2019年02月05日

●「周到に準備して北載河会議に臨む」(EJ第4941号)

 米中戦争をきっかけに中国国内で起きた地殻変動ともいうべき
習近平政権批判騒ぎについて説明しています。批判の起きた3方
面を再現します。
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   1.国内の経済や金融の専門家からの習近平批判
 ⇒ 2.北載河会議での長老たちからの政権失政批判
   3.「墨汁事件」に代表される市民の習政権批判
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 トランプ米大統領が仕掛けてきた貿易戦争について、御用学者
の意見を聞いて初期の対応を誤った習近平政権が北載河会議前に
必死になってその取り繕いをやっています。北載河会議で問われ
る可能性のある習政権の「失政」とは次の3つです。
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◎第1の失政
  中国があまりにも強国路線を前面に出したことにより、トラ
 ンプ政権が貿易戦争で中国を叩く口実を与えたこと。
◎第2の失政
  米国と中国との間にはまだ経済では大きな差があり、貿易戦
 争によって、中国経済が本当に傾いてしまったこと。
◎第3の失政
  周辺諸国を含む国際社会が米中貿易戦争で自由貿易の推進と
 いう「正論」を説く習政権を支持してくれないこと。
           ──近藤大介著/NHK出版新書568
    「習近平と米中衝突/『中華帝国』2021年の野望」
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 上記の3つの失政ですが、これは当然の話です。誰も本当の意
味で、中国が自由貿易やグローバリズムの旗振りを任じても支持
などしないでしょう。中国は、南シナ海の領有権の問題で、ハー
グの常設仲裁裁判所が下した「中国の主張には国際法的根拠はな
い」という判決に対して、「そんなものは紙くずと同じ」といっ
て、聞く耳を持たなかったのです。自国主義を掲げるトランプ米
政権も狂っていますが、自分たちの意に沿わない国際法など歯牙
にもかけない中国が自由貿易を推進するといっても、どこの国も
本心では支持などしないと思います。
 近藤大介氏によると、2018年7月31日、習近平主席は中
央政治局会議を開き、次の「6つの決定」を行っています。これ
も北態河会議対策です。この会議は、中国共産党トップ25人が
集まって、ほぼ毎月行っています。
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 1.「穏中有変」
  ・経済の評価をこれまでの「穏中有好」を「穏中有変」に改
   めている。安定したなかに変化が見られるの意。経済が変
   化のあることを認めている。
 2.「積極的財政政策と穏健的貨幣政策」
  ・金融引き締め政策を改め、人民元を緩和し、公共投資を拡
   大し、内需を喚起する。
 3.「六穏」
  ・六穏とは、就業、金融、貿易、外資、投資、決済期日のこ
   とで、この6つを安定させる。
 4.「補短板」
  ・「補短板」とは、短所の補強・補填のことである。地方の
   インフラ投資を拡大させる。
 5.「レバレッジ率低下策の堅持」
  ・レバリッチ率とは負債率のことである。これ以上レバリッ
   チ率が上がると、リーマンショックのときと同じになるの
   で、これを鎮める。
 6.「不動産価格統制の堅持」
  ・中国経済にとって、最大のリスクは不動産バブルの発生。
   これを防止する。
                ──近藤大介著の前掲書より
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 こうした対策を施した結果、北載河会議は、いつ行われ、どう
なったのでしょうか。何しろ、会議の開催日をはじめとして、内
容は一切公開されないので、明確には分からないのです。
 しかし、2018年9月以降の習近平政権の動きを見ていると
米国の要求をかなり受け入れる方針に変化し、12月のアルゼン
チンのブエノスアイレスでの米中首脳会談の開催に漕ぎ付けてい
ます。その米中首脳会談の結果、2019年1月1日に予定され
ていた2000億ドル(約23兆円)分の中国製品に対する現行
10%の関税の25%への引き上げを90日間遅らせることに同
意しています。
 現在、ネット上で、情報を集めていますが、習近平主席は、北
載河会議での長老の反撃をうまく乗り切ったようです。これにつ
いては、改めて書くことにします。
 しかし、それでも習近平批判はなかなか鎮静化しないのです。
なぜ、全体主義下の中国において、任期のない終生トップの権限
を手に入れた習近平主席を批判できるのでしょうか。それは、長
老たちを中心として、一定の数の習近平批判勢力が存在するから
です。長老たちは、習近平派が提案する中国のトップの任期10
年を撤廃する改正は認めても、憲法にあたる党規約、第10条6
項の改正は死守したのです。
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     党規約/第10条6項
     党はいかなる形式の個人崇拝も禁止する。
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 しかし、2018年3月の全国人民代表大会で国家主席の任期
撤廃を行うと、習近平総書記への「個人崇拝」は、激しさの度を
増していったのです。メディアも連日、習近平礼賛報道に行い、
党規約第10条6項に違反する事態になっていったのです。
           ──[米中ロ覇権争いの行方/022]

≪画像および関連情報≫
 ●北戴河会議控え・・・スローガンから「習近平」消えた
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   【北戴河(河北省)=西見由章】中国共産党の指導部や長
  老らが河北省の避暑地に集まり、人事や重要政策について非
  公式に議論する「北戴河会議」が間もなく始まる。米中貿易
  摩擦の激化を受けて習近平総書記(国家主席)への批判が党
  内外で表面化しつつある中、重要会議の拠点でも党のスロー
  ガンから習氏の名前が激減し、習指導部の苦しい立場をうか
  がわせている。
   2018年7月31日、北戴河にある党幹部専用ビーチ沿
  いの道路は約3キロにわたって封鎖され、党や軍の関係者を
  乗せたとみられる当局ナンバーの特別車両が、相次いで出入
  り。周辺道路は武装警察や警察、私服の当局者が目を光らせ
  沖合では中国海警局の公船が警戒していた。複数の地元住民
  によると7月中旬には警戒態勢が強まったという。
   党幹部らが宿泊するのは、ビーチそばの森に点在する瀟洒
  (しょうしゃ)な西洋風別荘だ。前日に保養地を一望する聯
  峰(れんほう)山公園の展望台に向かったところ、数人の当
  局者が記者を尾行・撮影していた。
   北戴河の厳戒態勢は例年通りだが、“異変”もある。「新
  時代の中国の特色ある社会主義思想の偉大な勝利を勝ち取ろ
  う」。街中では会議のために新設した真新しい看板が目につ
  く。              https://bit.ly/2GgV1b4
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街中に設置されている中国共産党スローガン.jpg
街中に設置されている中国共産党スローガン
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 米中ロ覇権争いの行方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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