2019年02月25日

●「米中貿易戦争で今まで起きたこと」(EJ第4954号)

 米中貿易戦争で、米国と中国において、これまで何が起きたか
重要なポイントについて、ていねいに見る必要があります。
 2017年6月のことです。6月3日にシンガポールにおいて
「アジア安保会議」が開催されたのです。トランプ政権のアジア
政策がみえないなか、ジェームズ・マティス国防長官(当時)が
どんな話をするか注目されたのです。このとき、マティス長官は
中国を名指しして、次の趣旨の非難演説を行っています。
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 中国の国際法に反する海洋進出や軍事拠点化に対し、米国は
 断固反対する。     ──マティス米国防長官(当時)
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 実はこの会議に中国は大物を送っていないのです。過去数年人
民解放軍の副参謀長クラスを送っていた中国が、そのときはずっ
と位の低い軍事科学院副院長の何雷中将の派遣にとどめているの
です。何があったのか理由ははっきりしませんが、当時、中国と
シンガポールの間はトラブル続きであり、そういうことが影響し
たとも考えられます。
 2017年6月28日、中国において「国家情報法」が施行さ
れます。これについての「産経ニュース」の記事を引用します。
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 中国で28日、国家の安全強化のため、国内外の「情報工作活
動」に法的根拠を与える「国家情報法」が施行された。新華社電
によると、全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会で昨年
12月に審議に入りし、今月27日に採択された。国家主権の維
持や領土保全などのため、国内外の組織や個人などを対象に情報
収集を強める狙いとみられる。
 習近平指導部は反スパイ法やインターネット安全法などを次々
に制定し、「法治」の名の下で統制を強めている。だが、権限や
法律の文言などがあいまいで、中国国内外の人権団体などから懸
念の声が出ている。       ──2017年6月28日付
       ──「産経ニュース」 https://bit.ly/2U1Lf0B
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 この法律の成立によって、「いかなる組織および個人も国家の
情報活動に協力する義務を持つ」ことになります。ビジネスなど
で得られた情報も、国家がそれを要求すれば、国家に提供しなけ
ればならなくなります。この法律がある限り、中国以外の国は、
中国との取引に慎重にならざるを得なくなります。
 2018年3月のことです。3月11日、中国は、全国人民代
表大会で、ケ小平の定めた国家主席の「2期10年」の再選制限
が撤廃されたのです。権力ポストは、長くやっていると、必ず腐
敗すると見抜いたケ小平が「2期10年」の制限を設けたのです
が、習近平主席はこの制限を外し、フリーにしたのです。自ら腐
敗防止キャンペーンの先頭に立っていながら、自分だけは大丈夫
と考えているのでしょうか。これによって、習近平国家主席は、
終身国家主席でいることができるのです。
 2018年3月22日、米国は、通商法301条に基づき、中
国の知的財産侵害に制裁関税を課すことを表明しています。これ
によって貿易戦争の戦端は開かれたといえます。
 2018年4月4日のことです。中国は、米国産の自動車や綿
花などに25%の関税を課すと発表しています。中国が先に仕掛
けてきたのです。これに対して米国は、2018年4月16日、
米企業に中国ZTEとの取引を禁じる制裁を発効させます。
 2018年7月6日、米国は、中国製品340億ドルを対象に
制裁関税第1弾を発動し、続いて、8月に第2弾、9月に第3弾
を発動します。はじめのうちは、中国も米国に合わせて報復関税
をかけていましたが、やがてそれもできなくなります。
 2018年8月13日、米国で「国防権限法2019」が成立
します。これに基づき、2020年8月から、ファーウェイなど
中国5社の製品を使用している企業は、米政府との取引が禁止に
なります。
 そして、2018年10月4日、ペンス副大統領はハドソン研
究所で演説します。その演説は、対中冷戦への決意を述べる、中
国にとって、きわめて激しい内容ですが、これは米国政府のコン
センサスであると考えるべきです。その一部を引用します。
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 過去17年間、中国のGDPは9倍に成長し、世界で2番目に
大きな経済となりました。この成功の大部分は、アメリカの中国
への投資によってもたらされました。また、中国共産党は、関税
割当、通貨操作、強制的な技術移転、知的財産の窃盗、外国人投
資家にまるでキャンディーのように手渡される産業界の補助金な
ど、自由で公正な貿易とは相容れない政策を大量に使ってきまし
た。中国の行為が米貿易赤字の一因となっており、昨年の対中貿
易赤字は3750億ドルで、世界との貿易赤字の半分近くを占め
ています。トランプ大統領が今週述べたように、大統領の言葉を
借りれば、過去25年間にわたって「我々は中国を再建した」と
いうわけです。
 中国政府は現在、多くの米国企業に対し、中国で事業を行うた
めの対価として、企業秘密を提出することを要求しています。ま
た、米国企業の創造物の所有権を得るために、米国企業の買収を
調整し、出資しています。最悪なことに、中国の安全保障機関が
最先端の軍事計画を含む米国の技術の大規模な窃盗の黒幕です。
そして、中国共産党は盗んだ技術を使って大規模に民間技術を軍
事技術に転用しています。      https://bit.ly/2OPqMwq
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 2018年12月1日、アルゼンチンで、米中首脳会議が行わ
れ、次の段階に進むのを90日間(2019年3月1日)延期す
ることで双方合意しています。しかし、その同じ日、米国の依頼
でカナダ当局によって、ファーウェイ創業者の娘の孟晩舟副会長
が拘束されます。これは中国に大きなショックを与えたのです。
           ──[米中ロ覇権争いの行方/035]

≪画像および関連情報≫
 ●米中貿易戦争で一段と進む中国の景気悪化/産経新聞
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   中国の景気悪化が一段と進み、2018年末の上海株式市
  場は前年末比約25%安、12月の景況感指数は2年10ヶ
  月ぶりの低い水準となった。米中貿易戦争の痛みの顕在化は
  米アップルをも直撃している。中国経済への逆風は今後さら
  に増すとの見方が強く、米国との貿易協議にも影響を与えて
  いるもようだ。
  「1年を通じて低迷が続いた」
   中国の経済メディア「東方財富網」は18年の上海株式市
  場をこう振り返った。同市場の代表的な指数である総合指数
  の18年末の終値は2493・90と、前年末(3307・
  17)比で24・6%下落した。米中貿易摩擦の深刻化とと
  もに低迷基調を強め、12月27日には終値が約4年1ヶ月
  ぶりの安値を記録している。
   中国経済では消費の冷え込みが目立つ。11月の消費動向
  を示す小売売上高の伸び率は、03年5月以来15年半ぶり
  の低水準。年明け早々の今月2日に米アップルが中国での販
  売不振を理由に業績予想を下方修正したのも、消費者の財布
  のひもが固くなったことが大きい。中国メディアによると、
  18年の中国の新車販売台数も1990年以来28年ぶりの
  前年割れになる見通しとなっている。悪影響は製造現場にも
  広がる。政府が昨年末に発表した12月の景況感を示す製造
  業購買担当者指数(PMI)は49・4と、好不況の節目の
  50を割り込んだ。2016年2月以来2年10カ月ぶりの
  低水準だ。           https://bit.ly/2IvvnSI
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中国を糾弾するペンス副大統領演説.jpg
中国を糾弾するペンス副大統領演説
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 米中ロ覇権争いの行方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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