2019年07月18日

●「映画『新聞記者』の狙いとは何か」(EJ第5049号)

 この連載は、米中貿易戦争下の中国経済がどうなるかがメイン
テーマです。しかし、7月8日のEJから、この問題に関係する
米国と北朝鮮の問題を取り上げて書いています。今週は、日本で
は、参院選最終ウィークであり、今日と明日は、脱線しついでに
選挙に絡む問題についても書くことにします。そして、22日か
ら話を中国の問題に戻します。
 7月12日のことですが、折からの降りしきる雨のなか、澁谷
まで足を運んで、話題の映画『新聞記者』を観に行きました。ど
うしても観たかったし、12日が上映の最終日だったからです。
 どこでこの映画を上映しているのか。新聞にはまったく出てお
らず、ネットに頼って、上映館を見つけました。澁谷の「ユーロ
スペース」という聞いたことのない映画館です。やっと映画館を
見つけて、驚きました。すべて座席指定の入れ替え制なのです。
しかも満員。やっと入場券を手に入れましたが、もう少し、遅く
行ったら、この回は観られないところでした。
 観客は、中高年とシニアばかりと思っていましたが、かなり若
い人も多く、ほとんど宣伝もしていないのにもかかわらず、すぐ
満員になりました。この映画がいかに話題になっているかがよく
分かります。それにしても、ほとんど新聞を読まない現代の若者
が『新聞記者』という映画を観るとは!、ちょっと驚きでした。
 映画の興行収入は、公開6日目に1億円を突破し、初週末3日
間の数字を2週目週末が上回り、動員対比102・9%、興収対
比104・1%の高稼働を記録しています。そして、公開11日
目の8日(月)、動員数は、実に17万2127人、興行収入は
2億1055万5640円と、遂に2億円を突破しています。
 よく知られているように、この映画は、東京新聞社会部記者の
望月衣塑子氏の著書『新聞記者』(角川書店)を原案としていま
すが、本の内容は、望月衣塑子氏のいわば自伝のノン・フィクシ
ョンです。これを基にして、フィクションに仕上げたのは、河村
光庸プロデューサーと藤井道人監督の仕事です。
 まずはともあれ、この映画の「予告編」がありますので、ご覧
ください。時間は1分8秒です。
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       映画『新聞記者』/予告編(動画)
            https://bit.ly/2Y3HRqZ
             配給会社スターサンズ
 韓国の若手女優シム・ウンギョン演じる新聞記者・吉岡エリカ
が働く新聞社に、「医療系大学の新設」に関する秘密文書がファ
クスで届く。吉岡が内閣府のキーパーソンである神崎にたどり着
こうとした矢先、神崎が自殺する。
 一方、松坂桃李ふんする内閣情報調査室の若手官僚、杉原拓海
は外務省時代の神崎の後輩。慕っていた上司の死をきっかけに官
邸の闇を知り、吉岡と出会う。そこから2人は人生をかけた選択
を迫られていく・・・・。
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 この映画『新聞記者』は、通常の映画と異なることが、実にた
くさん起きたのです。いくつか上げてみます。
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     1.主役がなかなか決まらなかったこと
     2.全テレビ局がプロモーションを拒否
     3.映画関連サイトのサーバーがダウン
     4.ネットでの異常な批判的な書き込み
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 なぜ、このようなことが起きたのでしょうか。
 それは、この映画が安倍政権下で起こった数々の不正を描いて
いるからです。しかも、映画が公開される期間が参院選の期間と
重なっているからです。
 安倍政権下の数々の不正とは、さまざまな国会の論戦でも、政
府側の問題のはぐらかし、逃げの答弁、ごはん論法などによって
国民の多くが今でも釈然としないと感じていることばかりです。
 株式会社ロストニュースが編集制作し、株式会社サイゾーが配
付展開する日本のニュースサイト「リテラ」では、次のように表
現しています。
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 映画『新聞記者』には、安倍政権下で実際に起こった様々な不
正を想起させるエピソードがてんこ盛りになっている。たとえば
物語の核でもある大学新設計画をめぐる不正は明らかに加計学園
問題を意識させるし、ほかにも、前川喜平・元文科事務次官への
謀略報道をモチーフにしているとしか思えない文科省官僚に対す
るスキャンダル攻撃、伊藤詩織さんの告発を彷彿とさせる“総理
ベッタリ記者”による性暴力事件もみ消し、森友公文書改ざん問
題を示唆する官僚の自殺などのエピソードも出てくる。
 さらに、こうした政権の謀略を担う機関として、内閣情報調査
室がクローズアップされ、映画で描かれた数々の謀略工作のほと
んどに関与しているという設定になっていた。
                  https://bit.ly/2NRBAuC
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 東京新聞社会部の望月衣塑子記者といえば、菅官房長官に対し
て、大きな声で鋭い質問をすることで、知られており、官邸から
さまざまな嫌がらせを受けているといわれます。その望月記者の
本を原案とする映画ができることで慌てた官邸は、映画の内容を
を公開前に手に入れ、激怒したといわれます。テレビ局への締め
付けは、当然官邸の指示によるものと思われます。
 「この国は形だけの民主主義でいいのだ」──これは内調の若
手官僚杉原(松坂桃季)の上司の言葉ですが、その言葉通りのこ
とを官邸はやっています。テレビでの映画のプロモーションを妨
害し、唯一のネットの公式サイトでのプロモーションも、複数の
特定IPアドレスからの集中攻撃によってサーバーがダウンさせ
られ、思うにまかせなかったのですが、それでも映画は満員の盛
況なのです。        ──[中国経済の真実/048]

≪画像および関連情報≫
 ●批評家が絶賛、映画「新聞記者」が暴いた安倍政権の暗部
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   老後資金2000万円不足問題や、ずさんなイージス・ア
  ショア候補地調査など、参院選を前に国民の怒りをかきたて
  る不祥事が続く安倍政権だが、28日から公開される、映画
  「新聞記者」のキョーレツな内容は、さらに彼らを悩ませる
  ことになりそうだ。
   東京新聞記者・望月衣塑子氏(44)のノンフィクション
  を原案に、「デイアンドナイト」など本格的な人間ドラマで
  定評ある藤井道人監督が、映画オリジナルの脚本を練り上げ
  て実写化したポリティカルドラマ。これが今、試写を見た業
  界関係者の間で大変な話題になっているのだ。その内容を、
  映画批評家の前田有一氏が驚きを隠せぬ様子で語る。
   「タイトルこそ著書に合わせていますが、映画版はもはや
  “安倍政権の闇”とでも題したくなるほど現政権の疑惑を網
  羅した内容です。最近ハリウッドでは、チェイニー副大統領
  を描いた『バイス』など政治批判の映画が話題ですが、しょ
  せんは過去の話。本作は現政権の、現在進行中の未解決事件
  を映画化した点で前代未聞です。ハリウッドでさえ、こんな
  ことをしようという無謀な映画人はいない。社会派映画史に
  刻まれるべき偉業です」
   映画は女記者(シム・ウンギョン)が、加計学園がモデル
  とおぼしき特区の新設大学にまつわる内部告発を受け取材を
  始めたところ、あらゆる手段で政権を守ろうとする内閣情報
  調査室から激しい妨害にあう様子を、重厚な演出で描く。
                  http://exci.to/2JIUDlF
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東京新聞社会部望月衣塑子記者.jpg
東京新聞社会部望月衣塑子記者

posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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