2018年11月30日

●「コックピットに操縦者はいたのか」(EJ第4901号)

 ジャンボ旅客機のパイロットという職業をわれわれ日本人は、
他の乗り物──バス、トラック、タクシー、電車、新幹線などの
運転者と一線を画し、特別なもの、よりレベルの高い者と考える
傾向があります。ともに乗客の命を預かる職業でありながら、な
ぜ、ジャンボ機のパイロットだけは特別視されるのでしょうか。
 そのイメージを見事に壊してくれたのは、昨今外国の空港で飲
酒のため相次いで逮捕されている日本人のパイロットです。日本
時間10月29日午前4時にロンドンのヒースロー空港において
日本航空の男性副操縦士が乗務直前、大量の飲酒が発覚して、ロ
ンドン警察に逮捕されています。
 このEJを書いている11月29日の新聞にも日本航空グルー
プの日本エアコミュニケーターのJAC機の機長に基準値の2倍
のアルコール値が検出され、機長が交代するニュースが出ていま
す。何でそんなに酒を飲むのでしょうか。酒でも飲まないとやっ
てられないほど、ひどい勤務環境なのでしょうか。
 それはさておき、佐藤守氏の本にこんな話が出ています。雫石
事故が起きる直前の5月の連休のことですが、ある操縦課程の候
補生が北海道に帰省した帰りに起きたことを佐藤氏に話してくれ
たそうです。その部分を引用します。
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 彼はたまたま事故機と同じ時刻で同じ経路の58便に、千歳か
ら羽田まで搭乗したのですが、制服を着用していたため、当該機
操縦者の目に留まったらしく、「何期生か?」と聞き、「俺は○
期だ」と先輩であることを明かし、飛行中の操縦室を見学させて
くれたというのです。
 そこで彼が感心したのが「自動操縦装置」で、操縦者達が操縦
輪を握ることなく「チェス」に興じているのに、飛行機はかっ
てに″水平直線飛行をしている!と感動して私に語ったのです。
 ヘルメットを被り、酸素マスクをつけ、身体を操縦席に縛り
付けられ″、右手は操縦桿、左手はスロットルレバー、足はフッ
トバーから離せない「戦闘機乗り」の玉子″には、手放しで飛
行できるオート・パイロットが、斬新で便利な装置として強く印
象に残ったのも無理はないでしょう。ところが問題はその後の彼
の報告″です。
 ちょうど強い日差しが進行方向のやや右側から差し込んでいた
ので、チェス板に反射してまぶしい。そこで操縦者の一人が、コ
ックピット内に積まれていた週刊誌などの中から新聞紙をとって
広げて窓枠にセロテープで貼り付けたというのです。太陽光線を
さえぎる臨時の「カーテン」ですが、彼は「誰も外を見ていない
のに飛行機は水平飛行をしていた」と感心していました。
                  ──佐藤守著/青林堂刊
          『自衛隊の「犯罪」/雫石事件の真相!』
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 パイロットが一番緊張から解放されるのは、航空機が一定の高
度に達し、自動操縦装置に切り換えたときといわれます。しかし
遮光のため窓に新聞紙を貼り、チェスに興じるとは「あぜん」と
しかいう言葉がないです。これは、航空機のパイロットという職
業が一般的に持っているイメージを大きく傷つけるものといわざ
るを得ないと思います。
 そうはいうものの、雫石事故当日の全日空機のクルーの忙しさ
を考えると、午後2時頃にやっと昼食ができるようになったので
すから、「3人一緒に食事しない」はずがない──佐藤守氏はこ
ういっています。こういうときにクルーは、リラックスして、世
間話なんかをするそうです。
 そのパイロットたちの昼食のとり方ですが、自動操縦とはいえ
飛行中ですので、何が起きるかわからないので、普通の感覚なら
操縦席でとるのではないかと考えられます。しかし、操縦クルー
は、そのとき一種のエコノミー症候群の状態になっているので、
自動操縦に切り換えたら、一刻も早く、ヘッドセットとシートベ
ルトを外し、リラックスしたいのです。せめて3人中1人を操縦
席に残せば、何の問題もないのです。しかし、操縦クルーが自動
操縦中にチェスをやっていたことを考えると、コックピットに誰
もいなかったことも十分考えられます。
 佐藤守氏は、ある全国紙の編集委員から聞いた話として、次の
ことを打ち明けています。
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 私が広報室長時代に某全国紙の編集委員が、「機長とスチュワ
ーデスは、圧迫死体となって発見されたのだ」と教えてくれたこ
とがありました。自動操縦に切り替えて、食事をしようとした機
長はヘッドセットとシートベルトを外して操縦室を出た。そして
機長は操縦室に隣接したコンパートメントで、スチュワーデスに
コーヒーを入れてもらっていた・・・と彼は推測するのです。
 長時間着座しているクルーは、今でいう「エコノミー症候群」
状態だったでしょうから、身体を伸ばしたくなったでしょうし、
喉を潤したかったのかもしれません・・・。そんなクルーの気持
ちは容易に想像できます。ところがその時に接触し、機体は降下
し始めマイナスGがかかり始める。お茶を入れていたスチュワー
デスは、体が浮く恐怖で機長にすがりつく・・・。そんな光景も
「ありえないことではない」でしょうが、事故調査報告書には、
接触後、操縦室内にいた機長が送信ボタンを押して「緊急事態」
を発したことになっています。
            ──佐藤守著/青林堂刊の前掲書より
─────────────────────────────
 問題なのは、全日空機が、飛行計画書にジェットルートの「J
11L」を申告し、実際は近道の「仙台VOR」を常態的に飛行
していたことです。このルートは詳しい事情はわかりませんが、
当時は航空会社が航空路として登録できないようになっていたよ
うです。VORは「超短波全方向無線標識」のことであり、占領
軍が使っていた航空路ですが、ベテランパイロットはいつもこれ
を使っていたのです。─[日航機123便墜落の真相/071]

