のは、あくまでアクシデントであると考えています。しかし、青
山透子氏は、もしかすると、123便にぶつけるつもりはなくて
も、123便を一応の標的として狙ったのではないかと考えてい
るようです。これは青山透子氏の仮説です。
青山氏がそうではないかと考える根拠は、JAL123便には
次の3つの要素が揃っていることです。
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1.機長の制服が完全に消えている
2.JA8119には事故歴がある
3.機長が自衛隊出身のパイロット
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つまり、こういうことです。護衛艦「まつゆき」では、JAL
123便を敵機と想定し、国産ミサイル開発の誘導プログラムを
使って標的機を誘導しますが、すれすれのところで衝突は避ける
よう誘導して、データを収集します。データ収集が護衛艦「まつ
ゆき」の重要任務なのです。
しかし、万が一衝突という事態になったとき、自衛隊として、
なんらかの保険が必要である──それが上記の3つの要素に適合
する飛行機であるというわけです。青山透子さんは、これについ
て、次のように書いています。
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修理の事故歴のある飛行機が、飛行中の夕刻から夜にかかる時
間に突発的事態が発生した。その前日の8月11日まで防衛庁発
表では、国産ミサイルの開発研究で洋上訓練を行っており、護衛
艦「まつゆき」も試験運転の最中というのは紛れもない事実であ
る。これらをつなぎ合わせて考えてみると、何が見えてくるのだ
ろうか。
試運転中に国産ミサイル開発の誘導プログラムのデータ取りが
必要であったとすれば、何かあった場合の保険として飛行機に事
故歴のあることが絶対の必要条件であったのではないだろうか。
そして、民間出身のパイロットではなく、自衛隊出身のパイロッ
トならばもみ消せるかもしれないという点が十分条件とすれば、
両者が揃うことが必要十分条件であると言える。さらに、万が一
の場合も考えると、日中よりも夕刻から夜にかけての暗さが好都
合であった、とも考えられる。 ──青山透子著/河出書房新社
『遺物は真相を語る/日航123便墜落』
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この場合、過去に事故歴のある飛行機と自衛隊出身のパイロッ
トという2つの条件は絶対に揃う必要があります。しかし、パイ
ロットは変更になることがよくあります。
日本航空の場合、JA8119に高濱機長が乗務するというス
ケジュールが決まるのは、通常は1か月前です。しかし、よほど
のことがない限り、この日の高濱機長の乗務の変更はあり得ない
のです。どうしてかというと、この日の高濱機長の乗務は、佐々
木副操縦士の機長昇格実技審査を兼ねていたからです。
そうであるとすると、対象として選ぶ飛行機は、JA8119
(日本航空123便)しかあり得ないということになります。自
衛隊がそのような計画を本当に実施するとは常識では考えられな
いことですが、仮説としては成立します。青山透子氏は、その仮
説を立証するためにも、墜落現場にある遺物の鑑定や分析をはじ
めたと自著に書いています。
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全体の安定性を優先する裏に、実は隠したい何かが潜んでおり
その究極の理由は、他者のためでも国益のためでもなく、自己満
足や保身である場合が多い。隠したい側の人間は、特に自覚する
ほどの小心さに支配され、あらゆるプレッシャーに耐えて組織と
の折り合いをつけて生きる術を身につけてきた人間とも言える。
そういう人は異論や違和感のあるものは受け入れ難い。おそらく
この仮説についてもそうであろう。
もし少数者が主流となり得る方法があるとすれば、それは絶対
的証拠物の提示である。それが出てこないと多数者は異論を支持
することに安心できないのである。そこで、御巣鷹の尾根に残さ
れた遺物から、科学的方法によって推定の裏付けができないだろ
うかと考えて、その証拠物を分析することにしたのである。
──青山透子著の前掲書より
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もうひとつ、青山氏の本でないとわからない関連情報がありま
す。それは1978年に大阪空港で起きた日航機のしりもち事故
を担当した検査官の自殺です。1987年3月17日付の夕刊各
紙が伝える報道は次の通りです。
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1987年3月17日の各紙夕刊報道によれば、17日の早朝
午前五時頃、機械電子検査検定協力職員で元運輸省東京航空局羽
田駐在航空機検査長のS・Tさん(57歳)が、浴室で殺虫剤を
飲んで死んでいるのを家族が見つけた、とある。遺書もあったた
め、日航ジャンボ機墜落事故で群馬県警から事情聴取を受けたこ
とに気落ちしての自殺とみている。Tさんは、1978年に大阪
