2019年08月21日

●「ファーウェイとファイブ・アイズ」(EJ第5072号)

 2018年12月1日、カナダのバンクーバー空港において、
孟晩舟ファーウェイ副会長兼CFOは逮捕されましたが、そのさ
い、カナダ警察は、副会長のPCとスマホを押収し、それらの暗
証番号を強制的に聞き出しています。これらには、ファーウェイ
の最高機密情報が入っていたことは確実で、それがカナダ経由で
米国当局に渡っていると考えられます。
 これらを分析すると、ファーウェイにおいて、孟副会長が何を
していたのかの情報は、かなり詳しくカナダと米国は、把握して
いることになります。同時にそれらの情報は、その他の「ファイ
ブ・アイズ」の加盟国である、オーストラリア、英国、ニュージ
ーランドにも伝わっていることになります。
 2018年7月17日、カナダのトルドー首相は、ファイブ・
アイズの諜報機関トップをカナダ東部のノバスコシア州のリゾー
ト地に招いて密談をしたことは7月31日のEJ第5058号で
述べましたが、そのとき既に「ファーウェイ排除キャンペーン」
を展開することを決めています。なお、この活動には、ファイブ
・アイズのメンバーではないドイツや日本など、米国の同盟国に
も参加を呼び掛けることを決めています。孟晩舟副会長が逮捕さ
れる5ヶ月も前の話です。
 その後のファイブ・アイズのファーウェイをめぐる出来事を近
藤大介氏の本から引用します。
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◎2018年
  8月13日:トランプ大統領が国防権限法に署名
    23日:オーストラリア政府がファーウェイとZTEと
        の取引を禁止
    28日:オーストラリアのゴールドコーストで「フィブ
   〜29日:アイズ」の安全保障担当閣僚会議開催
 11月27日:ニュージーランド政府がファーウェイとの取引
        を禁止
 12月 1日:カナダ当局が、ファーウェイの孟晩舟副会長を
        逮捕
     5日:アメリカ国務省、商務省幹部が香港入りして、
    〜7日:ファーウェイの取引を調査
◎2019年
  1月28日:アメリカ司法省が、孟副会長とファーウェイを
        起訴
  5月16日:アメリカ商務省が、ファーウェイを「エンティ
        ティ・リスト」に追加
                      ──近藤大介著
      『ファーウェイと米中5G戦争』/講談社+α新書
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 一方、ファーウェイは、ファイブ・アイズの切り崩しを行って
います。狙いは、EU離脱で揺れる英国の教育機関に対する露骨
な働きかけです。英国のオックスフォード大学は、ファーウェイ
から750万ドルの寄付申し入れがあって、大学理事会はいった
ん受け入れ、その後「保留」にしています。
 このようなファーウェイからの寄付は、オックスフォード大学
だけでなく、スレイ大学、ケンブリッジ大学にもそれぞれ100
万ドルの寄付を行っていのす。標的は、すべて次世代通信技術の
5G開発で世界の先端を行くラボに限定されています。
 問題はカナダです。孟晩舟副会長を米国からの要請で逮捕した
からです。孟晩舟氏の逮捕後の2018年12月13日には、駐
カナダ中国大使が、カナダの有力紙「グローバル・ポスト」に寄
稿し、ファーウェイに成り代わって、次のようにカナダ政府を批
判しています。
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 「ファイブ・アイズ連盟」は、「ファーウェイは国家の安全を
脅かす」と噛みついているが、ただの一つたりとも、その根拠を
示していない。ただ社会に恐怖心を散布し、国民を誤った方向に
導こうとしているのだ。
 もしもファーウェイの電信設備に安全上のリスクが存在するな
ら、西側国家の電信設備にも、同様の安全上のリスクが存在する
ことになる。使用している科学技術は、まったく同様のものだか
らだ。それは、プリズム事件(スノーデン氏やウィキリークスが
暴露した、アメリカ政府による全世界の違法情報収集活動)を見
れば明らかだ。
 彼らはいまだに陳腐な冷戦思考の中で中国を捉え、中国共産党
が指導する社会主義の中国は終始、「異質」だと見ているのだ。
彼らの懸念は、中国の発展があまりに早く、しかもそれは経済分
野にとどまらず、科学技術分野でも西側国家を超えつつあるため
「国家の安全」のレッテルを被せて中国企業を叩き、中国の発展
を妨げようとしているのだ。──廬沙野カナダ駐カナダ中国大使
                      ──近藤大介著
      『ファーウェイと米中5G戦争』/講談社+α新書
─────────────────────────────
 ファーウェイは中国の民営企業です。その民営企業の副会長の
逮捕に、駐カナダ中国大使が、コメントとして抗議声明を出すの
は多少はわかるとしても、わざわざこういう内容のレポートまで
書いて、メディアに寄稿するなど、あり得ないことです。それは
「ファーウェイ=中国」と考えている証拠です。
 「プリズム事件」の「プリズム」というのは、米国国家安全保
障局(NSA)が、2007年から運営する極秘の監視プログラ
ムのことです。これが、「プリズム事件」として知られるように
なったのは、プリズムによって、日本、ブラジル、フランス、ド
イツなどの首脳35人が、電話盗聴の対象になっていたと、エド
ワード・スノーデン氏が暴露したからです。
 しかし、ファーウェイは、少なくとも、ファイブ・アイズの取
り込みには失敗し、かえって警戒心を強めてしまったようです。
              ──[中国経済の真実/071]

≪画像および関連情報≫
 ●世界に衝撃を与えた米国の盗聴プログラム「プリズム」
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   スノーデンが選んだフリージャーナリスト、グレン・グリ
  ーンウォルドからはなんのアクションもなかった。そこで、
  スノーデンはドキュメンタリー映像作家、ローラ・ポイトラ
  スに連絡をとることにした。ポイトラスは、イラク戦争の最
  中にイラクに飛び、イラク人の生活のドキュメンタリー映画
  を制作したりしている。さらに、NSAの不当な監視に関す
  るドキュメンタリー映画も作り、ポイトラス自身がNSAに
  監視されていた。空港を利用するときは、まず間違いなく拘
  束され、手帳やカメラ、パソコンは押収され、内容を分析し
  た上で返却されるという状態になっていた。
   そのため、ポイトラスはPGPはもちろん、暗号化通信ソ
  フトOTRなどもすでに使っていた。ポイトラスには連絡が
  とりやすかった。それでも、このようなメールを送るときは
  オフィスはもちろん自宅でも絶対にやらなかった。一度、N
  SAに捕捉されたら、パソコン内にある通信ユニットのシリ
  アル番号であるMACアドレスで簡単に追跡されてしまうの
  で、安物の新しいパソコンを買い、ショッピングセンターな
  どのWi-Fi を使ってメールを送った。ポイトラスは、グリー
  ンウォルドと面識があるばかりでなく、同志といってもいい
  ほどの間柄だったのでポイトラスに「情報提供をする。グリ
  ーンウォルドと協力して公開してほしい」という暗号化メー
  ルを送った。          https://bit.ly/2KXk17Z
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ファーウェイ深せん本社.jpg
ファーウェイ深せん本社

posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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