2018年12月14日

●「なぜ、ファーウェイが問題なのか」(EJ第4911号)

 12月11日、カナダのバンクーバー裁判所は、ファーウェイ
副会長孟晩舟容疑者の保釈を条件付きで決定しています。その条
件とは、次の3つです。これらの条件は、おそらく米国の要請に
よるものと思われます。
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      1.約8億5000万円の保釈金納付
      2.保有するすべてのパスポート提出
      3.所在地確認可能なGPS機器装着
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 これは、いわゆる「5G/第5世代移動通信システム」をめぐ
る米中の覇権争いなのです。このファーウェイの副会長の逮捕に
ついて、中国の王毅国務委員兼外相は、次のように報復をちらつ
かせて発言しています。
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 中国国民の正当な権益を侵害するいじめのような行為に対し
 中国は絶対に座視しない。全力で中国国民の合法的な権利を
 守る。          ──中国の王毅国務委員兼外相
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 つまり、不当に人を逮捕するなら、こっちも捕まえるぞといわ
んばかりの脅しです。早速カナダの元外交官、マイケル・コブリ
グ氏を中国で拘束しています。中国は、その拘束理由を明らかに
していませんが、「報復」の可能性は十分あります。それに加え
て、13日の情報では、もう一人カナダ人が中国当局から事情聴
取されているようですが、詳細は不明です。
 これは、相手がカナダだからやったのであって、もし米国が逮
捕した場合は、中国は北朝鮮と違って、これほど露骨な手法をと
らないのです。中国は、軍事力や情報力では勝てない米国にはそ
ういう手をとらないのです。まして貿易戦争中にやるはずがない
のです。
 むしろ、今後米国の同盟国を中心に、5Gシステムからファー
ウェイ製品を外す動きが広がると思われますが、その場合、例え
ば中国は日本人を拘束することで、政府に圧力をかけ、米国に協
力しないよう求める可能性は十分考えられます。この時期の中国
旅行は拘束リスクがつきまとうので、用心が必要です。
 そもそもファーウェイの何が問題なのでしょうか。
 それは情報漏洩です。ネットにおいて、ソフトウェアによる情
報漏洩はよく行われますが、通信機器自体に特殊な仕掛けを施す
ことによって情報を吸い上げるのです。つまり、ハードウェアに
仕掛けられているので、その機器を除去しない限り、問題は解決
しないのです。
 現在の米中衝突は、「5G」をめぐるものです。これは基地局
に関わってきます。現在、世界における基地局装置のシェアは、
次のようになっています。
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     1位:ファーウェイ ・・・ 27・9%
     2位: エリクソン ・・・ 26・6%
     3位:   ノキア ・・・ 23・3%
     4位:   ZTE ・・・ 13・0%
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 これによると、ファーウェイはダントツの1位。4位にやはり
中国のZTEが入っています。2位のエリクソンはスウェーデン
の通信機器メーカー、3位のノキアは、フィンランドの通信施設
・無線技術を中心とする開発ベンダーです。明らかに、5Gでは
中国が一歩リードしています。
 こうした中国躍進の原動力になっているのが習近平政権が掲げ
る産業政策で、2015年5月に発表した「中国製造2025」
です。次世代情報技術や新エネルギー車など10の重点分野と、
23の品目を設定し、製造業の高度化を達成し、「世界の製造強
国の先頭グループ入り」を目指す10年計画です。これは、10
年で米国に追いつき、抜ける体制を目標としています。
 この「中国製造2025」について、ハドソン研究所主席研究
員の日高義樹氏は、近著において次のように述べています。
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 2018年のはじめ、アメリカ国防稔省とCIAがトランプ大
統領に、中国が「チャイナ・メイド2025」と銘打っている計
画について報告書を送った。中国が2025年までに、人工頭脳
AIを含めたあらゆる先端技術で、アメリカに勝とうとしている
という計画である。
 アメリカの専門家たちは、AIやロボット、ナノ技術などの分
野で中国がアメリカに追いつくのは、2050年頃になると予測
していた。それより25年も早く追いつくというこの報告は、ト
ランプ政権に大きな衝撃を与えた。
 アメリカの専門家たちの予測よりもはるかに早く、アメリカに
追いつくために中国は、これまで以上に、アメリカの先端技術を
盗んだり、あるいはアメリカに進出する中国企業が、アメリカで
生産技術の秘密をかすめとったりして中国本土に送り続けると考
えられる。中国の戦略的な目的は、人工知能AIでアメリカの軍
事力に勝つことである。人工知能の研究、開発について我が国で
はもっぱら、自動車運転に大きな関心が払われている。平和ボケ
国家の典型的な受け取り方であろう。──日高義樹著/徳間書店
        『アメリカに敗れ去る中国/安倍外交の危機』
─────────────────────────────
 12月12日の複数の米メディアの伝えるところによると、中
国政府は「中国製造2025」の達成時期を10年先送りさせる
案を検討しているといわれます。つまり、「中国製造2035」
に変更するというわけです。
 しかし、その計画に国が大量の資金を投じていることが問題で
あるとトランプ政権は指摘しており、とてもその程度のことでは
米国は容認しないと思われます。
               ──[フリーテーマ/005]