≪画像および関連情報≫
 ●絶対に笑えない「泥酔パイロット」の恐怖
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   英ヒースロー空港で日本航空(JAL)の男性副操縦士が
  乗務直前、大量の飲酒が発覚してロンドンの警察に逮捕され
  た。各紙の報道によると、現地の裁判所に対し、副操縦士は
  罪状を認めた。判決は11月29日に下されるというが、イ
  ギリスの法律では最長2年の懲役あるいは罰金、またはその
  両方が科される可能性がある。
   乗客の命を預かるパイロットが酒臭い息を吐きながら旅客
  機を飛ばす。飲酒運航が大事故に結び付き、大勢の命が奪わ
  れたらどうする気だったのか。
   逮捕された副操縦士は日本時間10月29日午前4時に、
  ヒースロー空港を飛び立って東京に向かう便に乗務すること
  になっていた。日航の発表によると、乗務20時間前まで、
  6時間にわたって宿泊先のホテルのラウンジや自室で、赤と
  ロゼのフルボトルワイン計2本と瓶ビール(330ミリリッ
  トル)3本、缶ビール(440ミリリットル)2本を1人で
  飲んだ。ビールだけでも1・8リットルを超える。通常、男
  性の場合、ビール0・5リットル中に含まれるアルコールが
  分解されるのに4時間はかかる。朝まで酔いが残り、ロンド
  ンの警察の呼気検査で基準の10倍以上ものアルコールが検
  出されるのは当然だ。それにしてもよくそこまで飲んだもの
  である。よほどお酒が好きなのか。それとも酒でも飲まなけ
  れば、やってられないような悩みでもあったのか。いずれに
  しても自らを律しなければならないパイロットの職務をどう
  考えているのだろうか。     https://bit.ly/2DRNHBB
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ボーイング727のコックピット.jpg
ボーイング727のコックピット
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 日航機123便墜落の真相 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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