2019年05月20日

●「民主主義運営限度は3億人である」(EJ第5007号)

 中国の人口は、2017年現在、13億8600万人です。こ
の国がどういう国であるかについて、渡邊哲也氏がわかりやすい
説明をしています。中国の人口は次の3つの人たちによって構成
されているというのです。
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     1.  都市戸籍を持つ人 ・・ 3億人
     2.上記1の奴隷/農民工 ・・ 3億人
     3. 昔ながらの貧農の人 ・・ 7億人
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 1の3億人は、これまでの中国の経済発展の結果、日本人の生
活水準に近くなった層です。この層の人たちの一部が日本をはじ
め世界中に出掛けて行って、「爆買い」をやっていたわけです。
しかし、中国において、この比較的豊かな3億人が生まれただけ
で、資源の「爆食」が起き、世界中がおかしくなってしまったの
です。まして、残りの10億人を豊かにさせるには、絶対的に資
源が不足します。3の7億人は、毛沢東時代と同じ生活を現在も
営んでいるのです。
 人口が増えるということは、一定のレベルまでは経済にとって
よいことですが、あるレベル以上増えると、経済にとってマイナ
スになります。それを次のように呼んでいます。
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          1.人口ボーナス
          2.人口オーナス
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 1の「人口ボーナス」とは、人口構成の変化が経済にとってプ
ラスに作用する状態のことをいいます。しかし、これとは逆に人
口構成の変化がマイナスに作用する状態のことを2の「人口オー
ナス」というのです。オーナスとは英語の「onus」のことで「重
荷」とか「負担」という意味です。少子高齢化の進む日本では、
人口に占める働く人の割合が低下しており、経済政策などを考え
ていくうえで、人口オーナスが重要なキーワードになります。
 まして中国は、一人っ子政策を35年間続けてきたので、日本
の3倍の速度で、少子高齢化が進み、人口オーナスに陥っている
のです。中国には、比較的豊かな3億人以外に10億人の人口を
かかえています。もしこれらの人たちを豊かにするには、地球が
3つ必要になるといわれています。
 渡邊哲也氏は、「3億人」という数は、「民主主義の限界であ
る」として、次のように述べています。
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 国家が安定して民主主義を運営できるリミットは3億人と言わ
れで久しい。それ以上になると分裂したり、解体されていくわけ
です。EUも例外ではありません。3億人で始めたときはうまく
いったが、3億人を超えるとさまざまな意見が出てきて、どうに
もまとまらなくなってしまった。アメリカもいまリミットの人口
3億人です。だからトランプ大統領は移民を排斥しようと動いて
いるわけです。               ──渡邊哲也氏
            ──石平×渡邊哲也著/ビジネス社刊
       『習近平がゾンビ中国経済にトドメを刺すとき/
     日本市場は14億市場をいますぐ「損切り」せよ!』
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 学者たちが心配するミンスキーモーメントによる不動産のバブ
ル崩壊が起きると、現在、比較的豊かな生活をしている3億人の
3分の2の人たちは、「社会信用スコア」で低スコアしかとれな
くなり、信用不良者として地方に下放されることになります。そ
の結果、最上位の1の層で生き残れるのは、せいぜい8000万
人から1億人ぐらいになるといいます。この規模は、中国共産党
の幹部と中国共産党員が9000万人ですから、奇しくも一致す
るのです。計算してやっているとしたら、凄いことです。
 毛沢東時代と現在(2017年)の経済規模を比較すると、次
のようになります。毛沢東時代の経済規模は、現在の「250分
の1」といわれます。ちなみに、毛沢東は1976年9月9日に
亡くなっています。
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         1978年       2017年
   GDP  3700億元   82兆7000億元
    貿易  200億ドル   4兆1000億ドル
  外貨準備    2億ドル   3兆1400億ドル
  平均年収    170元     2万6000元
             ──石平×渡邊哲也著の前掲書より
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 はっきりしていることは、現在の13億人の人口を持つ中国が
このまま人口が増加し、成長発展し、やがて米国を抜き、世界一
の国家として君臨することはあり得ないということです。必ず、
どこかの時点でバブルが崩壊することは確実です。しかし、それ
でも、1億人規模の中国共産党の幹部と党員を残すことは不可能
ではないと、渡邊哲也氏はいいます。
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 まずは西側諸国との通信の遮断を完璧に行うわけです。かねて
より中国は通信工作隊を使って、中国政府の悪口を言う人間をす
べてチェックしているので、そう難しいことではない。中国全土
に2億台のAI搭載の顔認識用監視カメラが設置され、中国反政
府デモの参加者は瞬時に特定され、即摘発されるまでになっでい
ます。だから、人権活動家や民主弁護士などはまったく動きがと
れない。もちろん、中国のビッグデータはSNS上のつぶやきも
見逃しません。習主席の悪口を言った市民がたちどころに拘束さ
れたようにね。当局に拘束、逮捕されれば、即信用不良者に認定
され、携帯電話を持てなくなる。そうなれば社会から疎外されて
いく。          ──石平×渡邊哲也著の前掲書より
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              ──[中国経済の真実/006]

≪画像および関連情報≫
 ●2億台に迫る監視カメラ−中国ハイテク監視社会
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   中国政府の支援を得て天津市で監視カメラメーカーを築き
  上げた戴林氏はビリオネアになった。戴氏が天地偉業技術を
  始めた1994年当時、中国では屋外カメラは珍しかった。
  今は監視カメラだらけだ。人口世界一の中国がプライバシー
  や人権を巡る懸念を招くほどのハイテク監視国家になったこ
  とで戴氏のような起業家が大富豪入りしたわけだが、関連企
  業に資金を投じる世界中の投資家には難しい問題を突き付け
  ている。
   ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、中国政府が主
  要な顧客か投資家となっている監視関連企業で富を得た戴氏
  ら少なくとも4人の資産は総額で120億ドル(約1兆33
  00億円)を突破している。彼らの繁栄が浮き彫りにするの
  は、中国国民14億人の監視を後押しする習近平国家主席に
  よる取り組みの規模だ。IHSマークイットによれば、中国
  では2016年時点で街角や建造物、公共スペースに約1億
  7600万台のビデオ監視カメラが設置されている。米国は
  5000万台と比較にならない。習政権は17年、国内の治
  安関連に推計1840億ドルを投じた。20年までに中国全
  土を網羅するカメラネットワークを導入し、交通違反からビ
  デオゲームの好みに至るあらゆる個人情報を追跡する「社会
  信用システム」も整備する。つまり天津であれ別の都市であ
  れ、中国本土内で監視されずに移動することは難しくなる状
  況が迫っているということだ。  https://bit.ly/2H8F6w3
  ───────────────────────────

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posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 中国経済の真実 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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