2018年12月19日

●「『いずも』型護衛艦について知る」(EJ第4914号)

 護衛艦「いずも」について調べていて、気がついたことがあり
ます。それは、日本人は大人でも戦争で使われる兵器についての
知識が著しく欠如しているということです。
 戦前は、子供向けの兵器の絵本──図鑑のようなものがあり、
それらによって、例えば、海軍の艦艇では、戦艦、巡洋艦、駆逐
艦、潜水艦、航空母艦、哨戒艦などの戦闘艦艇の知識補給は、小
さい頃から自然に行われていたのです。
 しかし、戦後は、戦争アレルギーというか、戦争に関係するも
の、軍隊に関するものになるべく触れないように教育が行われた
こともあって、そうして育った大人がそういう知識が極端に欠け
てしまっているのです。これでは国民が国防に関する関心をなく
し、日本は平和ボケといわれても、仕方がないでしょう。
 そういうわけで、空母是か非かを論ずる前に、そもそも護衛艦
「いずも」がどのような護衛艦なのかについて詳しく知ることが
必要です。軍事ジャーナリストの清谷信二氏のブログの記事を参
照にして、ご紹介していくことにします。
 まず、清谷信二氏は、「いずも」は自衛隊の護衛艦中最大の艦
艇であるとして次のように述べています。
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 「いずも」は2010年度(平成22年度)に承認された、い
わゆる22DDHの一番艦で、旧式化したDDH、「しらね」の
後継として建造された。基準排水量は1万9500トンで海上自
衛隊の護衛艦中、最大である。すでに就役している16DDHの
「ひゅうが」級の1万3500トンよりもさらに大きい。
                  https://bit.ly/2S6E9Hd
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 既に述べているように、「DDH」というのはヘリコプター護
衛艦のことであり、DDHとは、次の言葉の頭文字をとったもの
です。「22」とか「16」は、建造年度をあらわしています。
「16」は、平成16年(2004年)、「22」は、平成22
年(2010年)をあらわしています。
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          DDH=ヘリコプター護衛艦
         Defense Destroyer Helicopter
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 空母といえば、旗艦として多くの艦隊を率いる指揮能力が求め
られますが、「いずも」は果してその能力を保有しているかどう
か、また、護衛艦中最大を誇る「いずも」には、どのくらいの数
のヘリを搭載できるのか、それは、同じDDHの「ひゅうが」と
比べてどのくらいの差があるのかについて、清谷氏は、次のよう
に述べています。
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 「いずも」は各国の空母や強襲揚陸艦と同様に、全通式と呼ば
れる飛行甲板を有している。22DDHの「いずも」は、16D
DHの「ひゅうが」級と同様に、旗艦として艦隊の高い指揮能力
を持つ。また搭載した多数のヘリコプターを使うことにより、高
い対潜水艦戦能力を持つ。
 運用するヘリコプターは「ひゅうが」級が哨戒ヘリ3機、救難
輸送ヘリ1機の計4機に対して、「いずも」では哨戒ヘリ7機、
艦上輸送ヘリなど2機の計9機と、2倍以上のヘリコプターを運
用できる(実際は10機程度の運用が可能だろう)。また駐機ス
ポットは「ひゅうが」級が4ヶ所に対して、「いずも」では5ヶ
所に増え、同時にヘリコプター5機の発着が可能だ。
                  https://bit.ly/2S6E9Hd
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 護衛艦「いずも」は、「ひゅうが」の倍、10台のヘリの運用
が可能になります。つまり、「いずも」は海上で次々とヘリを飛
ばして、対潜水艦戦に対して威力を発揮できます。また、「いず
も」は、同時にヘリを5機を発進できる能力を持っています。
 これからの「いずも」の最大の狙いは、垂直離着陸可能なF−
35戦闘機を搭載し、真の空母化を実現できるかどうかにありま
す。これについて、清谷氏は次のように述べています。
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 飛行甲板はオスプレイや米海兵隊などが採用した垂直離着陸が
可能なF−35B戦闘機が離発着地に噴出する高温の排気ガスに
耐えられる処理がされている。「いずも」が企画されたのはオス
プレイの調達のはるか以前であることから、恐らくは米軍との共
同作戦を想定して、このような処理をしたのだろう。
 乗員は最大470名で、このうちヘリ要員と司令部要員が併せ
て270名、そのほかの乗員は200名となっている。幹部(将
校)以外の女性自衛官が90名程度乗り込めるような設備(シャ
ワーなど)も備えられている(幹部は個室なので特別な設備は必
要ない)。
 「ひゅうが」級と大きく異なるのは、車両などの輸送用デッキ
を装備していることだ。トラックならば、陸上自衛隊の標準的な
3・5トントラック50台を艦内のデッキに収容できる(飛行甲
板含まず)。この場合、ヘリコプターを搭載するスペースはなく
なる。このデッキの高さは、地対空誘導弾パトリオット(PAC
3)が搭載できる前提で設計されている。また、F−35B戦闘
機や、オスプレイも収容も可能だ。ただ戦車などの装軌車輛は、
履帯でデッキ床面がこすれるために搭載することはできない。
                  https://bit.ly/2BqDPM7
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 「いずも」の最大の問題点は、空母としては、攻撃用の兵装が
「ひゅうが」よりも貧弱であることです。最大の攻撃手段は、ヘ
リコプターのみです。そういう意味では、「いずも」はヘリ空母
ないし多目的空母であって、これまでのように「=駆逐艦」とい
うことはできないのです。しかし、この点は防衛大綱において明
確にされ、閣議決定されることになっています。
               ──[フリーテーマ/008]

≪画像および関連情報≫
 ●護衛艦・いずも 「空母化」を与党了承
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   政府は12月11日、新しい防衛計画の大綱(防衛大綱)
  の与党ワーキングチーム(WT)に対し、海上自衛隊のいず
  も型護衛艦の事実上の「空母化」などを盛り込んだ新大綱と
  中期防衛力整備計画(中期防)の両素案を示し、大筋で了承
  された。いずも型で運用を想定するステルス戦闘機F35B
  は常時搭載はせず、「必要な場合に運用する」と明記。憲法
  解釈で保有が禁じられている「攻撃型空母」には当たらない
  と説明し、慎重だった公明党も容認した。
   いずも型を「空母化」する改修は、海洋進出を図る中国を
  にらんで防空体制を強化する狙い。自民党は空母化を念頭に
  「多用途運用母艦」導入を提言したが、公明党が憲法上の疑
  義を懸念し、与党WTが了承を3回見送っていた。
   政府はこの日、短距離離陸・垂直着陸型戦闘機として想定
  するF35Bを常時は艦載しないとし、新大綱の素案には、
  「必要な場合に現有艦艇からの運用を可能とする」と記すに
  とどめた。いずも型を常に空母として運用するわけではない
  と主張することで、「(性能、能力で)空母と言えず、専守
  防衛の範囲内に収まる」との解釈だ。公明党はこうした「制
  約」の文書化を正式了承の条件としたが、専守防衛から逸脱
  する懸念はなおつきまといそうだ。https://bit.ly/2rwVo8P
  ───────────────────────────

ヘリ10機運用可能な護衛艦「いずも」.jpg
ヘリ10機運用可能な護衛艦「いずも」
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | フリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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