ナダ、ニュージーランド(NZ)で機密情報を共有する5ヶ国の
枠組みのことです。安倍政権は、日本政府として、このファイブ
・アイズとの関係を深めつつあります。
ファイブアイズについて知るには、「シギント」というものを
理解する必要があります。これは、普通の人にとって、全く知る
必要のない特殊なインテリジェントの用語です。
─────────────────────────────
◎シギント/SIGINT、signals intelligence
シギントとは、通信、電磁波、信号などの主として傍受を
利用した諜報・諜報活動のことである。
https://bit.ly/2RPoFv4 ─────────────────────────────
要するに、シギントとは通信傍受手段です。あの元NSAの局
員であるエドワード・スノーデン氏によると、NSAは「世界最
強のシギント」であるといわれています。
諜報活動における情報入手は、シギントを含めて、次の4つが
あります。ファイブ・アイズは、このうち、シギントを中心とし
て、5ヶ国が情報を共有するというものです。
─────────────────────────────
1.イミント
・偵察衛星や偵察機による写真偵察
2.シギント
・電波や電子信号傍受による情報収集
3.ヒューミント
・人間による情報収集
4.カウンターインテリジェンス
・防諜、外国の諜報活動への対抗策
─────────────────────────────
ファイブ・アイズというのは、世界中に張り巡らしたシギント
の設備や盗聴情報を、相互利用・共同利用するために結んだ協定
のことです。このグループのコンピュータ・ネットワークは「エ
シュロン」と呼ばれています。もともと秘密協定なのですが、こ
のエシュロンの言葉とともに、その一部が知られるようになって
きています。
2018年7月17日のことです。カナダのノバスコシア州の
どこかで、ファイブ・アイズは秘密会合を開いています。この会
合には、カナダのトルドー首相、オーストラリアのターンブル首
相、それに5ヶ国の情報機関のトップ全員が出席しています。
この会議において、2001年9月のアメリカ中枢同時テロ以
降、テロ対策に力を入れる陰で、スパイ活動が疎かになっている
ことが指摘され、その間に中国がシギントを中心とするスパイ技
術を盗み、自国でウイグル族などの宗教弾圧にその技術を利用し
ているとの報告が行われています。
もともとこのときの会合は、ロシアを敵として戦略を練る秘密
会議だったようです。というのは、この会合に出席した英国秘密
情報部のヤンガー長官が、英国南部でロシアの元情報機関員らが
神経剤で襲撃された事件について、ファイブ・アイズがまとまっ
て対応したことが大きな成果であることを報告したのですが、同
会議に出席していたジーナ・ハスペル米CIA長官は、現在、一
番危険なのは中国共産党の台頭であり、その中国共産党のスパイ
技術の中心になっているのは、ファーウェイとZTEであるとし
て、その会合で、ファーウェイとZTEを、5G──5世代移動
通信システムから排除するを提案し、了承されています。
このとき、トランプ米大統領は、なぜ参加していなかったのか
というと、中間選挙の前であり、動けなかったのではないかと思
います。しかし、中国のリスクは最大であるということは、ハス
ペルCIA長官を通じてファイブ・アイズのメンバーには伝わっ
ています。この会合において、ファイブ・アイズの情報共有に、
日本とドイツも参加させることが決まったようです。
注目すべきは、この会議に出席していたオーストラリアのター
ンブル首相です。彼は、トランプ大統領との電話会談で、トラン
プ大統領から電話をガチャ切りされた中国寄りの首相ですが、タ
ーンブル首相は、すぐにトランプ大統領に電話をかけ、オースト
ラリアは、5GからファーウェイとZTEを外すことをわざわざ
伝えています。イメージを変えたかったものと思われます。
しかし、ファーウェイは親中のターンブル政権のときに、オー
ストラリアには深く食い込んでいたのです。宮崎正弘氏の本には
ファーウェイがターンブル政権に深く食い込んでいたことを示す
ことが書かれています。
─────────────────────────────
豪政府高官だった3人をファーウェイは、「取締役」に雇用し
高給を支払って事実上の代理人を務めさせ、オーストラリア市場
の拡大に協力させてきた。豪政府は労働党のジラード政権から、
ターンブル保守政権まで、国家安全保障部門は、ファーウェイヘ
の警戒を怠らなかった。
「ファーウェイ(豪)」は現地法人を装いながらも、事実上の
スパイ機関として、機密情報を入手していた。2011年から、
ファーウェイ豪社取締役になっていた3人の高官とは、ジョン・
ブルンピー元ヴィクトリア州副首相、ダウナー外相、そしてジョ
ン・ロード元海軍中将で、いずれもが「ファーウェイのスパイ行
為という陰謀論には証拠がない」と中国を擁護してきた。
豪メディアは3人に疑惑の目を向けてきた。それというのも、
孟晩舟が2005年10月から、11年8月まで、中国と豪の間
を行き来していたからだ。 ──宮崎正弘著/ビジネス社刊
『余命半年の中国・韓国経済/制御不能の金融危機が始まる』
─────────────────────────────
この秘密会合の直後にオーストラリアには政変があり、ターン
ブル首相は、現在のスコット・モリソン氏に代わっています。
──[中国経済の真実/057]
≪画像および関連情報≫
●ファーウェイ排除の内幕、激化する米中5G戦争
───────────────────────────
オーストラリア通信電子局(ASD)のエージェントであ
る彼らに与えられた課題は、あらゆる種類のサイバー攻撃ツ
ールを使って、対象国の次世代通信規格「5G」通信網の内
部機器にアクセスできた場合、どのような損害を与えること
ができるか、というものだ。
このチームが発見した事実は、豪州の安全保障当局者や政
治指導者を青ざめさせた、と現旧政府当局者は明かす。5G
の攻撃ポテンシャルはあまりにも大きく、オーストラリアが
攻撃対象となった場合、非常に無防備な状態になる。5Gが
スパイ行為や重要インフラに対する妨害工作に悪用されるリ
スクについて理解されたことが、豪州にとってすべてを一変
させた、と関係者は話す。
電力から水の供給、下水に至るすべての必須インフラの中
枢にある情報通信にとって5Gは必要不可欠な要素になる。
マイク・バージェスASD長官は3月、5G技術の安全性が
いかに重要かについて、シドニーの研究機関で行ったスピー
チでこのように説明した。
世界的な影響力拡大を目指す中国政府の支柱の1つとなっ
た創立30年の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に
対する世界的な締め付けを主導したのは、米政府だと広く考
えられている。しかし、5Gを巡って実際に行動を促したの
はオーストラリアであり、米国の反応は当初鈍く、英国など
欧州諸国は、安全保障上の懸念とファーウェイの誇る低価格
競争力の板挟みになっていたことが、ロイターの20人を超
える現旧西側当局者への取材で明らかになった。
https://bit.ly/2YSDhIT
───────────────────────────
スコット・モリソン首相