2019年01月09日

●「なぜ中国に貿易戦争を仕掛けたか」(EJ第4923号)

 はじめに日高義樹氏の本を中心に中国の事情について書いてい
くことにします。私は、日高義樹氏の著作はほとんど持っており
読んでいますし、日高氏の主宰するテレビ番組も欠かさず、観て
いたほどの、いわゆる日高ファンです。当然のその主張は、EJ
にも反映されています。
 日高義樹氏が所属し首席研究員を務めるハドソン研究所という
のは、米国の保守派のシンクタンクで、1961年に未来学者の
ハーマン・カーン氏によって設立されています。財源は米政府の
委託に依存していますので、米政府寄りの姿勢が強く、米政府の
意向が反映されます。
 ハーマン・カーンは、1961年にランド研究所から独立して
「ハドソン研究所」を設立し、所長を務めています。1970年
には「超大国日本の挑戦」(邦訳:ダイヤモンド社刊)を著し、
「21世紀は日本の世紀である」と予測した人です。ちなみに、
よく似ている「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は、社会学者エ
ズラ・ヴォーゲルによる1979年の著書です。
 2018年10月4日、ペンス副大統領は中国に対して、まる
で宣戦布告するような激しい内容の演説を行いましたが、このハ
ドソン研究所での演説だったのです。
 日高義樹氏は、2016年の米大統領選挙において、既に7月
の時点でトランプ大統領の当選を予測しています。その分析力は
確かなものです。記者の質問に答えています。
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──大統領選が大詰めになってきましたが、なぜトランプがこん
なに支持されているのでしょう。
日高:頭が良いのと戦術に優れているのではないですか。今の段
階では(インタビューは7月28日)トランプが大統領になると
思います。今一番大きな問題は移民の問題。不法移民が1500
万人もいますが、これをどうするかということについて、意見は
分かれています。共和党の政治家の多くは、金持ちから支援を受
けていますが、彼らは安い移民労働力で儲けている。しかし、安
い賃金で働く移民がいると白人の給料が上がらない。それに多く
の白人たちがすごく腹を立てています。トランプは初めからその
人たちを取り込む戦略でした。この層である国民の20%がトラ
ンプについたのです。一方のヒラリーは人道的な解決法を模索し
ていますからね。この移民問題が今度の選挙で大きな要素を占め
ていると思います。         https://bit.ly/2FbaARO
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 「中国は米国の技術を盗んでいる」──これは米国による中国
に対する強い不満の表明です。トランプ政権になってから米国は
それを言葉を選ばずストレートで明言しています。
 ペンス副大統領は、昨年10月、ハドソン研究所での演説で、
次のように述べています。そこには、中国に対する強い怒りが込
められているように感じます。
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 過去17年間で、中国のGDPは9倍になり、世界第2の経済
大国になった。この成功の大部分がアメリカの中国投資によって
もたらされた。また、中国共産党は、ほんの数例を挙げるだけで
も、関税、割り当て、為替操作、強制的な技術移転、知的財産窃
盗、およびキャンディーのように与えられる工場への補助金を含
む自由かつ公平な貿易と矛盾する政策の武器を使用してきた。
 現在中国は、「中国製造2025」計画を通じて、ロボット工
学、バイオテクノロジー、人工知能など、世界で最先端の産業の
90%を管理することを目指している。  ──ペンス副大統領
                  https://bit.ly/2C1NGdc
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 「強制的技術移転」「知的財産窃盗」など、非常に強い言葉で
す。とくに「窃盗」という言葉などは、他国を侮辱することにな
るので、普通は使わないものです。そこまでいわれながら、中国
は米国に対して具体的な行動を起こしていないのです。「勝てな
い相手とは喧嘩しない」という姿勢です。
 そもそも中国を甘やかしたのは、クリントン、ブッシュ、オバ
マの24年間です。この3代の大統領は、ビジネス経験がほとん
どなく、多くの面においてそういうことに強い官僚の力に大きく
依存したのです。
 米国では「スイングドア」という言葉がよく使われます。日本
の「天下り」に該当する言葉ですが、日本の官僚は天下りすると
元の政治の世界には戻れませんが、米国では、ビジネスから政治
その逆の政治からビジネス、どちらからの出入りも自由なのであ
り、だからスイングトアといわれるのです。
 とくにひどかったのは、オバマ政権の8年間です。この大統領
は、完全に習近平主席に取り込まれ、米国から見ると、明らかに
不公平な米中関係ができてしまったのです。
 中国は民主主義国家ではなく、全体主義国家であり、経済の中
心は国営企業です。その国営企業に膨大な政治資金をふんだんに
導入し、安い製品を作らせ、世界中に輸出しています。これは、
明らかに経済的不正行為です。
 それに加えて、中国に進出してくる米国の企業に対して、中国
企業との合弁活動を強制しています。これは、法律でそのように
定められており、中国への進出企業は、技術を供与せざるを得な
い仕組みになっています。これが「強制的技術移転」です。
 それに加えて、中国は米国に多くの産業スパイを送り込み、先
端技術を盗もうとしています。その他、ハイテク技術を駆使して
技術を盗もうとしていのす。
 ところが、中国にとっては、想像だにしなかったトランプ政権
が誕生し、これまでの目論見が狂ってきています。現在、トラン
プ大統領の周りを固める側近スタッフは、すべてコテコテの対中
強硬派として知られる人たちです。その当然の帰結として、米中
貿易戦争がはじまったのです。この戦争で、米国は一歩も引くつ
もりはないのです。  ──[米中ロ覇権争いの行方/004]

≪画像および関連情報≫
 ●中国助ける時代「終わった」 融和路線転換
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   ペンス米副大統領による中国政策に関する演説が米中関係
  に波紋を広げている。中国による知的財産権の侵害や軍事的
  拡張、米国の内政への干渉を公然と非難、両大国が覇権を争
  う対決の時代に入ったことを印象づけた。チャーチル英元首
  相がソ連を批判した「鉄のカーテン」演説に匹敵し、「新冷
  戦」の始まりを告げたとの見方も外交専門家に浸透しつつあ
  る。2018年10月4日、ペンス氏が保守系シンクタンク
  ハドソン研究所で披露した演説は経済問題に限らず、政治、
  軍事、人権問題まで多岐に及び、トランプ政権の対中政策を
  体系立てて示す包括的な内容となった。
   「北京は『改革開放』とリップサービスを続けるが、ケ小
  平氏の看板政策も今ではむなしく響く」経済的に豊かになれ
  ば国民は政治的な自由を求め、やがて中国にも民主主義が広
  がる――。米国の歴代政権はこうした立場から「関与(エン
  ゲージメント)政策」を推進し、2001年には中国の世界
  貿易機関(WTO)加盟も容認した。だが世界第2の経済大
  国となった後も、中国で政治的自由化が進む気配はない。
   むしろ習近平(シー・ジンピン)指導部の下で統制は強ま
  り、民主化の火は消えかけている。台湾の外交的孤立を図る
  など、自らの戦略的利益を追求する姿勢も強まる一方だ。ペ
  ンス氏は、米国が中国に手をさしのべてきた日々は「もう終
  わった」と断じた。    https://s.nikkei.com/2JvlvoG
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中国を正面から批判するペンス米副大統領.jpg
中国を正面から批判するペンス米副大統領
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 米中ロ覇権争いの行方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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