2019年01月23日

●「北朝鮮攻撃の可能性は増している」(EJ第4932号)

 具体的な非核化に踏み出すことなく、トランプ米大統領への親
書攻勢によって、2回目の米朝首脳会談を勝ち取った金正恩委員
長ですが、その一方で、ネット上に次のようなレポートが登場し
ています。
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                  2019年1月21日
 「トランプはいま、北朝鮮攻撃の計画を密かに練っているか
 もしれない」         ジャーナリスト/山田敏弘
                 https://bit.ly/2W8gI2j
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 問題は、なぜこの時期にこのようなタイトルの記事が出るのか
です。米国は、米韓合同軍事演習すら中断して、北朝鮮の非核化
を促しているときです。それがなぜ「北朝鮮攻撃の計画」なので
しょうか。
 詳細については、上記の原文を読んでいただくとして、ここに
きて、なぜ、北朝鮮攻撃なのか、レポートに沿って要約解説する
ことにします。
 多くの人がそう思っているように、トランプ大統領も北朝鮮が
本当に核兵器を手放すとは思っていないはずです。なぜなら、金
正恩委員長は、核兵器こそ体制維持のための唯一の保険であると
考えているからです。現に数次にわたる核実験とミサイルの発射
実験をやったからこそ、トランプ大統領とのシンガポールでの首
脳会談が実現したと考えているはずです。
 ところで、2018年末に、トランプ政権から、次の2人の大
物が去っています。
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      1.ジョン・ケリー大統領首席補佐官
      2. ジェームス・マティス国防長官
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 ジョン・ケリー大統領首席補佐官は、大統領の身内が幅を利か
して混乱していた政権内部に秩序をもたらす役割として登用され
きちんと仕事をしていています。さらに、トランプ大統領が国際
秩序やルールを考慮しない、思い付きの政策を実行しようとする
のを、何度も、オーバーにいえば、身体をはってとめてきている
のです。しかし、そのため、後から政権入りしたジョン・ボルト
ン大統領補佐官(安全保障担当)とぶつかることが多くなってい
たのです。
 結局、11月の中間選挙で野党・民主党が躍進し、議会がねじ
れ状態になったことで、ケリー補佐官は退任を決意します。自分
いなくても、議会がトランプ大統領の暴走を止めてくれると考え
たからです。
 ジェームス・マティス国防長官は、ケリー首席補佐官と連携し
て、トランプ大統領の暴走をとめてきています。マティス国防長
官について、山田敏弘氏は次のように書いています。
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 マティスは、軍の政策と歴史にも精通し、人望が厚い国防長官
だった。トランプ政権がカオス状態にあるなかで、マティスは政
権内に安定をもたらしていると評されていた。またダン・コーツ
元国家情報長官によれば、国外においても「マティスのリーダー
シップは、同盟国と敵国から尊敬されていた」という。
 マティスは、北朝鮮攻撃については慎重であり、トランプに攻
撃を思いとどまらせてきた。マティスが退任したことで、ある国
防省の元幹部は米メディアに「クレイジーなトランプがいても、
マティスが国防省を仕切っていたから夜はゆっくり眠れたのに・
・・」と語っていたが、今後、彼らは夜も眠れなくなるかもしれ
ない。実は、マティスがいたことで安心していたのは政府関係者
だけではない。メディアも然り。マティスには、国防長官になる
前に、とある詐欺企業の活動に関与していたというスキャンダル
があったのだが、メディアではあまりこの詐欺企業への関与を深
く追及しないふしもあった。     https://bit.ly/2DqLOuT
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 これまでトランプ大統領は、マティス国防長官に何の相談もせ
ず、米韓合同軍事演習を中止すると発表したり、いきなり宇宙軍
の創設を宣言したり、シリアからの米軍の撤退を発表したりと、
やりたい放題。国の安全保障に関するこれだけのことを相談なし
にやられたら、マティス国防長官としても堪忍袋の緒が切れたの
でしょう。しかし、マティス国防長官は、辞任の発表とその理由
について記者会見を開いています。
 これがトランプ大統領の怒りを買い、マティス氏自身が辞任時
期を3月末としているのに、無理やり後任を任命して、2018
年末に辞任させています。よほどハラが立ったのでしょう。
 第2回の米朝首脳会談が行われ、北朝鮮が具体的な非核化に言
及せず、経済制裁の解除を求めた場合、ボルトン安全保障担当大
統領補佐官は黙っていないでしょう。今やトランプ大統領の周り
にいるのは、強硬派ばかりです。そういう意味で、前回とは異な
ります。山田敏弘氏は次のように書いています。
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 ケリーが去り、マティスがいなくなり、さらに、議会はねじれ
状態。トランプが、早朝に大好きな米FOXニュースを見て「や
れやれ、やはり金正恩に思い知らせるしかないか」なんて思いつ
くようなことがあった時に、誰がトランプに「ノー」と言えるの
だろうか。
 昨年、米国務省の関係者から聞いた話では、「米国務省の担当
者たちは水面下でいかにトランプを(北朝鮮と)戦争させないか
と必死になって動いてきた」という。北朝鮮攻撃に慎重だったマ
ティス国防長官などと同様に、国務省はトランプに軍事攻撃とい
う決断をさせないように働きかけてきたという。そうした目に見
えない抑止力も奪われつつある。   https://bit.ly/2R1PjLV
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           ──[米中ロ覇権争いの行方/013]

≪画像および関連情報≫
 ●2回目の米朝首脳会談/開催しなければならない事情
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   1月20日、2月下旬の米朝首脳会談に向けた実務協議が
  ストックホルム近郊で始まった。北朝鮮の具体的な非核化措
  置や北がアメリカに求める見返りも議題になっている可能性
  があり、日本や韓国の当局者も現地に入って米朝との接触を
  試みている。
  飯田)スウェーデンのストックホルムの近郊で始まった実務
  協議ですが、20日から始まって22日にかけて行われる予
  定です。日本からも金杉アジア大洋州局長が現地に入ってい
  るということです。
  須田)2回目の米朝首脳会談ということもあって、どうやっ
  て目に見える形で結果を出すのか。1回目を受けて米朝が水
  面下で協議を進めて来たけれど、何の結果も出ていませんよ
  ね。とは言え、アメリカにとってもトランプ政権が3年目を
  迎えているにも関わらず、内政はともかく外交の分野ではほ
  とんど実績が残せていないという状況を受けて、唯一成果ら
  しい成果が米朝首脳会談くらいなのですよ。ただこれは非核
  化という結果を出さなければなりません。そのなかでトラン
  プ大統領としても、そこへすがらざるを得なかったのかなと
  思います。北朝鮮側の事情ですが、かつての金正日体制の頃
  の北朝鮮といまの金正恩体制は全く似て非なるものだという
  ことを、大前提としてご理解頂きたいのです。
                  https://bit.ly/2T5RX55
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第1回米朝首脳会談/シンガポール.jpg
第1回米朝首脳会談/シンガポール
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 米中ロ覇権争いの行方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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