2019年04月19日

●「中国の恐るべき戦力『軍民融合』」(EJ第4992号)

 習近平国家主席は「肩書きマニア」といわれます。2017年
1月22日に政治局会議が招集され、下記の委員会の設置が正式
決定し、習近平主席が主任に就任、新しい肩書きがもうひとつ増
えたのです。
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                  習近平
        中央軍民融合発展委員会主任
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 ここでいう「軍民融合」とは何でしょうか。
 ここで「中央」というのは、党中央ということになります。し
たがって、「軍民融合」が、統一的な党中央の指導に基づいて進
められることを意味しています。習近平主席は、2016年から
中国航天科技集団など、中央軍産企業、大手金融機関など13企
業による初の軍民融合産業発展基金を設立しています。その基金
規模は、302億元にのぼるのです。
 「軍民融合」とは、軍需産業の民営化という側面があります。
中国では、主要産業の多くが国営企業ですが、これでは絶対に国
の経済は持たないと習近平主席は考えています。本当だとしたら
これはきわめて真っ当な考え方です。旧ソ連が崩壊したのは、国
家が重工業を担い、採算を度外視して軍需産業を発展させようと
したためである、といわれているからです。
 中国事情に詳しい福島香織氏は、ネット上の「日経ビジネス」
に掲載した論文で、軍民融合について米国と日本を例にしたフェ
ニックステレビのコメントを紹介しているので引用します。
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 軍民融合とは、国家の運命の大事に影響するものである。軍民
融合がうまくできなければ、軍備が落ちぶれるだけでなく、国家
経済が破たんする。世界上の軍事強国は、早々に軍民融合を果た
している。例えば米国陸軍の未来の戦士システムでは、兵士一人
ひとりが携帯電話端末を持たなくてはならないが、この端末は、
サムスン製だ。いわゆる軍内の専門工場で生産された軍用携帯電
話ではない。
 日本も同じで、日本には軍産企業は表向きない。しかし日本の
軍需産業は極めて強大だ。そうりゅう型潜水艦、10式タンク、
いずも型護衛艦、これらの武器をだれが作っているのか。中国人
の多くは知らないだろうが、日本の大企業にはいずれも軍工部門
があるのだ。三菱、富士、東芝、住友、ダイキン、リコーなど。
これらはすべて民営企業であり、武器を生産する、日本の特色あ
る軍民融合である。         https://bit.ly/2VRzeeX
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 しかし中国でいうところの「軍民融合」は、米国や日本の場合
と明らかに違うのです。世界中どこにでもいる「ふつうの顔をし
た中国人」、すなわち華僑華人は、必要に応じていつでも諜報員
になりうるといっているのです。つまり、民間のふつうの顔をし
た中国人は、必要に応じて、いつでも「軍人」にもなりうるとい
う意味での「軍民融合」なのです。
 2015年11月25日に成立した「2015宇宙法」では、
宇宙条約で禁止されている月などの土地の領有権や資源採取は、
国家については認められないが、「個人あるいは企業による所有
は許される」ことを決めています。
 これには、ウラがあると遠藤氏はいいます。宇宙旅行の実現を
目指して米国では、いわゆる宇宙ベンチャーの動きが活発になっ
ています。テスラーのイーロン・マスク氏による「スペースX」
や、アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾス氏による「ブルーオ
リジン」がそうです。
 「2015宇宙法」は、これらの民間企業が宇宙旅行を実現す
る試みを米国政府として後押しして、オバマ米大統領が主導して
まとめたものです。しかしその裏には中国の働きかけがあるので
す。「個人あるいは企業による所有は許される」ということにな
ると、中国の場合は、「軍民融合」によって、「個人・企業の所
有=中国という国の所有」ということになってしまうからです。
 来週の4月24日は「中国宇宙の日」です。これは、2016
年からはじまっていますが、その制定の趣旨は、「2016中国
的航天」の冒頭に次のように書かれています。ちなみに「中国的
航天」とは、中国の宇宙という意味です。
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 中国の宇宙事業は、1956年の誕生以来、60年の輝かしい
歴史を経ており、「両弾一星」のスローガンで開始され、輝かし
い成果の代表として有人宇宙飛行や月探査があり、自立更生・自
主技術革新の発展路線を進み、深遠な宇宙精神を蓄積してきた。
宇宙精神を継承し、技術革新の熱意を鼓舞するため、中国政府は
2016年から、毎年4月24日を「中国宇宙の日」とすること
を決定した。
   ──遠藤誉著/PHP/『「中国製造2025」の衝撃/
            習近平はいま何を目論んでいるのか』
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 「両弾一星」のスローガンは何を意味するのでしょうか。
 「両弾」とは原子爆弾と水素爆弾を意味しています。「一星」
とは、人工衛星のことです。実は1970年4月24日は、毛沢
東の中国が、最初の人工衛星「東方紅1号」を発射した日なので
す。毛沢東は、執念のように「両弾一星」を狙ったといいます。
その精神は、後継の指導者に受け継がれています。
 「両弾」はその後「核爆弾」としてひとつにまとめられ、もう
一つの弾には「弾道ミサイル」が入っています。したがって、現
在、「両弾一星」は次の3つを意味しています。
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     ◎「両弾一星」
      核爆弾、弾道ミサイル、弾道ミサイル
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           ──[米中ロ覇権争いの行方/073]

≪画像および関連情報≫
 ●中国「軍民融合」戦略=米国務次官補
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   クリストファー・フォード米国際安全保障・不拡散担当国
  務次官補は最近、中国共産党は米国の技術を獲得し、ハイテ
  ク軍事能力を高めるため、「中国製造2025年」と「軍民
  融合」戦略を用いた、大規模な戦略があると明かした。中国
  は違法行為も含め、あらゆる手段で米国の技術を手にし、米
  国に戦いを挑んでいるという。
   フォード氏は2018年9月、「連邦調査局(FBI)と
  商務部によるカウンターインテリジェンスと輸出入管理」に
  関する会議の中で発言した。同次官補は、中国人入国ビザの
  審査を強化するなど、5つの対応戦略を提案している。
   フォード氏は会議の中で、この大規模な対米戦略への対応
  措置として、@包括的な輸出入管理と特許、A安全保障意識
  Bビザ審査の再検討、C投資の審査、D同盟国を中心とした
  多国間の連携と協力、といった対策を示した。
   フォード氏は、中国は、世界の覇権を狙い影響力を強める
  だけでなく、世界に及ぶ米国の力を、中国にすり替えようと
  していると指摘。この計画は長期的な戦略であり、米国は大
  規模で全面的な中国問題に直面していると警鐘を鳴らした。
  具体的には、中国共産党政府は少なくとも建党100年にあ
  たる2049年までに、大国としての地位を確立し、東アジ
  アの主導権を握る計画があると、フォード氏は述べた。
   フォード氏の分析によれば、中国共産党政権による「国の
  総合力」とは他国のような競争力の向上のみならずハイテク
  技術による経済力を掲げている。これは、米国が国家として
  追及する、軍事におけるハイテク技術の発展を指すという。
                  http://exci.to/2vb33eI
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「軍民融合」が進む中国.jpg
「軍民融合」が進む中国.

posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 米中ロ覇権争いの行方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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