2019年01月15日

●「フェイスブックへの重大なる疑惑」(EJ第4926号)

 先週金曜日のEJ第4925号で述べたように、ケンブリッジ
・アナリティカという英国の企業が、今後世の中を変革する可能
性のある2つの重要選挙(「EU離脱の可否を問う英国の国民投
票」と「2016年の米国の大統領選挙」)にフェイスブックの
データが不正に取得され、利用された疑惑が問題となり、フェイ
スブックが苦境に立っています。
 ケンブリッジ・アナリティカは、2018年5月2日、関連会
社とともに破産手続きを申請し、同日付ですべての業務を停止し
ています。なぜ、破産申請をしたのかについて、同社のウェブサ
イトは、次の趣旨の声明を出しています。
─────────────────────────────
 過去数ヶ月間にわたり、ケンブリッジ・アナリティカは多くの
根拠なき疑惑の的となってきた。そして、記録を訂正する努力に
もかかわらず、当社は業務について、合法のみならず政治領域、
商業領域どちらにおいても広く認められているインターネット広
告の規格に合っている商行為を中傷されてきた。
 ケンブリッジ・アナリティカは、従業員は倫理的、合法的に振
舞ってきたと揺るぎない自信を持っているが(中略)、メディア
報道の包囲攻撃は事実上全ての顧客と供給業者を離れさせた。
 その結果として、当社は事業運営の継続はもはや不可能だと判
断した。              https://bbc.in/2H9wpTw
─────────────────────────────
 ケンブリッジ・アナリティカは一体何をしたのでしようか。そ
れにフェイスブックはどのように関わったのでしょうか。
 既に述べているように、ケンブリッジ・アナリティカは、ネッ
ト上のデータを使って解析する選挙コンサルティング会社です。
2014年のことですが、フェイスブック上で、性格のタイプを
診断するアプリが開発され、ユーザーに提供されたのです。その
開発会社とケンブリッジ・アナリティカとの関係は、今のところ
わかっていません。
 このアプリは、ダウンロードして質問に答えると、その答えた
ユーザーだけでなく、その友達のデータまで収集してしまう設計
になっていたのです。元ケンブリッジ・アナリティカの社員から
の情報によると、約27万人がこのアプリを使ったことによって
米国に住む5000万人分のデータが、フェイスブック上の友達
ネットワークを通じて収集され、そのアプリの開発業者からケン
ブリッジ・アナリティカに売却されたというのです。
 問題は、このことがフェイスブックの規約に違反していないか
どうかです。
 アプリによって、フェイスブック内でデータが共有されるのは
規約で認められています。もともとフェイスブックは、閉じた情
報世界であり、その閉じた世界の中での情報の共有は違反ではな
いのです。
 しかし、それが外部に売却されたり、フェイスブックの外と共
有されることは違反になります。そういうことが発覚した場合は
収集したデータはすべて消去し、その証拠をフェイスブック社に
示すことが規約上決められています。
 この時点ではフェイスブック側に瑕疵はないようにみえます。
そもそもアプリというものは、情報の共有を求めてくるものが多
いのです。スマホにはGPSが付いているので、位置情報を持っ
ていますが、多くのアプリはその共有を求めてきます。アプリで
は、位置情報の共有がないと、本来の機能を発揮できないものが
あり、その場合、ユーザーは当然ですが、そのアプリをダウンロ
ードする以上、位置情報の共有を認めます。
 しかし、フェイスブックの場合、情報の共有の仕組みが複雑で
あり、自分ではそれとわからないまま、情報を勝手に共有されて
しまうケースが多いのです。
 今回のケースでは、外部のケンブリッジ・アナリティカにフェ
イスブックの膨大なデータが渡っています。ケンブリッジ・アナ
リティカは、データは使っていないし、収集したデータは、フェ
イスブック社の指示にしたがい、適切に消去していると主張して
いますが、その真偽は不明です。
 そもそもこの事件は、2017年5月18日に『タイム/TI
ME』誌が、2016年の米国大統領選挙におけるロシアの干渉
に関して、ケンブリッジ・アナリティカを調査しているという記
事を掲載したことによってはじまったのです。
 しかし、米国の政治学者の多くは、ケンブリッジ・アナリティ
カの「マイクロ・ターゲッティング」という手法に疑問を持って
います。これに関して、ウィキペディアは次のように述べていま
す。少し難解ですが、引用します。
─────────────────────────────
 アメリカの政治学者の多くは、ケンブリッジ・アナリティカが
「マイクロターゲッティング」と呼称する手法の投票者に対する
効果について、非常に懐疑的である。この手法「マイクロターゲ
ッティング」においては、特定のグループに分類された人々の行
動や興味・関心、意見等をデータ解析によって予見し、そこから
彼らにとって最も効果的な反応を引き出すメッセージが発信され
る。これに対して政治学者たちは、このようなデジタルデータへ
のアクセスによって得られる結果は、公表されている投票者のデ
ータから抽出される情報以上に有意味的なものではなく、また特
に投票者の意向が移り変わってゆく場合に、限定的な価値しか持
たないと反論する。従って、個人の類型を基にして政治的な価値
観を推測するのは困難であり、こういった個人の類型を基に投票
者に送信されるメッセージは、得てして標的を誤ることになりが
ちであるという。──ウィキペディア https://bit.ly/2C7li7R
─────────────────────────────
 このように見ると、フェイスブックは情報を窃取された被害者
のような立場であり、問題はないように見えます。
           ──[米中ロ覇権争いの行方/007]

≪画像および関連情報≫
 ●FBのデータ不正共有疑惑「8700万人に影響」
  ───────────────────────────
   フェイスブックは、2018年4月4日、最大でフェイス
  ブック利用者8700万分のデータが、選挙コンサルティン
  グ会社の英ケンブリッジ・アナリティカにより不適切に共有
  されただろうと発表した。それまで発表していた対象利用者
  数から大幅に増加した。
   同社はBBCに、データを不正に共有された利用者のうち
  約110万人は英国からアクセスしていたと答えた。情報が
  不正使用された利用者数はこれまで、一連の疑惑を告発した
  クリストファー・ワイリー氏が示した5000万人だと言わ
  れてきた。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経
  営責任者は「明らかに、もっと対策が必要だった。これから
  進めていく」と述べた。
   記者会見の中でザッカーバーグ氏は、フェイスブックは利
  用者に道具を提供しているのであって、使い方を決める主な
  責任は利用者自身にあると、以前は考えていたと話した。し
  かし、同氏は、そのような狭い考え方は「振り返ってみると
  間違いだった」と付け加えた。
   現時点で把握している内容を踏まえれば(中略)自分たち
  の責任についてもっと幅白い視点が必要だと、我々は理解し
  ていると思う」とザッカーバーグ氏は語った。「私たちは、
  ツールを構築しているだけではなく、人がそのツールをどう
  使い、その結果どうなるかついても、全面的な責任を取る必
  要がある」           https://bbc.in/2SRCNjN
  ───────────────────────────

フェイスブック(FB)に対する疑惑.jpg
フェイスブック(FB)に対する疑惑
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 米中ロ覇権争いの行方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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