2019年05月28日

●「さらば米国よ、われに欧州ありき」(EJ第5013号)

 世界中でファーウェイ離れが起きているなか、遠藤誉氏が次の
タイトルで夕刊紙にコメントを寄せています。
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 ◎ファーウェイは「へこたれない/世界は2極化へ」
 米国は、これ(=中国の通信大手の締め出し)を対中圧力の切
り札にしたいという希望を持っているようだが、切り札にはなら
ない。ファーウェイはへこたれない。「米国市場を引き揚げても
欧州がある」と思っている。
 具体的には。ファーウェイの創業者で、最高経営責任者(CE
O)の任正非氏が中国メディアに語った。
 「米国から撤退する。米国には感謝する。ここまでわが社を有
名にしてくれた。それだけ技術が高いと、世界が知るようになっ
た」と。余裕を感じさせる。
           ──「鈴木棟一の風雲永田町」6064
           2019年5月21日発行「夕刊フジ」
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 いま起きている世界中からのファーウェイ離れにも関わらず、
任正非CEOは米国に対して皮肉をいう余裕があると、遠藤氏は
いっています。それは任正非CEOの「米国市場を引き揚げても
欧州がある」というところにあるといえます。これは重要な発言
です。確かに、欧州(EU)と米国は、現在ギクシャクしていま
すが、本当にEUは米国の警告に従わないつもりでしょうか。
 これに関して遠藤氏は、次のように述べています。
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 欧州諸国は、米国が「証拠を出さない」ことを理由に「ファー
ウェイを排除しない」方向に動いている。ファーウェイは欧州で
強い。米国のやり方は、1990年代の対日圧力と似ている。
           ──「鈴木棟一の風雲永田町」6064
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 ファーウェイが本当に情報を盗んでいたのかということに関し
ては遠藤氏は重要な情報を掴んでいるので、これについては改め
て取り上げることにします。
 EJの掴んだ情報によると、中国は「ファイブアイズ」の分断
を仕掛けており、これによってEU諸国のなかには「ファーウェ
イを排除しない」決断をしている国が出てきています。ところで
「ファイブアイズ」とは何でしょうか。
 ファイブアイズとは、諜報活動に関する「ある協定」を締結し
ている5ヶ国──米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュー
ジーランド──の諜報機関の間の協定のことです。
 ここでいうある協定とは、「UKUSA(ウクサ)」といい、
UKUSAとは英国と米国の協定を意味しています。「UK」は
ユナイテッド・キングダム、英国を意味し、「US」は、ユナイ
テッド・ステート、米国のこと、「A」は「Agreement」、 協定
を意味します。つまり、ファイブアイズは、英国と米国を中心と
して、それに英語圏の3ヶ国を加えた5ヶ国の諜報機関間の協定
のことです。参考までに、これら5ヶ国の諜報機関を次に示して
おきます。
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     イギリス → GCHQ      政府通信本部
     アメリカ →  NSA アメリカ国家安全保障局
      カナダ → CSEC    カナダ通信保安局
  オートスラリア →  DSD   参謀本部国防通信局
 ニュージーランド → GCSB     政府通信保安局
                 https://bit.ly/2insxgt
─────────────────────────────
 それでは、「UKUSA協定」では具体的に何を利用できるの
でしょうか。
 もともと秘密協定であり、明確には分からないのですが、加盟
国間で傍受した盗聴内容や情報を共同利用していることは確かで
す。問題はその手段です。それは、通信、電磁波、信号などの主
として傍受を利用した諜報活動のことです。これら5ヶ国は、世
界中に張り巡らした諜報網を使って情報を集め、それらを相互利
用、共同利用しているのです。しかし、互いを盗聴することは禁
じられています。これらの設備というか、システムのことを「シ
ギント」と呼んでいます。
 なお、「UKUSA協定」のネットワークは「エシュロン」と
呼ばれています。この名前を聞いたことがある人は多いと思いま
す。このように、ファイブアイズには、通信ネットワーク機器に
重要な関連があり、それにファーウェイが絡んでいるのは当然と
いえます。
 中国は、ファイブアイズの中心国、英国に的を絞って何年もか
けて、関係構築を築いてきています。その英国は、現在EU離脱
問題で大揺れであり、EUを離脱した場合、それも合意なき離脱
の場合、中国は重要な貿易相手国になります。したがって、米国
の要請にしたがって、ファーウェイ排除に積極的に動けないので
す。このことは、やはり中国が重要な貿易相手国であるニュージ
ーランドも同じ立場です。中国は、ニュージーランドに対して強
いプレッシャーをかけています。EU全体も今後この動きに同調
する可能性もあり、それを見越して、任正非CEOは「欧州があ
る」といったのです。こういう動きも含めて、遠藤誉氏は、コメ
ントの最後に次のように「2つの可能性」を示唆しています。
─────────────────────────────
 2つの可能性がある。1つは世界の資本や企業が中国から引き
揚げて、中国経済が干上がる。2つには、中国が対米貿易を無視
することによって、世界が「米国か、非米国か」の2極に分かれ
る。後者の場合、グローバル経済を中国が回すことになる。この
2つの進路の鍵を握るのは、案外日本かもしれない。
           ──「鈴木棟一の風雲永田町」6064
─────────────────────────────
              ──[中国経済の真実/012]

≪画像および関連情報≫
 ●英国はファーウェイを5Gサプライヤーにすることに難色
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   中国の通信機器ベンダーの関与が国のセキュリティにリス
  クをもたらすとの懸念にもかかわらず、イギリスの政府は、
  同国の5Gネットワークの一部の中核的でない部分に関して
  ファーウェイをサプライヤーとして認めることになった。し
  かし政府の記者発表によれば、ネットワークの中核的な部分
  からは除外される。
   米国時間4月23日の国家安全保障会議の会合における英
  国メイ首相の決定を今朝のテレグラフ紙が報じた。同紙によ
  ると、複数の閣僚が彼女のアプローチに懸念を表明した。そ
  れらは、内務大臣と外務大臣、防衛大臣、通商大臣、国際開
  発大臣である。FT(フィナンシャル・タイムズ)は、英国
  5Gネットワークへのファーウェイの関与に厳しい制約を課
  すのは、閣僚たちが提起した懸念のレベルが高いことを反映
  している、と報じている。
   5Gによる次世代ネットワークの構築にファーウェイの部
  分的関与を許すというメイ首相の黄信号的決定の1か月前に
  は、英国監督機関が、この中国企業のセキュリティへのアプ
  ローチを評価して厳しい報告書を提出したばかりだ。ファー
  ウェイ・サイバーセキュリティ評価センター監督委員会の第
  5次年次報告書は、同社のソフトウェアエンジニアリングと
  サイバーセキュリティの能力には「深刻かつ意図的な欠陥が
  ある」と酷評している。     https://tcrn.ch/2HALtrI
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「米国よ、さらば」/任正非CEO.jpg
「米国よ、さらば」/任正非CEO
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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