを念頭に、次の申し合わせを決定しています。
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IT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続
に関する申し合わせ
第4項:契約方式
総合評価落札方式や規格競争等、価格面のみならず総合
的な評価を行う契約方式を採用する。
──近藤大介著
『ファーウェイと米中5G戦争』/講談社+α新書
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役所言葉で、わかりにくい表現ですが、要するに「価格が安い
からといって(ファーウェイ製品の)入札を決めてはならない」
という通達であり、「ファーウェイ製品を使うな」という申し合
わせです。これが出ると、NTTドコモ、KDDI、楽天は、直
ちに、ファーウェイの訣別を決め、次々と発表しています。
しかし、この時点でソフトバンクは、態度を表明していない。
ソフトバンクは、12月19日に株式上場を控えており、実に嫌
なタイミングであったからです。それにもうひとつ、ソフトバン
クにとって気になることもあったのです。それは、不可解な通信
トラブルの発生です。2018年12月6日の午後に、ソフトバ
ンクの通信回線は突然不通になり、日本中で大混乱になったので
すが、その日の午前中に孟晩舟副会長が逮捕されたというニュー
スが入っています。この2つに何らかの関係があるのではないか
という情報がソフトバンクに入ったのです。
通信トラブルの原因は、表面上はソフトバンクがパケット交換
機に使っているスウェーデンの大手通信機器メーカー、エリクソ
ンのマシンの不具合になっていますが、何らかの方法で、米国が
ソフトバンクの通信を停止させ、ソフトバンクに「ファーウェイ
を使うな」という警告を発したという説が出てきたのです。
これに対して、既出の近藤大介氏は、その説を肯定はしないも
のの、次のように述べています。
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私がこの時、思い起こしたのは、1991年の湾岸戦争開戦の
日のことだった。アメリカはイラクを攻撃するにあたって、自国
を除く世界中のGPS(全地球測位システム)をストップさせた
のだ。そのため日本のシステムも大混乱に陥った。あの時、アメ
リカはいざとなれば何でもできるし、かつやってしまう国なのだ
と再認識した。同様に、あまりにファーウェイに近づきすぎてい
るソフトバンクに、警告を発したのではないか。ソフトバンクは
直後の12月19日に株式上場を控えていたから、これ以上の抵
抗はできず、白旗を揚げたというわけだ。
──近藤大介著の前掲書より
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まして、ソフトバンクグループは、傘下にアームを子会社とし
て保有しており、ある意味において、ファーウェイの生殺与奪の
権を握っている企業であるので、米国が強権を発動したのではな
いかとも考えられます。
12月6日、いきなりアイフォーンがネットに接続できなくな
り、どうしても正常化しないので、私は自分のマシンが故障した
のではないかと思ったことをよく覚えています。まさか、米国に
よるソフトバンクへの警告だったとは・・・。
ところで「金盾」(きんじゅん)という言葉をご存知ですか。
「金盾」とは、中国で国家が政策として運用しているインター
ネット検閲・規制システムのことです。中国において金盾は、海
外と国民の間に立ちふさがる”電脳版万里の長城”と呼ばれてい
ます。中国では、グーグルでの検索はできないし、Gメールは開
けない。また、ユーチューブで動画を見ることも、フェースブッ
クで友達の日記をながめることも、LINEで連絡を取ることも
できないのです。息苦しくありませんか。すべては、金盾がそう
いう情報をすべて遮断しているからです。
それでいて、トランプ米大統領が訪中している間は、グーグル
やツイッターは正常に機能したそうです。情報を遮断しているこ
とを米国の大統領に実感して欲しくなかったものと思われます。
中国は、国家であらゆる情報を管理しています。新聞、雑誌、
テレビはもちろんのこと、携帯電話の通話内容、SMS(ショー
ト・メッセージ・サービス)、メールに至るまで、およそすべて
のメディアは国家によって管理されています。それは、中国人だ
けでなく、中国への観光客や、中国に住む外国人にも適用される
のです。とくに2016年から2017年にかけて、中国が成立
させた次の2つの法律に大きな問題点があります。
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1.サイバーセキュリティ法
2016年11月
2. 国家情報法
2017年 6月
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これら2つの中国の国内法は、他国から見ると、中国人や中国
企業はいつでもスパイやスパイ組織になれるということを示して
います。 ──[中国経済の真実/083]
≪画像および関連情報≫
●華為技術、SBホークスの主要スポンサーから外れる
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中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)が今季
から、ソフトバンクグループが保有する、福岡ソフトバンク
ホークスの主要スポンサーから外れた。昨年まで3年連続で
務めていた。ユニホームやキャップ、ヘルメットなどに自社
のロゴを入れる主要スポンサーは4社あり、ファーウェイ・
ジャパン端末統括本部の硲夏希広報担当によると、今年はそ
のいずれにも入らない。2016〜18年シーズンは、ホー
クスの選手が帽子に「HUAWEI」の赤いロゴを付けて試
合に出場していた。19年シーズンは29日に開幕する。
ファーウェイの硲氏は主要スポンサーに入らなかった理由
について、「ソフトバンクとの協議の中で最良の選択をした
結果」と述べた。一方、球場内の電光掲示板に広告を出すな
ど、引き続き球団を支援していくと言う。
通信子会社のソフトバンクは、ファーウェイの基地局設備
を採用し、次世代通信システム(5G)で共同開発や実証実
験も行う関係だが、米中貿易摩擦が過熱する中、ファーウェ
イ副会長が逮捕され、日本でも同社製品の使用を取りやめる
動きがある。ソフトバンクGの孫正義社長は2月の決算会見
で通信設備入れ替えの可能性に言及、5Gの移動通信システ
ムは安定性やコストの面から総合的に判断すると述べた。
https://bit.ly/2JBcb5z
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ソフトバンクホークスの帽子に華為技術のロゴマーク