についてもう少し追及することにします。どう考えてもこの引退
宣言は不自然であると考えるからです。
その前に、習近平氏が国家主席になってからの中国の経済運営
について知っておく必要があります。そのため、少し歴史を振り
返ることにします。1949年の初代皇帝である毛沢東が建国し
た現在の共産党政権は、1989年に学生たちが政治の民主化を
求めて蜂起した天安門事件によって転覆させられる一歩手前まで
いったのです。時の国家指導者のケ小平は、軍隊の力で学生たち
を押さえ込み、共産党政権を死守しています。
ケ小平は、天安門事件を契機として、国民に「民主」の代りに
「金儲けに走る自由」を与えたのです。そうでもしないと、第2
第3の天安門事件が起こりかねなかったからです。ケ小平は、毛
沢東の死後2年が経過した1978年から改革開放を進めていた
のですが、1992年に改革開放の加速命令を出しています。
ところで、「改革開放」とは何でしようか。
常識的には、政治が「社会主義」であれば経済は「計画経済」
であり、経済が「市場経済」であれば、政治は「資本主義」のは
ずです。それをケ小平は、両方のいいところをとって「社会主義
市場経済」を推進したのです。これが「改革開放」です。
この場合、国のトップ2人が、「政治」と「経済」のバランス
をうまく取る必要があります。
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共産党総書記(主席) ・・・・・ 政治
国務院総理(首相) ・・・・・ 経済
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この「社会主義市場経済」が現在の中国を作ったことは確かで
す。しかし、ケ小平時代のように中国の経済規模が小さいときは
舵取りを誤らなければ、うまく経済を運営できますが、現在のよ
うに経済規模が巨大化した場合は、その舵取りはきわめて困難に
なります。それに加えて、ナンバー1の共産党総書記とナンバー
2の国務院総理が、それぞれの役割分担をバランスよく行う必要
があるのです。江沢民時代と胡錦濤時代はそれが奇跡的といって
よいほどうまくいったのです。
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◎江沢民時代 ・・ 1989年〜2002年
【政治】江沢民主席 【経済】朱鎔基首相
◎胡錦濤時代 ・・ 2003年〜2012年
【政治】胡錦濤主席 【経済】温家宝首相
◎習近平時代 ・・ 2013年〜2018年
2019年〜
【政治】習近平主席 【経済】李克強首相
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しかし、2013年3月に発足した習近平主席と李克強首相の
新政権は、2人がライバル同士であったことに加えて、信頼関係
がなく、互いに疑心暗鬼の関係だったのです。しかも、習主席は
「政治」だけでなく「経済」の役割も李首相から取り上げて、独
占するという愚を犯したのです。その結果、中国の経済は、習近
平時代から混乱に陥ってしまったといえます。
この習近平政権について、近藤大介氏は、中国にとって2つの
不幸が重なったと述べています。
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◎第1の不幸
習近平という政治家が、稀代の経済オンチであり、中国経
済を2度まで崩壊させた毛沢東に匹敵する。
◎第2の不幸
社会主義と市場経済の矛盾からくる軋轢が、もはや、抜き
差しならないところまできてしまっている。
─────────────────────────────
「第1の不幸」については、習近平主席が自らの経済オンチを
自認し、李克強首相に「経済」を信頼して任せれば、ある程度解
決できますが、現在もそうしていないので、経済は、深刻な情勢
になりつつあります。
「第2の不幸」については、もともと矛盾している社会主義と
市場経済の軋轢が限界に達しつつあることです。それが顕著に見
られるのが「国有企業」です。中国の国有企業について近藤大介
氏は、次のように述べています。
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中国では、基幹産業のすべてを、1100社あまりの国有企業
が独占しており、この1100社で中国の富の6割強を握ってい
る。ところが、地方自治体や、やはり国有企業である銀行が、国
有企業に乱脈融資を続けた結果、習近平時代が始動した2013
年の時点で、国有企業を中心とした国家の負債額がGDPの2倍
以上に膨れ上がってしまった。国有企業の改革は「待ったなし」
の状況だったのだ。 ──近藤大介著
『中国経済「11OO兆円破綻」の衝撃』
講談社+α新書711−1C
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これに対し、李克強首相は、いわゆる経済プラン「リコノミク
ス」による解決プランを示していますが、その本丸も「国有企業
改革」だったのです。
しかし、習近平主席は、この解決プランに乗らず、これまで江
沢民一派が牛耳っていた国有企業利権を引きはがし、自派の利権
に組み替えようとしたのです。江沢民派で石油利権を握っていた
周永康元常務委員を腐敗摘発の名の下に逮捕したのがそれです。
「国有企業改革」は完全にほったらかしです。
なぜなら、国有企業改革をすれば利権がなくなってしまうから
です。習主席は、国有企業改革を議論し、まとめる「公報」起草
委員会から、本来担当であるはずの李克強首相を外す措置まで、
とっています。 ──[米中ロ覇権争いの行方/028]
≪画像および関連情報≫
●「社会主義市場経済」はファシズムの一形態に過ぎない
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中国の「抗日戦争勝利記念日」(9月3日)が近づいてき
た。昨年の同日、天安門広場で大々的に繰り広げられた「世
界反ファシズム戦争勝利70周年記念」軍事パレードは記憶
に新しい。
「歴史を鑑(かがみ)に」と居丈高に迫る中国の歴史戦に
は、3つの狙いがある。第1は潜在敵国、とくに日本に贖罪
(しょくざい)史観を浸透させ、その精神的武装解除を図る
ことである。第2は「反省しない日本」への、敵愾(てきが
い)心をかき立て独裁体制の維持を正当化することである。
第3は自由、民主、法の支配、人権といった「現在」の問題
に焦点が当たらぬよう、注意を過去にそらすことである。
従って、とりわけアジアの自由主義大国・日本が誤った贖
罪意識から脱して、正しく「歴史を鑑」とすることが、日本
自身にとってはもちろん、自由世界全体にとっても戦略的に
極めて重要となる。
まずファシズムという言葉だが、これはイタリアのムソリ
ーニが、共産主義でも資本主義でもない「第三の道」として
打ち出したものである。国家主義的な独裁を永遠の統治原理
としつつ、資本主義のエネルギーを抑圧体制活性化のために
用いるというのがその「第三」ないし折衷策たる所以(ゆえ
ん)である。 ──島田洋一福井県立大学教授
https://bit.ly/2I7bTDB
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改革開放の推進者/ケ小平


