2019年06月06日

●「ファーウェイ排除と新COCOM」(EJ第5020号)

 「ファーウェイがスパイ工作をしているという証拠を示せ」と
いう問いに対して、米国は一切応じていません。先の「プライム
ニュース」で、朱建栄東洋学園大学教授は、米国がその問いに応
えていないという事実をもって、「ファーウェイはスパイではな
い」と主張していましたが、これはおかしな論理です。
 米国にいわせれば、ファーウェイが怪しいという事例は、過去
にいくつもあるからです。国際ジャーナリスト、山田敏弘氏のレ
ポートによると、2017年には、エチオピアに拠点を持つアフ
リカ連合(AU)の本部コンピュータシステムから、過去5年間
にわたって、毎晩、真夜中の0時から午前2時の間に、機密情報
が上海に送信されていることが判明しています。このシステムは
中国政府がファーウェイ製の機器やケーブルなどを使って、設置
したものといわれています。
 また、2014年には、オーストラリアの大手企業が、会社の
ネットワークから、ファーウェイ製品を介して不正にデータが中
国に送られていることを発見したといわれています。それ以降、
オーストラリア政府は、政府関係機関や大手企業などで、ファー
ウェイ機器を使わないよう通達を出しています。同じような事例
は、オランダでも、イタリアでも見られるのです。
 それでは、米国はなぜ証拠を示さないのかについて、国際ジャ
ーナリストの山田敏弘氏は、次のように述べています。
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 そもそも必要とあれば、国民の代表である議会議員らが連邦議
会の委員会できちんとした捜査を行うことになる。現状、米国内
では、その必要性すら議論されていない。過去にファーウェイが
米国のメーカーなどから機密情報を盗んできた証拠もあるし、そ
れはファーウェイ側も否定しないはずだ。そんな背景からも、米
国側に言わせれば、今のところスパイ工作や中国政府とのつなが
りを証明するまでもない。
 さらに付け加えれば、ある元情報関係者は、こんな「可能性」
を筆者に話していた。「もし米国が新たにファーウェイによるス
パイ工作などのハードエビデンス(動かぬ証拠)を持っていたと
しても、それが米国側から中国に対するサイバー攻撃やハッキン
グなどで得たものならば、公表はできるはずがないですね。それ
自体が、機密作戦だからです」    https://bit.ly/2wBbWPp
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 米国は何といってもIT大国です。中国のサイバー攻撃を鋭く
批判しますが、米国もやっているのです。情報が盗まれたとなれ
ば、あらゆる方法を使って、それを確かめるために、サイバー技
術やハッキングを駆使することもあるはずです。仮にサイバー技
術によって、中国の不正を発見したとしても、それを証拠として
示すことはあり得ないのです。中国側もそれがわかっているので
あえて「証拠を出せ」といっている可能性があります。そうなる
と、裁判の結果もはっきりとしないものになります。
 既出の山田敏弘氏は、ファーウェイは相手に「証拠を示せ」と
いうのではなく、自身がさまざまな情報を開示して、同社の製品
には何の問題もないということを示すべきではないかといってい
ます。そして、それをきちんとやったケースとして、サムスンの
「ギャラクシーノート7」発火事件の後処理のケースを上げて、
次のように述べています。
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 2016年に韓国サムスン電子製スマホである「ギャラクシー
ノート7」が火を噴いた事件を覚えているだろうか。当時サムス
ンは、その大打撃から挽回するために、客観的に調査を行う外部
の専門家を雇い、徹底した内部調査を開始。その結果を広く公表
することで、自社製品の安全性を訴えた。さらに、欧米などのさ
まざまなメディアをバッテリー工場に招き、取材もさせた。そう
することで、安全性と再発防止に向けた意思を対外的にアピール
した。ファーウェイも本部で開催する記者会見にメディアを呼ぶ
だけでなく、きちんと情報を開示するなどして「後ろめたいこと
はない」ということをアピールすべきではないだろうか。
                  https://bit.ly/2Z47cy7
─────────────────────────────
 このようなトランプ米政権によるファーウェイ排除の政策は、
かつてのソ連に対するココム(COCOM)の復活ではないかと
いう見方もあります。米ソ冷戦時代、ソ連が米国に追いすがらん
とするのを技術面で蹴落とすため、米国は共産圏諸国への先端技
術の輸出を規制しています。
 COCOMとは「対共産圏輸出統制委員会」のことで、100
品目以上の軍事技術関連物質で、特定の性能を超えるもののソ連
を中心とする共産圏への輸出を禁止したのです。これは先進国間
の紳士協定で、各国は制限品目をその性能とともに、自国の法律
に明記し、これを越えるものを企業が輸出する場合には、各国政
府の許可取得を義務付けたのです。
 1982年のことです。東芝機械は、制限を越える性能の工作
機械をソ連に輸出したことにより、東芝機械は、全米から袋叩き
にあったのです。なぜなら、東芝機械の工作機械の輸出によって
ソ連の潜水艦のスクリュー研磨精度が顕著に向上し、雑音が生じ
なくなったことで潜水艦の探索が難しくなったからです。
 このココムという仕組みは、結果として、ソ連経済の足を大き
く引っ張り、ソ連を崩壊に導いたのです。実は、ココムは、「チ
ンコム(CHINCOM)」というかたちで中国にも適用されて
いたのですが、米国や日本はソ連ほど厳しく適用していなかった
のです。なぜなら、当時の中国は、スポーツ・シューズを作るの
がせいいっぱいの技術レベルであり、安全保障的な脅威をぜんぜ
ん感じていなかったからです。この西側先進国の大いなる油断が
現在の化け物のような中国をつくってしまったのです。今の中国
を作ったのは、世界第一の経済大国の米国と当時2位の経済大国
の日本であるといっても過言ではないのです。
              ──[中国経済の真実/019]

≪画像および関連情報≫
 ●「徹底してエビデンスを出して排除すべき!」
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   報道プライムサンデーのご意見番、落合陽一氏(ピクシー
  ダストテクノロジーCEO)がこう表現するのは、中国の通
  信機器大手、ファーウェイ(華為技術)の孟晩舟副会長逮捕
  を巡る問題だ。
   ファーウェイは現在、スマホの販売台数シェアでアップル
  社を抜き世界第2位のグローバル企業。1987年、中国人
  民解放軍出身の任正非氏が創業した。今回逮捕された容疑者
  は、任氏の娘で次期CEOの有力候補とみられる人物だ。落
  合氏は次のように語る。
   「これは国際的な貿易の対立なのか、経済的な対立なのか
  もしくは安全保障上のものなのか、三つ巴の関係になってい
  て、どうしようもない」
   今回の事件の背景に、いったい何があるのか?2018年
  12月16日放送の報道プライムサンデーでは、ファーウェ
  イの成長の軌跡から、問題の真相と今後に迫った。
   佐藤雅俊氏が入手した情報によれば、日本の、ある法人向
  けのファーウェイ製スマホを分析したところ、スパイウェア
  が発見されたという。これはユーザーが知らない間に、遠隔
  操作でネットの閲覧履歴情報などを盗んだり、マイクのスイ
  ッチを入れてユーザーの会話を盗み聞きしたりすることがで
  きるソフトで、スパイの様な動きをする“悪質”なものであ
  るという。佐藤氏は「ファーウェイが(情報を)取っている
  のではなく、中国政府が取っていると思われる。防衛関係の
  技術や日本の最先端の技術を搾取して中国の繁栄にいかそう
  と」と続ける。         https://bit.ly/2HUH7M0
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山田敏弘氏/国際ジャーナリスト.jpg
山田敏弘氏/国際ジャーナリスト
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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