≪画像および関連情報≫
 ●「中国製造2025」が米貿易紛争に巻き込まれたか?
  ───────────────────────────
   米中間には巨額な貿易不均衡が生じており、それを是正す
  べきことは両国間で一致しているが、その原因やアプローチ
  方法について、両国の考え方はかみ合わない。話し合いはう
  まく行かず、米国は一方的な貿易制裁措置という極端なアプ
  ローチで中国に譲歩を迫っているが、中国も対抗措置を発表
  して、貿易紛争の度合いが増してきている。米国の制裁措置
  案は、既存の貿易製品(鉄鋼など)からハイテク製品へシフ
  トし、未来の産業を育成する産業政策「中国製造2025」
  をターゲットとしたのである。
   米国は、建前では中国が「中国製造2025」という産業
  政策を通じて不公正な補助金によって対象産業の過剰生産能
  力を形成したり、市場取引によらない海外技術の獲得をサポ
  ートしたりすることを批判している。一方、世界の主要メデ
  ィアは、米国政府高官の話を引用して、米中貿易摩擦の原因
  は貿易不均衡よりも次世代産業技術をめぐる覇権争いという
  背景があると報じている。2018年4月16日に米商務省
  は、対イラン制裁法令に違反した社員を処分する約束を履行
  していないという理由で中国の大手通信機器メーカーZTE
  への部品(ICチップやソフトのすべて)輸出を禁ずる行政
  措置を取った。米中貿易紛争がエスカレートしている時期と
  重なり、米国の禁止措置は対中ハイテク産業を狙ったもので
  あるとの見方が中国では一気に広がった。
                  https://bit.ly/2EkELEL
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日高義樹氏/ハドソン研究所首席研究員.jpg
日高義樹氏/ハドソン研究所首席研究員
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | フリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「丸選手へありがとうございます」

広島カープブログへ投稿しました。

http://www.xn--lckk7id5ivdy350bzuc.com/hukaikan_maru.html?1544924292#comment-28

28. 豊岳正彦 2018年12月16日 10:37

広島県民は豪雨災害の時丸選手だけがオーナーがけちった安い年俸の中から1000万円もの個人寄付を広島カープの中で唯一人県民被災者へ送ってくれた無上の恩を忘れてはならないね。

広島県の豪雨被災地の人は丸佳浩救世布施権現神社を建立して末代まで豪雨の日に感謝祭を奉寄進するとよい。

ブログへ書きました。

「丸佳浩選手は球聖慈悲布施救世観音野球道武士道菩薩さま」
https://hougakumasahiko.muragon.com/entry/16.html
Posted by 豊岳正彦 at 2018年12月16日 16:24
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