2018年12月12日

●「ファーウェーにのみ半導体を提供」(EJ第4909号)

 中国の習政権は既に米国に対し、「宣戦布告なき戦争」を仕掛
けています。それは、軍事だけでなく、外交、経済まで「全面的
かつ総合的な対米戦争」を仕掛けているのです。そのことが記述
され、その実施を中国企業や大学に求める内部文書があるそうで
す。このなかに「千人計画」という計画があります。
 「千人計画」は、高度な技術を持った外国人材を発見してリク
ルートし、中国へ招聘したり、中国の技術進歩のためのプロジェ
クトに参加させる計画のことです。中国はこの計画を2008年
から進めてきています。その結果として米国人を中心に多くの人
材がこの計画に参加しています。とくに米国に滞在して研究業務
に当たる米国籍を取得した中国人が多いのです。
 しかし、トランプ政権になると、「千年計画」に選ばれた研究
者や技術者が、スパイ容疑でFBIに逮捕されたり、国外追放処
分を受けたりするようになったのです。それによって、この計画
は、「入獄計画」と揶揄されるようになっています。ネットには
次のような情報が多く出ています。
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 米テキサス州ヒューストン主要日刊紙ヒューストン・クロニク
ルの2018年8月の報道によると、FBIは同月、テキサス大
学やヒューストン大学など20の大学の関係者が集まった会議で
外国勢力による技術情報窃盗、特に「内部関係者」による情報漏
えいに警戒し、対策を講じるよう求めた。
 FBIは近年、「千人計画」に選ばれた研究者に注意を払って
いる。昨年9月、バージニア工科大学の張以恆教授は不正詐取を
企てたとして逮捕された。また、今年8月、ゼネラル・エレクト
リック社の鄭小清チーフエンジニアが重要技術情報を盗み、中国
企業に渡したとして同氏を逮捕した。両氏ともに「千人計画」に
リクルートされていた。
 サウスカロライナ大学の謝田教授は3つの情報源から得た話と
して、「ヒューストンの研究機関にFBIが訪れた。その直後、
複数の中国人研究者が解雇された」と大紀元に伝えた。在米学者
の間では「FBIは千人計画のリストに基づいて違反者を摘発し
ている」との話が広がっている。   https://bit.ly/2zNj25C
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 2018年3月の話ですが、中国の大手国有通信機器メーカー
中興通訊(ZTE)が米国製部品(クアルコム)を使った製品の
イランや北朝鮮向け輸出禁止措置に違反としたとして、7年間の
米国部品の調達禁止の制裁が科されています。ZTEは、100
%クアルコムの半導体に頼っていたので、いきなり経営不振に追
いやられたのです。その習政権の内部文書には、次のように書か
れているといいます。
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 米政権は中国との競争の核心が科学技術競争にあるとの見方を
ますます強め、軍事技術だけでなく、高度人材獲得も含めた全方
位の科学技術の対中封鎖に向っている。
 米国の中国を標的とした先端技術流出への規制はさらに強化さ
れる。窓の開いている残りの半年から1年間のうちにできるだけ
多くの先端技術、先端設備、先端製品を米国から取り込み、戦略
備蓄を構築せよ。   ──『選択』/2018年12月号より
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 中国政府は、ZTEに対する制裁の報復として、クアルコムが
オランダの半導体大手のNXPセミコンダクターズを買収しよう
としたとき、独占禁止法違反であるとして反対したのです。しか
し、アルゼンチンでの米中首脳会談で、習近平主席がこれを取り
下げる意向を示したことは既に述べた通りです。中国は非常に追
い込まれているのです。
 半導体を制する──これが中国が立てた目標です。スタート時
点の2009年の段階では、半導体トップ50のなかに2社しか
中国のメーカーは入っていなかったのですが、2016年は11
社、2017年度になると、トップ10に2社も入るようになっ
たのです。
 なぜこんなに急速に伸びたのかというと、それは、2015年
5月にスタートした「中国製造2025」という国家政策がある
からです。そしてそのトップに立っているのが「ファーウェイ」
なのです。中国政府は、このファーウェイという企業をきわめて
重要であると位置付けていて、クアルコムから半導体の提供を断
られたZTEのような目に遭わないようにしています。
 ファーウェイは、2004年にハイシリコン・テクノロジーズ
という企業を分離し、半導体の研究開発に専念させています。そ
のうえで、ハイシリコンが製造した半導体は、ファーウェイにし
か販売しないことにしているのです。ハイシリコンの技術レベル
は高く、米国最大手で、世界のトップである半導体メーカー、ク
アルコムと互角の勝負ができるレベルに達しています。
 こんな話があります。2012年のことですが、ハイシリコン
は「K3V2」というチップを発表したのです。このチップは、
「150Mbps」 対応のチップです。これは1秒間に150メガビッ
トの情報を送れることを意味します。これは凄いことなのです。
クアルコムでさえ、当時「100Mbps」 までの対応だったので、世
界中が驚いたといいます。
 それもプロトタイプではなく、これを搭載したワイ・ファイ・
ルータが当時のイー・モバイルから発売されています。ファーウ
ェイは、このように高いレベルの技術力を持つハイシリコン・テ
クノロジーズから、半導体の独占提供を保証されており、米国に
とって最大の脅威になりつつあります。絶対他には売らないとい
うこともそこに何らかの機能を加えることも可能になります。
 それだけに今回のカナダでのファーウェイ副社長の逮捕は、中
国にとって大衝撃です。ZTEへのクアルコムからの半導体の提
供の停止に続く米国からの圧力に、中国としては「中国製造20
25」に重大な影響が出ることを懸念しています。
               ──[フリーテーマ/003]

≪画像および関連情報≫
 ●トランプが恐れる中国の国家戦略「中国製造2025」
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   中間選挙はトランプ大統領率いる共和党の実質的勝利に終
  わり、対中貿易戦争は先鋭化の兆しを見せている。7月に開
  始した総額2500億ドルの制裁関税だけでなく、中国企業
  による対米投資の制限や米国製品の輸出管理を強化。だが、
  9月の物品関連の対中貿易赤字は402億ドルと過去最大を
  記録し、むしろ拡大している。
   米中貿易戦争の行方を東京福祉大学国際交流センター長で
  最新刊『「中国製造2025」の衝撃』(PHP研究所)を
  12月22日に発売する遠藤誉氏はこう読み解いた。
   「米国は4月、中国の通信機器大手のZTEとファーウェ
  イに対して、米サプライヤーとの取引を7年間禁じる制裁を
  課しました。中国を代表するハイテク2社を米国から締め出
  す“ライバル潰し”との国内報道もあったが、本質を見誤っ
  ている。注目すべきは、中国のハイテク製品は半導体をはじ
  めとするキーパーツの9割を輸入に依存している事実です。
  習近平政権はこのままでは彼が目指す『中華民族の偉大なる
  復興』は成し得ないと考え、’15年に製造業高度化の国家
  戦略『中国製造2025』を策定し、’25年までに半導体
  などキーパーツの7割を国産化することを目指している。問
  題なのは、半導体などのコア技術は汎用性が高く、軍事や宇
  宙開発にも転用できることです。 https://bit.ly/2G7H2pl
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「中国製造2025」ポスター.jpg
「中国製造2025」ポスター
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | フリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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