2019年01月16日

●「フェイスブックは今後どうなるか」(EJ第4927号)

 およそあらゆる企業にとって、フェイスブックのユーザーデー
タがいかに貴重なものであるかわかるでしょうか。
 それは、「友達」の質が他のSNSと違うからです。フェイス
ブックの場合、ユーザーAが、ユーザーBの「友達」になる場合
は、AはBに対して「友達リクエスト」を送って、Bの承認を得
る必要があります。つまり、リアルの世界と同じように、友達に
なる場合は、相手の承諾が必要なのです。
 LINEの場合は、アドレス帳に相互に携帯電話番号が登録さ
れていれば、自動的に「友だち」になりますし、ツイッターのフ
ォロワーは相手の承諾なしにフォロワーになれます。そして、い
つでもフォローを外すことができます。つまり、フェイスブック
の「友達」とは質が異なるのです。
 ビジネスで考えてみます。商品を売る企業の立場で考えてみま
す。Aというセールスパーソンが、Bに対して、商品かサービス
を売り込み、成功したとします。この場合、企業としてはBを中
心とする人間関係をたどって、さらに商品かサービスを拡大して
売り込んでいきたいと思うものです。
 そのさい、フェイスブックの「友達」の情報が分かると、それ
は有力な見込客になります。これが商品の売り込みではなく、選
挙の投票先ということになると、条件は営業とは異なると思いま
すが、それでも「友達」は支持を拡散できる有力な拠点的存在に
なるはずです。それほど、フェイスブックの「友達」は貴重な存
在なのです。
 さて、話をフェイスブックのデータ流出事件に戻します。結局
ケンブリッジ・アナリティカに流出したデータは、8700万人
にのぼったのです。しかもその大半は、明確な同意のない「ユー
ザーの『友達』のデータ」です。その結果、マーク・ザッカーバ
ークCEOは、米議会と欧州議会での証言を迫られる事態に発展
したのです。しかし、ザッカーバーグCEOは、議会で、データ
の共有は規約としてルール化されており、不正にデータを取得し
たケンブリッジ・アナリティカに対しては、そのデータの消去を
要請し、その証明も済んでいると証言しています。そしてその後
データーの共有はできないようにセキュリティを強化したと証言
しています。あくまでフェイスブックとしては、一応被害者の立
場をとっているのです。
 しかし、ことはそんなことでは終らなかったのです。フェイス
ブックのデータの扱い方に不適切なことが次々と明らかになった
からです。ザッカーバークCEOは、次のサイクルを何度か繰り
返しているのです。
─────────────────────────────
    疑惑発覚 → 議会釈明 → 対策強化約束
    ↑ ←―――――――――――――― ↓
─────────────────────────────
 ウォールストリート・ジャーナルによると、フェイスブックで
は「ホワイトリスト」と呼ばれる特定企業に対しては、ユーザー
データーの共有を認めています。このホワイトリストのなかには
カナダロイヤル銀行や日産自動車が含まれているといいます。
 極め付きは、2018年6月3日付のニューヨーク・タイムス
のスクープです。これによると、フェイスブックは、2007年
頃から、複数の端末メーカーと「パートナー契約」と称して、当
然のことのように、データの共有を平然と10年以上続けていた
のです。
 その端末メーカーは、実に60社にのぼるのです。アップル、
サムスン、ブラックベリー、マイクロソフト、アマゾンなどが含
まれます。それだけではないのです。この60社のなかには、中
国の次のメーカーも含まれていたのです。
─────────────────────────────
       1. ファーウェイ(華為技術)
       2.    レノボ(聯想集団)
       3.オッポ(広東欧伯移動通信)
       4.          TCL
─────────────────────────────
 フェイスブックをめぐり、これだけ多くの疑惑が生じているの
です。日本では「フェイスブックのデータ流出」のニュースは報
道されていますが、今回EJで取り上げたフェイスブックに関わ
る詳細な報道は一切ないのです。
 それでは、その渦中のフェイスブックは、現在、どういう状況
にあるのでしようか。これについては、次のサイトの記事の一部
をご紹介します。
─────────────────────────────
 このような一連の流れで、「フェイスブック」の株価は暴落し
わずか数日で8・4兆円の資産が吹き飛びました。ちなみにフェ
イスブック」は、有形資産をほとんど持っていない企業です。こ
の一連の報道のあと、もともと関係性が良くなかった米電気自動
車メーカーの「テスラ」と米宇宙ベンチャーの「スペースX」の
CEOイーロン・マスクが、「フェイスブック」の公式ページを
削除。ロイター通信によると、ドイツの金融の大手「コメルツ銀
行」なども「フェイスブック」への広告出稿を見合わせており、
企業や著名人の「フェイスブック離れ」が、急速に進みつつあり
ます。               https://bit.ly/2Ctkqef
─────────────────────────────
 もし、フェイスブックがやったことが本当であるとすると、こ
れは大変なことです。上記のサイトにあるように、大手の大企業
が、フェイスブック上の公式ページを閉鎖したり、広告を引き上
げたり、しはじめているからです。これは個人にも波及します。
 一番問題なのは、中国との関係です。フェイスブックは、中国
のいいなりになってもよいから、中国とはビジネスをやりたいと
考えています。しかし、米国が中国とは激しい貿易戦争をやって
いるときに、フェイスブックの行動が許されるでしょうか。
           ──[米中ロ覇権争いの行方/008]

≪画像および関連情報≫
 ●今フェイスブックに何が起きているのか
  ───────────────────────────
   先週末(2018年3月)から、フェイスブックはかつて
  ない危機に瀕している。トランプ陣営に雇われたデータ分析
  ファームであるケンブリッジ・アナリティカが、ユーザーの
  承諾なしに数千万人の個人情報を不正利用していたと、報じ
  られたのだ。
   フェイスブックには、2010年から2015年にかけて
  サードパーティのアプリに、個人情報の詳細を集めることを
  許していた。悪用されることに気がついたフェイスブックは
  2015年に、(外部の)アクセスを一時停止し、プラット
  フォームをアップデートした。しかしケンブリッジ・アナリ
  ティカは既に何千万人ものデータを集めており、手遅れだっ
  た。2010年4月、フェイスブックは、ソーシャルグラフ
  (ネット上での人間の相関図)をサードパーティのアプリに
  公開した。ユーザーの「友達」の情報を含んだ莫大な量のデ
  ータを、取得理由を伝えることなく、要請できるようになっ
  た。これらのアプリはユーザーの公開プロフィール(名前、
  性別、場所、タイムゾーン、フェイスブックID)が含まれ
  た広範囲のデータセットを取得できた。それだけではなく、
  そのユーザーの友達の名前、経歴、誕生日、学歴、政治的見
  解や交際状況、宗教、メモ、オンライン表示などの情報もで
  ある。さらに許可が与えられると、デベロッパーには、ユー
  ザーの個人メッセージへもアクセスが拡大できた。
                  https://bzfd.it/2RuCsHm
  ───────────────────────────

李克強首相とザッカーバークCEO.jpg
李克強首相とザッカーバークCEO
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 米中ロ覇権争いの行方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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