2018年12月25日

●「いずもの空母化の真の目的は何か」(EJ第4917号)

 護衛艦「いずも」の空母化の真の目的は何でしょうか。
 その目的に答える前に、トランプ米大統領が2017年11月
に来日したとき、安倍首相に対して、次の3つのことを要求して
いたことはご存知ですか。
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          1.憲法9条改正
          2.   核装備
          3.  空母保有
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 日本にとって、いずれも実現が困難な要求ばかりですが、大統
領選挙のときから、トランプ氏がいっていたことばかりであって
目新しさはありません。この人は、どんなに困難な状況でも自分
の主張を押し通す人です。メキシコとの国境のカベのことをまだ
いっています。そのために政府機関が閉鎖されることになっても
平気な人なのです。自分の選挙のことしかアタマない人であるの
で、そうなるのです。
 これら3つのうちでは「3」の実現性が一番高いです。おそら
く安倍首相と海自幹部とは「してやったり」と思ったはずです。
日本が事実上の空母を持つことに米国は反対はおろか、歓迎する
という姿勢だからです。トランプ政権としては、これによって、
F35が大量に売れるメリットもあります。
 日本としても海上自衛隊の本音では、制服組を中心に空母を持
ちたいと考えているし、護衛艦「いずも」は、はじめからそれを
狙って建造されています。何しろ空母保有は、海上自衛隊の長年
の悲願だからです。
 果せるかな、トランプ大統領が来日した直後から、「いずも」
が空母に改修されるという情報が噂として拡散したのです。明ら
かに防衛省からのリークです。安倍首相が空母への改修について
トランプ大統領に前向きな返事をしたものと思われます。
 そこで、冒頭の質問、「いずも」の空母化の真の目的は何かに
ついて考えてみます。
 「いずも」の空母化の目的は、何よりも尖閣諸島の防衛にある
と思います。もし「いずも」が、F35Bで空母化されると、中
国は尖閣諸島に近づくことも困難になります。
 現在、沖縄の那覇基地のF15戦闘機が、尖閣諸島上空を守っ
ています。しかし、尖閣諸島まで30分かかります。燃料の搭載
量には限界があり、防空任務は1時間ちょっとしか就けないので
す。往復1時間かかってしまうので、仮に戦闘になると、せいぜ
い5分程度しかもたないのです。
 したがって、尖閣諸島の防衛の基本は、「島が奪われてから、
奪い返す」戦略ということになります。そのために佐賀県に陸上
自衛隊の水陸機動団がいます。これは、米軍の海兵隊をまねたも
のであり、尖閣が奪われたら、艦艇やオスプレイで上陸部隊を運
び、逆上陸して奪い返す戦略です。
 しかし、この作戦は、制空権をとることが前提になります。そ
のときのため、長崎県佐世保に海兵隊が運用している「ワプス式
強襲揚陸艦」という軽空母が配備されています。自衛隊は、米軍
とこの強襲揚陸艦を使って、何回も共同訓練を行っています。
 このワプス式強襲揚陸艦(添付ファイル)は「いずも」とそっ
くりであり、F35Bを搭載できます。これによって尖閣上空の
制空権をとるのです。護衛艦「いずも」は、この強襲揚陸艦を前
提に設計されたものと考えられます。したがって、F35B搭載
の「いずも」が尖閣諸島周辺をパトロールしていれば、すぐにで
も尖閣上空の制空権を掌握できます。
 これはまだ決まっていないことですが、このF35Bには空対
他対艦ミサイル「JSM」を搭載できます。防衛省は、F35A
(通常離着陸)への搭載を検討しているそうです。JSMについ
て書かれているサイトでは、次の説明があります。
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 「空対地ミサイル」とは、将来F−35Aにおける運用能力付
加が予定されている「JSM(統合打撃ミサイル)」を指してお
り、JSMは現在のところノルウェーのコングスベルグ社および
アメリカのレイセオン社が開発中です。
 JSMはジェットエンジンを搭載することで約300キロメー
トルの長射程を持ち、また高いステルス性を持つことによって迎
撃されにくい特徴をもった巡航ミサイルであり、敵の地対空ミサ
イルの射程圏外から攻撃が可能であることを意味する「スタンド
オフ・ウエポン」です。       https://bit.ly/2EJuMKv
─────────────────────────────
 JSMは、もちろんF35B(短距離離陸・垂直着陸)にも搭
載できます。実際問題として空母化した「いずも」にJSMが搭
載されると、尖閣諸島の防衛は万全なものになります。当然中国
は猛烈に批判しています。ある中国メディアは、もし「いずも」
が空母化されると、その戦力は中国の空母「遼寧」を超えるとい
う以下の記事を書いています。
─────────────────────────────
 中国初の空母である「遼寧」は、ソ連で設計された未完成の空
母であった「ワリヤーグ」を購入し、中国が自前で建造を行って
完成したものだ。遼寧にはカタパルトがないというネックもあり
中国は国産空母建造を大々的に進めているが、中国メディアの快
資訊はこのほど「日本がいずも型護衛艦を空母に改修し、F35
B戦闘機を艦載するとなれば、その戦力は遼寧を超える」と論じ
る記事を掲載した。
 記事は、日本がヘリコプター搭載護衛艦である「いずも型護衛
艦」を改修して軽空母として運用しようとしているのは「公然の
秘密」であったと主張し、これはいずも型護衛艦を戦闘機を運用
する空母に改修することを防衛大綱に盛り込む方針だと報じられ
たことで裏付けられたと主張した。  https://bit.ly/2EIVm6p
─────────────────────────────
               ──[フリーテーマ/011]

≪画像および関連情報≫
 ●護衛艦いずもの空母化は松島の再現
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   清国が海軍を増強し、戦艦「定遠」(1885年就役)と
  「鎮遠」(1885年竣工)を保有すると、当時の日本海軍
  を上回る戦力を持った。焦る日本海軍は「松島」型防護巡洋
  艦に戦艦並みの主砲を搭載して対抗した。定遠と鎮遠の主砲
  は32センチだから、松島型にも32センチ主砲を搭載する
  ことで対抗する強引さだった。
   当時の日本の予算不足だけではなく、日本海軍内部の汚職
  で近代化が遅れていた。この状況下にあっても、黄海海戦は
  現場の指揮で切り抜けることができた。現代日本では、自衛
  隊総兵力は存在するだけの戦力であり、野党による不毛な魔
  女狩り裁判が行われている。今は中国海軍の戦力増強が目に
  見えているのに、野党により悪しき際限が行われている。
   護衛艦「いずも」は空母化によりF−35Bを運用可能。
  だが使えることと使いこなすことは別物で、護衛艦いずもは
  松島の再現と言える。F−35Bを運用すれば、空戦・対地
  攻撃・対艦攻撃は可能になる。だが、護衛艦いずもが運用で
  きる機体数は少ない。最初から空母運用を想定されていない
  ので、実戦では松島と同じ強引な運用を押し付けられること
  になる。これは現場指揮官と将兵に、最初から無理難題を押
  し付けることになる。現場の苦闘で戦術を覆し、さらには戦
  略も覆させる強引さ。これでは最初から、戦略が欠落してい
  る証だ。これは防衛省の責任ではなく、軍政権を持つ政治家
  の怠慢が原因である。      https://bit.ly/2QKkxvH
  ───────────────────────────

ワプス式強襲揚陸艦.jpg
ワプス式強襲揚陸艦
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | フリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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