2019年02月07日

●「習近平のポスターに墨汁をかける」(EJ第4943号)

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   1.国内の経済や金融の専門家からの習近平批判
   2.北載河会議での長老たちからの政権失政批判
 ⇒ 3.「墨汁事件」に代表される市民の習政権批判
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 「3」の習近平批判について考えます。
 国内の3方面で起きた「習近平批判」の3つ目は、何と市民に
よる習近平批判です。習近平体制にとって、こういう動きが一番
警戒すべきことなのです。たった一人の反乱でも、それがSNS
で拡散されると、あっという間に中国全土に拡散される恐れがあ
るからです。
 2018年7月4日、午前6時40分過ぎにその事件は起きた
のです。湖南省出身の29歳女性が、上海の海航ビルの前で、壁
に大きく貼られた習近平主席のポスターに墨汁をかけ、それを自
撮りして、SNSにアップロードしたのです。まさに習近平政権
が最も恐れることをやったわけです。
 そのときの貴重な動画があります。中国国内では動画は完全に
消去されていますが、これは中国外に流出した動画のひとつと思
われます。墨汁をかけた女性の名前(とうようけい)もわかって
いますが、メールでは表示できないので、省略します。
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◎「墨汁事件」の動画        https://bit.ly/2UIxSCu
 女性は中国語で話していますが、その内容は次の通りです。近
藤大介氏の本から引用します。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 尊敬する皆さん、おはよう!いまは7月4日の午前6時40分
頃で、私はいま上海の陸家囁(浦東新区にある金融街)にいて、
後ろにあるのが海航ビル(習近平主席や王岐山副主席と関係が深
いとされ、経営危機に陥っている海南省の巨大グループ)。まだ
朝早いから、皆さんはきっと出勤途中でしょう。後ろにあるのは
習近平のパネル写真よ。私が言いたいのは、絶対に習近平の独裁
専制の暴政に反対だということ。中国共産党が私にやっている圧
迫にも反対だ。
 反対!(と叫んで墨汁を習主席の大判の顔写真にぶっかける)
この人を恨んでいる!見たでしょう、これが私の行動よ。習近平
に反対!専制と暴政に反対!共産党が、私にかけている圧力に反
対!国際組織が調査して正してくれることを要求する。私をダメ
にするのは、中国共産党と政府だということを調査してほしい。
 そうよ、今日は、この男に墨汁をぶっかける日。私がやったの
よ。この男はどうするでしょうね。習近平よ、私はここで待って
いるから、捕まえに来なさいよ。私はたった一人で、中国共産党
の独裁、暴政、専制に反対し、あなたが捕まえに来るのを待って
いるのよ。
 後ろはまさに海航ビル。習近平、あなたが一番好きな会社よ、
そうでしょう?私はあなたの顔に墨汁をぶっかけた。見たでしょ
う?醜くなった自身の顔を見たでしょう?さあ、今日のニュース
はこれでおしまいよ。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
           ──近藤大介著/NHK出版新書568
    「習近平と米中衝突/『中華帝国』2021年の野望」
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 この動画について、次のような多くの書き込みが行われていま
す。しかし、それらは時間が経過するにつれて、当局により次々
に削除されていき、中国の国内では、完全に見られなくなってし
まっています。そういうことをするために、中国という国は、防
衛費を上回る莫大な人材とコストをかけているのです。
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◎あなたは誰もがやりたいと思っていてもできないことを実行に
 移したのだ。
◎誰もが、この息詰まりしそうな空気のなかで、沈黙し続けるこ
 とに限界を覚えている。あなたは、われわれに勇気を与えてく
 れた。あなたこそが英雄である。
◎この暗黒の中国大陸では能力や学問がどんなにあっても役に立
 たない。独裁政治に抗議する勇気を持ってこそ英雄になれる。
                  https://bit.ly/2UAmZlU
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 習近平のポスターに墨汁をかけた女性は、その後家に戻り、家
の周辺に私服や制服の公安局員の数が増える様子をスマホで撮っ
て、ネット上に流していましたが、やがて映像はプツリと消えた
といいます。そして、誰も彼女とは、連絡がとれなくなっていま
す。その日のうちに拘束されたものと思われます。その後、父親
も拘束されています。
 こうした一連の動きが、今後中国の民主化につながるのかどう
かを中国国内の民主活動家に意見を聞いてみると、次のような絶
望的な返事が返ってきました。中国の民主化は、今後20年経っ
ても実現しないだろうというのです。
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 考えてみてください。中国には200万人の軍隊がおり、数百
万人の警察がいます。彼らは自国の人民を鎮圧するために存在し
ているのです。中国人民は少なくともあと20年間は不民主の中
で生きていくしかないのです。中国人は、考えることさえコント
ロールされています。微信(ウィチャット)も、微博(ウェイボ
ー)も全て監視されているのですから」
 しかも中国で何が起きているのかを知るために、特殊な方法を
使って海外から情報を入手するしかないのです。人民が絶対に横
につながらないように、政府は最大の工夫をしているのです。
 こんな環境下で民主化運動など、夢のまた夢。われわれに前途
はない!              https://bit.ly/2TxjKLQ
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           ──[米中ロ覇権争いの行方/024]

≪画像および関連情報≫
 ●習近平の顔写真ポスターに墨汁かける運動拡大
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   中国では今月(2018年7月)に入って、習近平国家主
  席の肖像画が印刷されたポスターに墨汁や黒インクをかける
  運動が北京や上海を中心に全土に拡大しており、中国共産党
  中央弁公庁は最近、地方の党機関に対して、街頭や建物内に
  ある習氏の肖像画入りのポスターや掲示板、宣伝塔、彫像な
  どを撤去する指示を出していたことがわかった。
   習近平指導部が国家主席などの任期を撤廃したり、習氏を
  批判する人権活動家や弁護士らを多数逮捕するなど独裁体制
  の強まりに反発する声が多くなっているためで、指導部は習
  氏の個人礼賛キャンペーンを停止するなどの措置をとってお
  り、今春以降、加速していた個人崇拝の動きに、歯止めがか
  かったかたちだ。
   また、2012年に現指導部が発足してから最大の失点と
  目される米中貿易問題の影響もあるとみられ、7月下旬から
  の中国共産党の重要会議「北戴河会議」で習指導部への批判
  が集中する可能性もある。
  習氏の肖像画に墨汁などをかける運動が広がったきっかけは
  上海在住の董瑶けいさん(29歳=女性)が今月4日早朝、
  中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」に、生配信したパ
  フォーマンスだった。董さんは「私は習近平とその独裁主義
  に反対です」と言うと、背後にある街頭の習氏の肖像画入り
  ポスターに墨汁をかけたのだ。その動画は、ウェイボー上で
  シェアされ、瞬く間にインターネット上で拡散した。
                  https://bit.ly/2RCcMUc
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習近平主席への個人崇拝が問題化.jpg
習近平主席への個人崇拝が問題
 
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 米中ロ覇権争いの行方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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