2019年01月18日

●「ザッカーバーグは中国に異常接近」(EJ第4929号)

 ヤフーやグーグル、フェイスブックなどの米ネット企業にとっ
て、中国進出は大きな挑戦であったといえます。しかし、中国に
は厳しい規制と検閲があり、ユーザーが自由に発言できないなど
ネット企業にとって大きなカベがあるのです。
 フェイスブックのザッカーバークCEOも「世界中の人々をつ
なげたい」という目標を持つ以上、どんな困難なことがあっても
中国を無視できない」と語っています。ザッカーバークCEOに
ついて、エミリー・パーカー氏は次のように述べています。エミ
リー・パーカー氏は、ウォール・ストリート・ジャーナル中国担
当で、米国務省のアドバイザーを務めています。
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 ザッカーバーグCEOは、明らかに中国を苦労する価値がある
ものと考えている。たとえそれがいくらかの「西洋的価値観」を
投げ捨てることを意味してもだ。ザッカーバーグCEOは、今年
(2016年)初めに北京を訪れ、劉雲山中国中央宣伝部部長と
会談し、大きな注目を集めた。
 中国の国営メディアはフェイスブック創業者が中国でインター
ネットを発展させ、政府と協力してよりよいサイバースペースづ
くりに取り組むと約束したと報じた。劉部長は「中国特有の」イ
ンターネット統治の概念を強調した。その意味するところは明ら
かだ。中国版フェイスブックは間違いなく検閲される。今年の訪
問(2016年)はちょっとした「続編」だった。2014年に
ザッカーバーグCEOは、中国サイバー管理局のルー・ウェイ局
長をフェイスブックのオフィスでもてなした。その時、ザッカー
バーグCEOのデスクの上には習近平国家主席の本がたまたま置
かれていた。            https://bit.ly/2LWX054
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 実は、米国のネット企業のなかでもフェイスブックは、中国の
指導部にとくに警戒されていたのです。なぜなら、中国では「ア
ラブの春」のことを「フェイスブック革命」と表現していたから
です。現在とはまるで逆の話ですが、中国政府は、米国のネット
企業は、米国政府による諜報活動のバックドアになっているので
はないかと警戒していたのです。
 実際にフェイスブックは、2009年から中国でアクセス規制
されていますし、同社が買収したインスタグラムも2014年に
規制されています。しかも、中国でもテンセント(微信)が20
11年に「ウィーチャット」というサービスをはじめており、ま
すます参入が厳しくなっているのです。
 それでもザッカーバーグCEOはあきらめていないのです。そ
こで彼は、できる限り中国の要人に会い、警戒を解こうとしたの
です。中国の指導者は、人間関係を重視することを知っており、
そのためにザッカーバークCEOは、劉雲山氏をはじめとする中
国の要人に会っているのです。
 それにもうひとつ、バッカーバーク氏には強みがあるのです。
彼は2012年に結婚しましたが、妻は華僑系のプリシラ・チャ
ンという中国人です。まさか、そのために中国人と結婚したので
はないとは思いますが、同業他社よりも有利なポジションにいる
ことは確かです。ザッカーバークCEOの考え方はこうです。
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 中国には、13億人という人口の数からみても、世界中の人を
繋げることを目標とするフェイスブックとしては無視できない存
在である。そのため、若干の「西洋的価値観」を捨て、多くの統
制や検閲を受け入れたとしても、参入すべき価値がある。そのた
めには、できる限り中国の要人との接触に努めるとともに、中国
内にフェースブックとしていろいろな拠点を設ける必要がある。
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 ザッカーバークCEOは、上記の考え方に基づいて、中国訪問
を繰り返していますが、依然として再参入は認められていない状
況です。とくにトランプ政権になってからは、米国の方が安全保
障上の観点から、中国系通信企業に規制を強化しているので、一
層困難になっています。
 ウォール・ストリート・ジャーナルは、2017年10月時点
のフェイスブックの中国との関わりについて、次のようにレポー
トをしています。
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 【北京】中国でフェイスブックへのアクセスが解禁されるのは
まだ先かもしれない。それでも同社のマーク・ザッカーバークC
EOは、訪中を繰り返している。
 ザッカーバーク氏は、2017年10月28日、顧問委員を務
める北京の精華大学の年次会合に出席するため、中国入りした。
 フェースブックは、9月、新設した中国の政府担当部門トップ
にビジネス向け交流サイト米リンクトインで、中国政府との折衝
を統括していたウィリアム・シュアイ氏を招き入れた。リンクト
インは、中国ユーザー向けコンテンツの検閲を受け入れ、現地企
業との合弁を立ち上げることを条件に中国参入を認められた。
 フェイスプックは今年に入り、仮想現実(VR)部門オキュラ
スの上海拠点に500万ドル(約5億6000万円)の追加融資
を実施している。
 サッカーバーク氏は30日、精華大学の会合で演説した習近平
国家主席とも短い時間ながら、顔を合わせた。今回の訪中で、中
国当局とフェイスブックに関する話し合いの場が設けられたかど
うかは明らかになっていない。
 ザッカーバーク氏はこれまで、中国がフェイスブックの未来に
とって重要な市場であると述べてきた。北京の調査会社マーブリ
ッジ・コンサルティングのマネジメントディレクター、マーク・
ナトキン氏は、精華大学で顧問委員を務めるのも(フェイスブッ
ク)が再参入を諦めていない証しかもしれないと述べている。
                https://on.wsj.com/2Cu4PuE
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           ──[米中ロ覇権争いの行方/010]

≪画像および関連情報≫
 ●「ザッカーバーク親中派戦略」は功を奏すか
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   宣伝という意味では、中国で過ごした数日間は、フェイス
  ブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)
  にとって大成功だったと言えるだろう。
   ザッカーバーグの今回の訪中は、中国の国内メディアで大
  きく取り上げられ、中国のインターネットユーザーの注目を
  集めた。天安門広場でジョギングをしたというフェイスブッ
  クへの投稿は大きな反響を呼び、中国ネット通販最大手アリ
  ババ創業者の馬雲(ジャック・マー)との対談もメディアは
  こぞって報道した。2016年3月19日には、中国指導部
  の1人である共産党の劉雲山・党政治局常務委員とも会談し
  た。過去の訪中でもザッカーバーグは、習いたての中国語を
  披露したり、中国への熱い思いを語ったりしてこの国の人々
  に好印象を与えてきた。米国においてもザッカーバーグは習
  近平国家主席と会談したり、中国高官に習の著書を読んでい
  ると話したり、生まれたばかりの娘マックスに中国語の名前
  をつけたりした。今回を含む訪中で、ザッカーバーグが「中
  国人の間で知名度ナンバーワンの外国人実業家」という地位
  を固めたのは間違いない。だがこうした懐柔策により、中国
  政府にフェイスブックへのアクセス規制をやめさせ、約7億
  人のネットユーザーの取り込みを図るという最終目標が達成
  できるのかどうかはまったく分からない。
                  https://bit.ly/2CoTKLu
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ザッカーバーク夫妻.jpg
ザッカーバーク夫妻
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 米中ロ覇権争いの行方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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