2019年06月24日

●「共産党を守るため国民を監視する」(EJ第5032号)

 今回のテーマは、主として経済の面から、現在の中国が持続可
能であるかどうかを検証しようとしています。しかし、経済以外
の面でも、中国の国家体制の維持を脅かすファクターは数多くあ
ります。政変やクーデターが起きたり、中国各地では農民の反乱
や動乱の兆しも漂っています。なかでも深刻なのは、宗教による
対立であり、下手をすると、これが原因で中国は、分裂国家にな
る可能性すらあります。
 「逢九必乱」の続きですが、1999年に「法輪功弾圧」とい
うのがあったのです。「法輪功」というのは、もともと宗教では
なく、気功学習を目的とするクラブ活動のようなもので、共産党
員も多く参加していたのですが、だんだん共産党中央の規制が強
化されるようになります。
 これに対して、法輪功学習者は、1万人が天安門広場に集まり
時の首相である朱容基氏に対し、不当な弾圧をやめるよう平和的
な抗議行動を起こします。朱容基首相は、法輪功学習者の訴えに
一定の理解を示し、当初は、今後の法輪功の活動も認める方針で
あったといいます。
 しかし、当時法輪功の学習者は、中国全土で共産党員を上回る
7000万人といわれ、その数の大きさに怯えた江沢民国家主席
は、法輪功を強引に「邪教」と位置付け、徹底的に弾圧せよと命
令を出したのです。とにかく中国は「数」を恐れるのです。共産
党政権にとって脅威であれば、何でも取り締まるし、それには手
段を選ばないのです。これが1999年です。
 そして、2009年にウイグル騒乱が起こります。広東省で起
きた中国人によるウイグル人の襲撃・殺害事件の真相を求めて、
ウイグル人がウルムチ市でデモを起こしたのです。このデモに対
し、中国の治安部隊が発砲したことから騒乱に発展します。この
とき、国営通信社である新華社も、2000人近い死傷者が出た
と発表しているので、実際にはもっと多くの死傷者が出ているも
のと思われます。天安門事件と同じです。実はこの騒乱も宗教深
く関係するのです。
 そして、今年、2019年です。既に、年の前半だけで、米中
貿易戦争が過熱化し、香港では「逃亡犯条例」を巡り、香港市民
の4分の1が反対を表明するデモが起きています。G20大阪サ
ミットでも米中貿易摩擦が解決するとは思えません。あと6ヶ月
あるので、このあと何が起きても不思議ではないのです。
 中国におけるICTの発達、とくに通信ネットワーク技術の向
上は、中国共産党体制を中国人民から守る目的で発達したもので
あり、動機がおかしいです。なぜ、自国人民を中国政府は警戒す
るのでしょうか。
 自国人民だけではありません。中国を仕事をしている外国人や
観光客にいたるまで、中国の監視システムは働いているのです。
福島香織氏は、記者として中国で仕事をしていたことがあります
が、次のような異常な体験を語っています。
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 中国で記者として取材していた時代は、いろいろと不自由なこ
とがありました。たとえば、軍事管制区に近づくと、見知らぬ人
から携帯に電話がかかってきて、「お前は今どこにいるんだ?」
と詰問されたり、人権派弁護士と喫茶店で待ち合わせていると、
斜め後ろにどこかで見たことある顔の、でもどこの誰かははっき
りしないカップルが座っていて聞き耳を立てていたり。
 あるいは友人と普通に電話していて、「南京大虐殺記念館の展
示物はみんな出鱈目だよ」なんて話をしていると、突然電話回線
がジャックされて「嘘を言うな!」と怒鳴られて、一方的に電話
を切断されたこともありました。──福島香織著/ワニブックス
          『習近平の敗北/紅い中国・中国の危機』
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 なにしろ、地球規模のレベルで膨大な情報が飛び交うこのネッ
トワークの時代に、中国は、中国共産党にとって都合の悪い情報
をすべて中国の人民から遮断する、いわば「情報の鎖国」を行っ
ていますが、それには、とてつもない膨大な人員と、当方もない
コストがかかっています。それは、中国を訪れる外国人にまで及
んでいます。
 問題は、それが生産性のない、経済にとって何のプラスにもな
らない、膨大な労力であることです。そんなことをしても、テク
ノロジーはどんどん進化し、やがて情報の遮断が不可能になるこ
とは目に見えています。なにしろ中国には、約14億人の人民が
いるのですから。
 既に述べているように、中国の人口は3億人の都市戸籍を持つ
人たちと、3億人の農民工の人たち、それに8億人の昔ながらの
貧農の人たちで成り立っています。全部で14億人です。
 都市戸籍を持つ3億人の人たちは中国共産党員やその親派であ
り、生活も豊かであるので海外にも出られますし、本当の情報が
把握できますが、反政府的な行動を起こさない人たちです。した
がって、中国政府にとって一番怖いのは、農民工と昔ながらの貧
農の8億人が組んで反政府行動を起こすことです。
 そのため、これらの8億人に対してとくに厳重に情報の遮断を
行っています。これに加えて中国の監視体制は徹底しており、街
中に設置されている監視カメラは、顔認証カメラも含めて、その
台数は、2022年までには、27億6000万台に達するとい
われています。つまり、中国人1人につき、2台の監視カメラが
設置される計算になります。途方もない監視社会です。
 そこまでして、中国政府は中国共産党を守ろうとしています。
現在、中国政府が一番警戒しているのは宗教です。なぜなら、宗
教のグループの結束力は非常に強く、どのような弾圧も跳ね返す
からです。とくに習近平主席の宗教政策は、歴代の中国共産党指
導者のなかでも最悪といわれており、その異常性は習近平主席の
数ある政策のなかでも突出しているといわれています。そのキー
ワードは「宗教の中国化」です。
              ──[中国経済の真実/031]

≪画像および関連情報≫
 ●「監視社会」として先進国の先を行く中国
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   頻発するテロ事件や犯罪、災害、事故などを未然に防いだ
  り、被害を小さくしたりするために、ITなどの技術を使っ
  て、都市の安全性や効率性を高める動きが世界で広がってい
  る。こうしたパブリックセーフティー(公共安全)の向上を
  一気に推し進めようしている国の一つが中国だ。
   北京や上海といった大都市は、地方からの人口流入で渋滞
  や大気汚染などが慢性化し、都市機能は、限界に近づいてい
  る。中国政府は内陸部の小都市などの発展を促して大都市の
  問題解決を図るとともに、農村と都市の住民の間にある格差
  を解消しようとしている。テクノロジーを活用した公共安全
  の向上は、大都市の問題解決と小都市のレベルアップの双方
  に役立つ。さらに、インフラへの投資によって経済の活性化
  につなげる狙いだ。
   広東省深せん市や江蘇省南京市、山東省済南市などでは、
  顔認証技術を使い、信号を無視して交差点を渡る歩行者を撮
  影し、大型のディスプレーに映し出す仕組みが登場した。中
  国政府は公共安全の技術を使って、国民のマナー向上にまで
  つなげようと考えているようだ。ここまで来ると監視社会を
  感じさせるが、こうしたことができるのは社会主義国の中国
  だからこそだろうか。中国の信号無視対策はやりすぎだとし
  ても、テロなどの脅威が以前にも増して高まっている以上、
  より安全な都市を作りたいという要望が高まるのは自然な流
  れで、日本を含む民主主義国であっても同様だろう。
                  https://bit.ly/2FrkFJ3
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国民を監視する中国の監視カメラ.jpg
国民を監視する中国の監視カメラ
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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