2019年02月06日

●「習近平主席北載河会議を乗り切る」(EJ第4942号)

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   1.国内の経済や金融の専門家からの習近平批判
 ⇒ 2.北載河会議での長老たちからの政権失政批判
   3.「墨汁事件」に代表される市民の習政権批判
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 「2」の検討を続けます。長老たちも集まる北載河会議で何が
あったかが注目されています。北載河会議では、大規模な「習近
平降ろし」が画策されているという噂もあって、この会議が注目
されていたのです。習近平政権は、北載河会議をどのようにして
乗り切ったのでしょうか。
 そもそも北載河会議がいつ始まったかもわからないのですが、
多くのメディアが8月3日に続々と北載河入りしているので、そ
の日かその日以降に会議が始まったものと推測されています。
 8月4日には、中国社会科学院・工程院院士62人を招いた座
談会が開かれています。科学院、工程院は、中国の科学技術系エ
ンジニアの母体であり、「中国製造2025」の具体案を支える
提言機関であるので、北載河会議と関係があるかもしれないので
す。「中国製造2025」には、米国が強く反発しているので、
その対応策を協議した可能性があります。
 中国の事情に詳しい福島香織氏の情報によると、習近平主席は
アラブ・アフリカ歴訪から帰国すると、7月31日に北京で中央
政治局会議と集団学習会を開き、それに参加した政治局員を引き
連れて北載河会議入りしています。
 結果として、2018年の北載河会議は、完全に習近平主席の
ペースで進み、「習近平降ろし」は大きくトーンダウンしたと伝
えられています。実は、これにはワケがあるのです。それは、長
老一人ひとりの懐柔策が功を奏したのです。
 習近平主席の前の主席である胡錦濤氏に対しては、その子息の
胡海峰氏に手厚い処遇をし、習主席に反対できないようにしてい
ます。胡海峰氏は、いわゆるできのわるい子息であり、政治家と
してもビジネスパーソンとしても成功できなかったといいます。
そこで習主席の計らいで、浙江精華長江デルタ研究員の党書記職
を与えられたのです。これによって、胡錦濤氏は習近平主席に頭
が上がらなくなったといわれます。
 李鵬氏の子息である李小鵬氏も同様です。李小鵬氏は、李鵬氏
の跡を継いで、電力利権にからんでおり、腐敗の噂の絶えない人
物です。習近平主席としては、腐敗一掃運動の一環で摘発するこ
ともできますが、現在交通運輸部長職に就いています。そして8
月7日から、習近平主席の特使として、コロンビア大統領就任式
に出席しています。
 このように習近平主席は、長老たちの弱点であるできの悪い子
供たちをうまく取り込んで、長老たちを分断するとともに、「習
近平降ろし」の流れを封じ込めるのに成功しています。腐敗防止
キャンペーンを巧みに使い、アメとムチで長老たちを身動きでき
ないようにしているのです。これについて、福島香織氏は、次の
ように述べています。
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 長老、太子党、党中央、メディア、軍部、知識人層にアンチ習
近平派が存在するのは間違いない。清華大学法学院教授の許章潤
が7月24日、天則経済研究所のサイト上に「我々が目下抱いて
いる恐懼と期待」というコラムを発表したが、この中ではっきり
と習近平の現政策を「逆行」と批判し、天安門事件の再評価、国
家主席任期の復活、個人崇拝の制止、公務員財産開示法の施行な
どを訴えている。個人崇拝は知的レベルの低い行為、といい、ま
るで習近平の知的レベルが低いといわんばかりだ。
 また国務院発展研究センター金融研究所総合研究室副主任の高
善文が7月28日、地方の証券会社の講演で、習近平がケ小平の
韜光養晦戦略を放棄したことが米中関係の破壊の原因だ、と指摘
したと伝えられている。           ──福島香織氏
                  https://bit.ly/2Tqxicg
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 福島香織氏が指摘する上記の高善文氏の講演での指摘、「習近
平がケ小平の韜光養晦戦略を放棄したことが米中関係の破壊の原
因」は重要であると思います。ここで「韜光養晦(とうこうよう
かい)戦略」というのは、国力が整わないうちは、国際社会で目
立つことをせず、じっくりと力を蓄えておくという戦略です。と
ころが、習近平主席は、その戦略を捨てたことで、米国が貿易戦
争を仕掛けてきたのではないかといっているのです。これはその
通りであると思います。
 米国が仕掛けた貿易戦争は、単に貿易の問題だけではなく、習
近平政権の「中国製造2025」潰しにあるといわれます。した
がって北載河会議で何らかの検討行われたと考えられます。それ
を裏付けるのが、前述の8月3日に北載河会議と並行して行われ
た中国社会科学院・工程院院士62人を招いた座談会です。この
座談会には、副首相の胡春華氏も出席しているのです。
 胡春華氏は、中国共産主義青年団(共青団)中央書記処第一書
記を務めた人物で、胡錦濤派です。今後、「中国製造2025」
についての米国との協議においては、この胡春華氏が前面に出る
代わりに政治局常務委員の王滬寧氏が責任を取らされる可能性が
あります。福島香織氏は次のように述べています。
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 秋の四中全会で、ひょっとすると政治局常務委員のポストが王
滬寧から胡春華に入れ替えられるのではないか、というのは、ア
ンチ習近平派の期待をこめただけの噂にすぎない。だが、党内ア
ンチ習派の不満を抑えるために、後継者として胡春華を政治局常
務委員に迎え入れ、個人崇拝・独裁化の印象をやや薄めようとい
うのは、習近平の立場に立ってみれば決して無理な妥協案ではな
いとも考えられる。         https://bit.ly/2GmDqP1
─────────────────────────────
           ──[米中ロ覇権争いの行方/023]

≪画像および関連情報≫
 ●内憂外患の習近平政権/軍の威光をバックに「北戴河」突破
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   【北京=藤本欣也】中国共産党大会を秋に控え権力闘争が
  激化する中、習近平指導部は内憂外患を抱えている。孫政才
  政治局員の失脚で、近く始まる非公式会議の「北戴河会議」
  も波乱含みだ。習氏としては、中国人民解放軍建軍90周年
  の8月1日に大規模な軍事演習を挙行して軍の存在をアピー
  ル、最高司令官である自らの立場を強めて北戴河会議を乗り
  切る構えだ。
   北京の中国人民革命軍事博物館周辺は7月21日、厳重な
  警備態勢が敷かれた。この日、習氏が李克強首相ら党最高指
  導部メンバーを引き連れて訪問、建軍90周年の特別展を見
  学。その模様は国営メディアを通じて全国に放映された。
   習指導部を取り巻く内外の環境は厳しい。国内では、ノー
  ベル平和賞を受賞した民主活動家、劉暁波氏の死去の影響が
  広がるのを押さえ込むのに躍起だ。24日には慈善組織と称
  する「善心匯」メンバーらが大規模抗議集会を強行した。
   対外的には、中印国境付近で両国の軍部隊が1カ月以上対
  峙する異常事態となっている。中朝国境付近では、中国側が
  朝鮮半島の危機に備え、軍事力を増強したと米紙が報じてい
  る。南シナ海では、ベトナムが始めたガス田の掘削作業に中
  国が猛反発し、中止させた。東シナ海では23日、上空で中
  国軍戦闘機が米軍機の飛行を妨害。中国の軍艦・公船による
  日本の領海への侵入も相次いでいる。
                  https://bit.ly/2DaOQ52
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王滬寧政治局常務委員と胡春華副首相.jpg
王滬寧政治局常務委員と胡春華副首相

posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 米中ロ覇権争いの行方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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