2019年01月29日

●「世界第2位経済大国の正体に迫る」(EJ第4936号)

 米国のトランプ政権から貿易戦争を仕掛けられて、それを習近
平政権の中国が昂然と受けて立ったのは明らかに失敗です。なぜ
なら、中国経済の実態が米国に対する輸出に過度に依存している
経済であるからです。これについて、日高義樹氏は、次のように
述べています。
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 中国経済は、アメリカに対する輸出に一方的に依存している。
2017年、中国製品の世界に対する全輸出の実に3分の2以上
88パーセントがアメリカ向けであった。中国は、2017年、
アメリカから2758億ドル、概算すると30兆円以上の貿易黒
字を手にした。そういったアメリカに対して貿易戦争を続けられ
るはずがない。中国がアメリカから買っている食料や石油はいわ
ば戦略的物資である。中国としては国家の存立のために買わざる
をえない必需品であり、貿易戦争の対象にはなり得ない。
                ──日高義樹著/徳間書店刊
        「アメリカに敗れ去る中国/安倍外交の危機」
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 中国は、米国に次ぐ世界第2位の経済大国です。それでいて発
展途上国でもあるのです。この現状認識を中国の習近平国家主席
は持っていないと日高義樹氏はいいます。つまり、現状認識に欠
けているのです。習近平国家主席は、よく米国との「2大大国時
代」を口にしますが、そのこと自体が認識の欠如です。
 なぜ、中国は発展途上国なのかというと、それはたくさん上げ
ることができます。国内のインフラストラクチャーは整備されて
おらず、国民生活の格差は拡大する一方です。当然そこに湧き上
がってくる国民の不満や反感を習近平主席は、独裁体制を基盤に
力で押し潰しているのです。
 それに経済大国といっても、それはGDPが米国に次いで第2
位だからであり、肝心の経済の実体には大きな問題がいくつもあ
るのです。とくに1人当たりの国民所得でいうと、中国は、20
15年は72位、7990ドルに過ぎないのです。以下に、20
15年度のG7の順位を示します。世界第3位の経済大国である
日本は、G7中第6位、世界順位第24位と低迷しています。
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     ◎G7における一人当たりGDP/2015
        順位      国名    米ドル
        5位    アメリカ  55805
       13位    イギリス  43771
       16位     カナダ  43332
       18位     ドイツ  40997
       20位    フランス  37675
       24位      日本  32486
       25位    イタリア  29867
       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
       72位      中国   7990
              https://bit.ly/2sLvX3S
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 今回の米中貿易戦争で、中国の失うものはあまりにも大きいと
いえます。その失うもののなかでも大きいのは、中国は米国が主
張する不正な経済活動で米国から得ている年間5000億ドルの
資金(貿易黒字)が今後得られなくなることです。しかし、中国
は米国との交渉において、米国との貿易収支の幅をどれだけ狭め
ればよいかを考えているレベルであり、中国の指導者が事態の深
刻さに気が付いていないフシがあります。このことについて、日
高義樹氏は、次のように述べています。
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 習近平と中国政府の致命的な失敗は、新しい事態が生じた際の
プランB、つまり対応策を考えていなかったことである。経済拡
大に邁進するだけで、経済拡大の停止という状況が起きた場合の
プランBを考えておかなかった。私のハドソン研究所の友人はこ
う言っている。
 「中国政府はアメリカから際限なくドルが入ってこなくなった
場合、国民をどう納得させるか、まったく考えていなかった」
 習近平が、国民の不満を押さえつけて納得させる手段は、独裁
体制と言論弾圧を強化すること、侵略的な対外政策で、国民の目
を外にそらすことであった。だがそうした手段を取り続けるため
にも、アメリカからの湯水の如き貿易黒字という収入が必要なの
である。            ──日高義樹著/徳間書店刊
        「アメリカに敗れ去る中国/安倍外交の危機」
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 どうして中国はこの深刻な事態に気が付かないのでしょうか。
それは、現トランプ大統領の前の3人の米国の大統領──クリン
トン、ブッシュ、オバマの3人の大統領の判断の誤りにあったと
いえます。
 その判断ミスとは、中国経済は巨大であり、米国経済や世界経
済が発展するために必要不可欠なものであるが、もし崩壊すると
その影響は計り知れないほど大きくなり、米国経済を直撃すると
考えて、中国の不正な経済活動に目をつぶったことです。それに
中国が経済的に発展すれば、政治体制が変わり、やがて民主主義
国家に変貌すると予測したことです。
 ここでいう不正な経済活動とは、「米国経済の高価な首飾り」
といわれる先端技術やパテントを、スパイ活動やサイバー技術を
悪用して盗み、それを国営企業に与えて大量な製品を作り、それ
を当の米国に売るということを指しています。
 トランプ大統領が決断した今回の貿易戦争は、そういう不正な
行為を絶対に許さないという意思のあらわれです。これについて
日高義樹氏は、興味ある言葉で表現しています。「少数の人間を
長いあいだだますこと、大勢の人間を短い間だますことはできる
が、大勢の人間を長いあいだだますことは出来ない」と。
           ──[米中ロ覇権争いの行方/017]

≪画像および関連情報≫
 ●中国・国有企業「3兆円不正」の証拠を公開!
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   2017年7月14日と15日、北京で全国金融活動会議
  が開かれた。共産党大会直前に、主な幹部が全員出席して行
  われた5年に一度の金融分野での重要会議だ。
   習近平主席が長い演説を行った初日の会議終了後に、異変
  は起こった。中国共産党序列14位の孫政才・重慶市党委書
  記(53歳)が突然、身柄を拘束されたのである。現役の中
  央政治局委員(トップ25)であり、今秋の第19回共産党
  大会で習近平主席の後継者になるとも目されていた幹部が、
  引っ捕らえられたことで金融問題の会議どころではなくなっ
  てしまった。ある北京の経済官僚が明かす。
   「党中央(習主席)に逆らうと、恐ろしい報復が待ってい
  る」ことを見せつけたのだ。先日も共産党の学習会の席で、
  習主席の最大の経済ブレーンである劉鶴・中央財経指導小グ
  ループ主任の最新の訓示が配られ、そこにはこう書かれてい
  た。「中国に純粋な経済学などない。あるのは政治経済学の
  みだ。習近平総書記を核心とする党中央が指導する経済学に
  従うことこそが、国務院(中央官庁)と国有企業に課せられ
  た重大な使命である」
   昨年11月には、「お上ではなく市場を見て仕事しろ」と
  常々言っていた楼継偉財政部長(財務相)が突然、閑職に追
  いやられた。国有企業の経営者たちは、党中央に従わないと
  たちまち「腐敗分子」のレッテルを貼られて逮捕される。つ
  いこの間も国有企業18社が、見せしめに遭ったばかりだ」
                  https://bit.ly/2SeWUvr
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習近平国家主席.jpg

習近平国家主席
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 米中ロ覇権争いの行方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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