2019年08月30日

●「フェデックス問題を知っているか」(EJ第5079号)

 最近のトランプ大統領は、明らかに焦っています。トランプ氏
の最大の関心事は来年11月の選挙です。まだ時間があります。
しかし、ヤマ場は来年の3月3日、「スーパー・チューズデ−」
です。この日、民主、共和両党の候補者選びが天王山を迎えるか
らです。この日までに目立った成果を上げておかないと、再選が
厳しくなるといわれます。しかし、最近のトランプ氏の言動はお
かしいことの連続です。ある日、突然「グリーンランドを購入し
たい」といい出し、「バカげている」と一蹴した、デンマークの
メッテ・フレデリクセン首相に「ひどいことをいわれた。むかつ
くし、侮辱的だ」と激高したかと思うと、その後、デンマーク首
相が電話すると、「彼女はすばらしい女性だ」と絶賛するなど、
情緒不安定です。トランプ大統領は73歳ですが、大事な決定を
しなければならない米国の大統領が情緒不安定では困ります。
 5月31日のことです。中国は、米国のEL(エンティティ・
リスト)に対抗し、「不信企業リスト」制度を実施すると発表し
ました。これには米フェデックス問題が関係しています。「不信
企業リスト」について、ブルームバークの記事を引用します。
─────────────────────────────
 中国は、国内企業の利益を害すると判断した企業を標的とする
ため、「信頼できない」企業のリストを作成する。華為技術に対
する米国の措置に対抗するもので、数千社の外国企業に影響する
可能性がある。
 中国は市場規則に従わず契約に違反して供給を停止したり中国
企業の合法的利益を大きく損なう行為をしたりする外国企業と団
体、個人の一覧を策定する仕組みを整備すると、商務省の高峰報
道官が述べた。リストに載った企業などに対しては「必要な措置
を取る」とし、詳細は近く発表すると付け加えた。
 米政府はファーウェイによる米国での機器販売や米企業からの
購買を妨げる措置を取り、米中の貿易戦争は、関税以外にまで広
がった。高報道官の説明は、具体的な部分に踏み込んでいないが
アルファベット傘下のグーグルやクアルコム、インテルなど米国
のテクノロジー企業に加え、ファーウェイへの部品供給を停止し
た米国外の企業も対象となる可能性がある。日本の東芝や、ソフ
トバンク傘下の英アームもこれに当てはまる。
                  https://bit.ly/30EPzpS ─────────────────────────────
 「フェデックス問題」とは何でしょうか。フェデックスとは、
世界220ヶ国・地域を網羅し、年間売上高655億ドルを誇る
世界最大の航空貨物運送会社、フェデックス・エクスプレスのこ
とです。この事件は、日本では、ほとんど報道されていないので
知る人は少ないと思います。
 いきさつを簡略に説明します。5月17日のことですが、ファ
ーウェイのハノイのオフィスは、香港とシンガポールのオフィス
に向けて、重要書類をフェデックスで送ったのです。ところが、
これらの書類は、香港のフェデックス事務所にいったん行き、そ
こから米国に転送されていることが判明したのです。
 5月19日と20日のことです。ファーウェイ・ジャパンは、
東京から、ファーウェイの深せん本社に向けて、フェデックスで
小包を送ったのですが、その小包は米国のテネシー州メンフィス
へ送られていたことがわかったのです。
 問題は、5月17日が、米国がファーウェイをELに入れた翌
日であり、この日を境にして、米国がファーウェイの書類や荷物
を米国に転送していることです。この事件について、6月1日付
の中国国営新華社通信は、次のように報道しています。
─────────────────────────────
 米フェデックス・エクスプレスがわが国で起こした、荷物が明
記されていない住所へ送られていた行為は、利用客の合法的な権
益を著しく損害するものであり、わが国の配達業界の関連法規に
違反するものである。よって国家の関連部門が立案し、調査する
ことを決定した。   ──2019年6月1日付、新華社通信
                      ──近藤大介著
      『ファーウェイと米中5G戦争』/講談社+α新書
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 フェデックスといえば、改革開放初期の1984年に中国支社
を設立し、1994年には、運送会社としてはじめて中国税関当
局とネット接続することが許されている、中国における模範企業
です。フェデックスは、この件について、6月下旬に米国商務省
に訴訟を起こしています。おそらく、商務省からフェデックスに
何らかの命令があったものと思われます。これは、いささかやり
過ぎではないかと思われます。フェデックスは、「誤配」として
ファーウェイに詫びを入れていますが、フェデックスが、中国の
「不信企業リスト」記載の第1号になる可能性があります。
 7月に入って、中国はフェデックスの「誤配」の弁解と詫びを
受け入れないと言明し、次のように述べています。
─────────────────────────────
 中国外務省の華春瑩報道官は北京で7月26日開いた記者会見
で、関連当局がフェデックスの問題で調査を進めており、米国に
荷物が送られたのは、オペレーション上のミスによるものではな
かったことが判明していると語った。調査を担当している具体的
な当局機関の名前は挙げなかった。
 華報道官は法に従い徹底的な調査を当局が続けるとも述べ、こ
れまでの調査でフェデックスによる他の活動も法律に反している
ことが分かったと説明した。フェデックスはウェブサイトに同日
掲載した資料で、同社の謝罪を中国が拒否した後も、この問題の
調査で中国当局に全面的に協力しており、これからも協力を続け
ると表明。適用され得る全法規制の「完全な順守にコミットして
いる」とコメントした。       https://bit.ly/2LdphVe
─────────────────────────────
              ──[中国経済の真実/078]

≪画像および関連情報≫
 ●フェデックス、ファーウェイ端末の配達拒否で謝罪
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   2019年6月23日、中国紙・新京報は、米物流大手の
  フェデックスが、英国から米国へのファーウェイ製スマート
  フォンの配達を拒否した問題で謝罪したと報じた。記事は、
  米コンピューター誌、PCマガジンの21日付報道を引用。
  同誌の英国在住記者がフェデックス経由で、米国のオフィス
  にファーウェイ製スマホを送ったところ「米国政府とファー
  ウェイとの間の問題」を理由に差し戻されたと伝えた。
   記事によると、同誌の関係者はツイッターに「これは全く
  ばかげている。われわれの英国のライターが送ろうとしてい
  たのは、「ファーウェイP30」で、新品ではなく既存の端
  末だ。オフィス間の運送にすぎないのにこんな事が起きた」
  と投稿した。
   問題が明るみになったことを受け、フェデックスは「問題
  の荷物は手違いで送り主の元に戻された。われわれは業務上
  のミスをおわびする」との声明を発表。ファーウェイの広報
  担当者はSNS上で「この事件はエンティティーリストに対
  する完全な誤解だ」とコメントしたという。米商務省は先月
  国家の安全保障上の問題を理由に、米政府の許可なく米企業
  から部品などを購入することを禁止する「エンティティーリ
  スト」にファーウェイと関連会社を追加した。フェデックス
  は先月、日本から中国のファーウェイに発送された荷物2個
  を米国に転送したほか、ベトナムからファーウェイのアジア
  エリアのオフィスに発送された荷物2個も米国に転送しよう
  としたことについて、「配達ミス」があったと釈明したばか
  りだった。(翻訳・編集/柳川)  http://exci.to/2MIO3zt
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米フェデックスの貨物機.jpg
米フェデックスの貨物機
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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