2019年01月25日

●「米中貿易戦争で落ち込む中国経済」(EJ第4934豪)

 米国から貿易戦争を仕掛けられて、中国人民中央銀行と国家財
政当局が衝突し、習近平政権は、収拾のつかない政策的な混乱に
陥っているといわれます。
 中国の経済政策の中心は、対米貿易の拡大です。そのため、財
政当局としては、人民元を引き下げ、金融を緩和して輸出を一層
拡大させようとします。
 これによって、中国税関総署が昨年12月8日に発表した貿易
統計によると、11月の対米貿易黒字は、前年同月比27・6%
増の355億ドル(約4兆円)で、単月の黒字額で過去最高を更
新しています。このように、中国にとって対米貿易の拡大は、ド
ル箱そのものだったのです。
 しかし、それが米国による関税引き上げによって、米国からの
資金源がまったく閉ざされてしまったのですから、中国の財政当
局としては混乱するのは当然です。米国のトランプ政権としては
中国の経済成長にブレーキをかけることによって、結果としてそ
の危険な覇権主義を抑えることになると判断し、貿易戦争を仕掛
けたのです。
 中国の政策当局者は、表面上は平静を装って次のように述べて
いますが、内心は相当焦っていたのです。
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 中国経済の伸びは現在年間GDPで6・7パーセントである。
アメリカとの貿易がうまくいかなくなったとしても、0・3パー
セントほど伸び率が減ることになるが、中国経済が大きな打撃を
受けることはない。          ──中国の政策当局者
                ──日高義樹著/徳間書店刊
        「アメリカに敗れ去る中国/安倍外交の危機」
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 米国の中国に対する2018年の貿易戦争は、追加関税措置が
開始される7月以前から始まっていたのです。そして7月6日、
米国は、中国から輸入される818品目に対して340億ドル規
模の追加関税を発表し、中国側も同規模の報復関税を発動して本
格的な貿易戦争が始まったのです。結局、米中の貿易戦争は1年
続いているのです。これによる中国経済の減速が明らかになりつ
つありますが、その減速スピートが予想以上のものであることが
わかってきています。その予想を上回る減速について、ジャーナ
リストの山田順氏は、次のように書いています。
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 中国汽車工業協会が3019年1月14日に発表した2018
年度の新車販売台数では、28年ぶりに前年比でマイナスに転じ
ました。2017年比2・8%減で、約2800万台。数字的に
は大したことがないように思えますが、消費の落ち込みが原因で
すから、その影響ははかりしれません。
 この中国の消費市場の落ち込みをさらに裏付けたのが、17日
に日本電産が発表した19年3月期の業績予想の下方修正です。
日本電産の永守重信会長はこう言いました。「昨年11、12月
は経験したことがない落ち込み。46年間経営しているが、こん
なに落ちたのは初めてだ」
 この発言で、日本の産業界に衝撃が走りました。日本電産は中
国で自動車や白物家電向けのモーターを提供しています。その生
産が30〜40%も落ち込み、工場は在庫の山になったというの
です。日本電産と同じく下方修正を発表したのが安川電機で、こ
ちらはスマホ向け製造装置の生産が大きく落ち込んだのが原因で
す。「世界の工場」とされてきた中国ですが、消費の落ち込みと
ともに、工場の稼働率が落ち、大不況に見舞われていると言って
いいのです。            https://bit.ly/2FJike7
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 日本電産の永守重信会長は「炭鉱のカナリア」の異名を持つ人
です。危険を察知すると、素早く知らせてくれます。その永守会
長が中国経済の落ち込みは予想以上で、「リーマン級もある」と
予測しています。
 現在トランプ政権は、メキシコ国境の壁の問題で民主党と対立
していますが、こと中国に関しては、民主党も一枚岩であるとい
われています。ジャーナリストの山田順氏によると、民主党のナ
ンシー・ペロシ下院議長は筋金入りの「中国嫌い」で知られてお
り、ブッシュ政権時代に「北京五輪をボイコットせよ」と主張し
たくらいです。したがって、中国叩きなら議会は問題なく、一致
団結できるのです。
 つまり、中国が約40年にわたって経済の拡大を続けてこられ
たのは、米国経済のおかげなのです。米国としても中国が経済発
展すれば、民主国家になると予測して支援してきたのですが、経
済力を利用して覇権を求めるようになったので、その経済力その
ものを弱体化させようとして貿易戦争を起こしたといえます。
 中国の経済は明らかにバブルであるといえます。この状態でも
し米国からの資金が入ってこなくなると、バブルは崩壊すること
になります。しかし、中国は社会主義国ですから、かつてのソ連
がそうであったように、民主国家ではできない、いろいろな方策
を講ずることができますが、崩壊は時間の問題です。
 現在の中国の経済の現況について、日高義樹氏は、次のように
述べています。
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 中国経済がバブルであるという事実は、40兆ドル以上の莫大
な借金を抱え込んでいることに示されている。この40兆ドルと
いうのは、中国のGDPのおよそ4倍にあたる。
 中国の人々は、いわば借金の二日酔いの中で暮らしているよう
なものだ。銀行は政府の命じるまま、担保なしで貸し出しを続け
ている。いっぽう政府は、土地不動産の価格崩れを防ぐために、
一般の人々の土地や住宅の売買を禁止している。
                ──日高義樹著の前掲書より
─────────────────────────────
           ──[米中ロ覇権争いの行方/015]

≪画像および関連情報≫
 ●米中貿易戦争/いま中国で起きている「ヤバすぎる現実」
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   米トランプ政権が、中国製品に関税をかけたり、中国から
  の投資に規制をかけようとしたりと、「なりふり構わぬ」格
  好で、中国を潰しにかかっています。
   なぜトランプ政権が、このような行為に及ぶのかと言えば
  それは「未来の中国年表」を見ると一目瞭然です。「未来の
  中国年表」とは、「人口はウソをつかない」をモットーに、
  人口動態から中国の行く末を予測したものです。現在の米中
  両大国の人口を比較すると、中国は、アメリカの約4・2倍
  の人口を擁しています。経済規模(GDP)については20
  17年の時点で、63・2%まで追い上げています。このペ
  ースで行くと、2023年から2027年の間に、中国はア
  メリカを抜いて、世界ナンバー1の経済大国となるのです。
   先端技術分野に関しては、アメリカにとってさらに深刻で
  す。国連の世界知的所有権機関(WIPO)によれば、各国
  の先端技術の指標となる国際特許出願件数(2017年)は
  1位がアメリカで5万6624件ですが、2位は中国で4万
  8882件と肉薄しています。
   しかも、企業別に見ると、1位が中国のファーウェイ(華
  為)で4024件、2位も中国のZTEで2965件。3位
  にようやくアメリカのインテルが来て2637件となってい
  ます。トランプ政権がファーウェイとZTEの2社を目の敵
  にしているのも、アメリカの焦燥感の表れなのです。
                  https://bit.ly/2wjm67H
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日高義樹氏.jpg
日高義樹氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 米中ロ覇権争いの行方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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