空港で起きた日航機しりもち事故当時、検査官をしていた。事実
上の飛行許可である耐空証明を出していたことから、同月10日
から群馬県警特捜本部より参考人として事情聴取を受けていた。
運輸省航空局は、大変なショックを受けている、しりもち事故担
当の検査員の年長者であり、非常にまじめでおとなしい人だった
と語っている、とある。 ──青山透子著の前掲書より
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JAL123便墜落事件で、520人が亡くなっただけではな
く、自衛隊にも日本航空にも複数の自殺者が出ています。そう考
えると、この事件の真相を明らかにする責務が関係者全員にある
と思います。このまま幕引きはできないのです。
──[日航機123便墜落の真相/056]
≪画像および関連情報≫
●安倍首相と中曽根元首相の発言の類似性
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先日、あるジャーナリストと会談をした際、彼は思わず、
「まさか自衛隊がそんなことするはずないじゃないですか」
とおっしゃった。その根拠を尋ねるとうーんと沈黙された。
つまり、誰でも心の中に、まさか、という思いがあって、ど
うしてもその現状を受け入れがたいという心理が働く。私が
ヒューマン・リソース、人的資源戦略や顧客心理の授業をし
ていた時に、よく学生たちと一緒に考えてきた心理である。
「まさか、そんな事は起きないと思っていた」は、重大な
事態が何か起きてからでは、特にプロならば言い訳にはなら
ない。一般的なニュースを見ても、例えば「いつもおとなし
いあの人がまさか殺人者とは」、「一家で仲が良さそうだっ
たのにまさか親子で殺し合いとは」とか・・よくある近隣関
係者へのインタビューの会話である。まさかという「魔の棲
む坂」を登って冷静に上から見てみると、下からでは見えて
こない何かが見えてくるのである。
さて今回は、第一章で重点的に読んでほしい部分を取り上
げる。今日において防衛費が膨張し続けている中で、現在の
安倍首相は長距離巡航ミサイルと一基約1千億円の陸上配備
型弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」2基導
入を検討しているそうだが、この話は実は1985年8月7
日の中曽根康弘元総理大臣の言動と非常に似ている。日航1
23便墜落の5日前、防衛庁(当時)は地対艦ミサイル部隊
新設と地対空ミサイル部隊の新型パトリオットミサイルへの
切り替えを国防会議で公式に報告した。
https://bit.ly/2OrFdTl
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JA8119/JAL123便
以下、『・・・』の中は、今号の記事からの引用。その下に私のコメント。
A,『青山透子氏は、もしかすると、123便にぶつけるつもりはなくても、123便を一応の標的として狙ったのではないかと考えているようです。これは青山透子氏の仮説です。』
青山氏の著作のどこにもそのような考えは述べられていません。
日航機の垂直尾翼を破壊した飛翔体が無人標的曳航機なら、それ自体が日航機を標的として飛ぶことはありえません。
飛翔体がミサイルなら、標的として日航機を狙う可能性は論理上はありえますが、その場合は目標が熱源のあるエンジンとなり、現実にはありえません。
B,『1.機長の制服が完全に消えている』
機体は右側を下に、機首を下にして尾根へ激突したことが、DFDRおよび残骸の散乱状況から推定されています。
従って、機長の席付近がが最も激しく損傷を受けているために、機長の遺体の大部分と制服が確認できないのは不自然ではありません。
C,『2.JA8119には事故歴がある』
事故歴があることを日航の外部の人間が知りえたとは思えません。それを主張するなら、それなりの根拠を示すべきです。
仮に、外部の人間が事故歴を知りえたとしても、隔壁の修理にミスがあった事までは知りえません。この事は、墜落後の解析の過程でわかったことです。
修理ミスが隔壁破壊の原因とする説も、解析の過程で出てきた説です。
従って、標的として日航123便を狙う根拠がありません。
D,『3.機長が自衛隊出身のパイロット』
日航123便は油圧を失って操縦不能でした。
仮に、自衛隊が機長に対して何らかの働きかけをし、それが聞こえたとしても、機長がそれに応ずることは不可能で、何らかの操作をしても機体が反応しません。
もみ消し工作は、機長が生きていれば可能かもしれませんが、標的として狙って、それが失敗した場合のリスクを考えれば、ありえない発想です。
E,『123便を敵機と想定し、国産ミサイル開発の誘導プログラムを使って標的機を誘導しますが』
「123便を敵機と想定」するなら、123便自体がミサイルの標的になるので、標的機は不要になる。
標的曳航機の曳航する標的がミサイルの目標なら、123便を敵機と想定する意味がない。
ここの平野氏の解釈は支離滅裂。
今号で述べられたことが何処までが青山氏の説か、著書を読み直しても確認できませんが、全体として論理的につながりません。支離滅裂という印象です。
2023,10,19―1
鷹富士成夢