事件について書きましたが、これが本当であるとすると、その影
響は多岐にわたり、とんでもないことになります。
フェイスブックを毎日使うアクティブ・ユーザー数は2018
年7月31日時点で、世界で14億7000万人、日本国内だけ
でも2800万人もいます。既に述べているように、フェイスブ
ックの登録には、氏名、性別、生年月日、メールアドレスが必要
であり、プロフィールには写真を設定する必要があります。プラ
イバシーの公開範囲を絞って、居住地や出身地などのさらに詳し
い情報を設定する人もおり、その流出はきわめて深刻です。
ところがフェイスブックでは、ユーザーに断りなく、端末メー
カー60社以上とこれらのデータを共有しており、そのなかには
ファーウェイを含む4社の中国メーカーも含まれています。こん
なことは許されることではなく、フェイスブックの信用失墜につ
ながりかねない深刻な事態です。
フェイスブックの情報漏洩の話はひとまず置き、トランプ氏が
大統領に就任にした2017年以降、米中間で起きたことについ
て、主として日高義樹氏の記述に沿ってみていくことにします。
2017年4月7日、習近平国家主席が訪米し、米中首脳会談
が行われます。この首脳会談において、米中間の貿易不均衡の問
題が指摘され、その解消のための米中包括経済対話メカニズムの
立ち上げが合意されています。
このとき、習近平国家主席は、米国の対中輸出を増やすための
100日計画の策定を約束しています。苦し紛れにその場をしの
ぎ、時間稼ぎをした印象です。果せるかなその100日後の20
17年7月に、米中の閣僚級による包括経済対話メカニズムの交
渉が行われましたが、何の進展も見ないまま頓挫しています。
これを受けて、トランプ政権は、中国に対し、不公正な貿易慣
行がないか、スーパー301条に基づく調査を開始すると宣言し
調査をはじめます。2017年9月18日、ライトハイザー米通
商代表は、講演において、次のように述べています。
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外国企業が中国に進出するさい、技術移転を強要し、その上で
不公正な補助金で輸出を促進する中国が、国際的な貿易体制の脅
威になっている。 ──ライトハイザー米通商代表
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ここまでいわれても中国は、額面通りに受け取らず、次のよう
に反論しています。
─────────────────────────────
それは、企業間の取引の話であり、中国政府による干渉など一
切あり得ない。 ──中国の高峰報道官
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この時点でも、中国はまだトランプ政権を甘く見ており、楽観
視していたといえます。なぜなら、11月には、トランプ大統領
の訪中が決まっていたからです。
11月9日、トランプ大統領は中国を訪問し、習近平国家主席
による最大級のもてなしを受けます。このとき行われた米中首脳
会談では、対中貿易赤字削減のため、総額2535億ドルの商談
が調印されていますが、そのほとんどは、覚書や協議書のたぐい
であったのです。このようなもので、騙されるようなトランプ大
統領ではないのです。
年が明けて2018年になると、トランプ政権は、具体的に行
動を起こします。1月12日に中国が2017年の対米貿易額を
発表しますが、その対米貿易黒字額は、2758億1000万ド
ルという過去最高を更新したのです。
これに対してトランプ政権は、1月22日に緊急輸入制限を発
動し、太陽光発電パネルに30%、洗濯機に20%以上の追加関
税を課すことを発表しています。太陽光パネルの国別シェアにつ
いては、1位がマレーシアで、2位が中国だったのです。これに
よって、関税引き上げによる貿易戦争がスタートしますが、標的
はまだ中国に向けられていないのです。
そして、3月1日、トランプ政権は、通商拡大法232条に基
づいて、鉄鋼、アルミニウム製品に追加関税を実施すると発表し
ます。課税額は鉄鋼25%、アルミ10%。米国の安全保障を理
由にするものですが、日本を含め、ほとんどの国がターゲットに
なったのです。そして、3月23日、トランプ政権による鉄鋼、
アルミ製品への追加関税措置が発動されます。
これに対して中国商務省は、128品目の米国製品に対し、約
30億ドルの追加関税をかける報復措置を発表し、この時点から
米中の貿易戦争の様相がはっきりとしてきたのです。
実は、トランプ大統領は、この鉄鋼、アルミ製品の追加関税の
発表後、4人の経済政策担当の閣僚級のスタッフを北京に送って
います。ムニューチン財務長官、ロス商務長官、ライトハイザー
通商代表、ナバロ国家通商会議委員長の4人です。このときの様
子について、日高義樹氏は次のように書いています。
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北京での会議では、トランプ政権の経済政策の責任者である4
人の意見がまったく合わず、大混乱になったという。ムニューチ
ン財務長官は、トランプ大統領の対中国強硬政策に反対し、政策
としては望ましいものではない、という姿勢を明確にした。いっ
ぽうでは、ライトハイザー通商代表が、トランプ大統領の決定が
手ぬるいと主張し、もっと厳しい制裁措置が必要であると主張し
た。(中略)政府を代表してワシントンからやってきたトランプ
政権の経済政策のトップが、意見が合わずして対立し、混乱して
いることを交渉の相手の前でひけらかしてしまったのである。
──日高義樹著
「アメリカに敗れ去る中国/安倍外交の危機」
徳間書店刊
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──[米中ロ覇権争いの行方/011]
≪画像および関連情報≫
●米中貿易戦争なら米国の圧勝、日本には漁夫の利
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米国の対中輸入額は、対中輸出額の約4倍あります。とい
うことは、米国の対中輸入制限と中国の対米輸入関税が同時
に課された場合、単純に考えて、中国の受ける打撃の方が4
倍大きいということを意味しています。中国のGDPは米国
よりも小さいので、打撃額のGDPで比べれば、その差は更
に大きくなります。金額だけではありません。中国の対米輸
出品が労働集約型製品で、米国の対中輸出品が技術集約型製
品だ、という点も両者の打撃の大きさに影響します。
まず、米国の中国からの輸入品について、考えてみましょ
う。米国は、別の国から輸入することもできますし、米国内
でも生産することができます。現在米国が中国から輸入して
いるのは、「安いから」という理由だけなので、関税がかか
れば対中輸入は激減し、他国からの輸入と国内生産が増える
でしょう。国内生産が増える分は、米国内の雇用を増やしま
す。「米国の人件費は高いので、中国から輸入されている物
を米国内で作るはずがない」、と考える人もいるでしょうが
途上国で労働集約的に作るか米国内で機械を使って作るかの
比較なので、中国と米国の生産コストの差は賃金格差ほど大
きくはないのです。一方で、米国の対中輸入関税が中国に与
える打撃は大きなものとなります。労働集約型製品の輸出が
大きく落ち込むと、中国人労働者が大量に失業することにな
るからです。 https://bit.ly/2QXFC17
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ライトハイザー通商代表


