2018年07月31日

●「機械の人間化の象徴アンドロイド」(EJ第4817号)

 AI(人工知能)が高度に発達すると、次の2つのことが起き
てきます。ここで「機械」とは、文字通り、機械、マシン、コン
ピュータ、それにAIなど、人間以外のマシンの総称です。
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          1.機械の人間化
          2.人間の機械化
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 「機械の人間化」とは何でしょうか。
 「AI脅威論」といわれるものがあります。その典型は「AI
に職を奪われる」「AIが上司になったら」「AIに人類は征服
される」など、いろいろいわれています。
 これは、機械が人間化して、人間を凌駕するという恐怖です。
確かに機械の進化によって人間の職が奪われるということは、産
業革命以後、これまでにいくらでもあったことです。今まで人手
でやっていたことが機械でできるようになれば、人間はその仕事
は機械にまかせて、機械にはできないよりレベルの高い仕事に取
り組めばよいだけの話です。仕事はいくらでもあります。
 人間は、自動車を発明したときから、自分の行きたいところに
自由に行くことができるようになっています。しかし、車は自分
で運転するしかありません。運転をしている間は、それに専念す
るしかないのです。それは当り前のことです。
 その自動車の運転が自動化されようとしています。現状は、ま
だかなり危なっかしい状況ですが、安全面はやがてクリアされ、
自動運転は当たり前のことになるはずです。ほんの数年前までは
自動運転の実現などあり得ないことだったはずです。
 今から1年半ぐらい前のことですが、書店で『未来を味方にす
る技術』(技術評論社)という本を手にしました。著者は斎藤昌
義氏、ネットコマース株式会社代表取締役です。私は本を購入す
るとき、「まえがき」を必ず読むことにしています。そこには、
まさに近未来のビジネスシーンが見事に描き出されていました。
この「まえがき」を読んだだけで、私はこの本の購入を決めまし
た。これだけで、内容に確信が持てたからです。私の狙い通り、
内容は素晴らしいものであり、このシリーズを書くのにも、とて
も役立っています。
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 「自動走行に切り替えます」
 高速道路に入り、自動走行モードのスイッチを入れると、ハン
ドルが私の手から離れ、ダッシュボードに、スッと吸い込まれて
いった。目的地の最寄りの出口までは1時間ほど。その間に、溜
まったメールを処理しよう。
 座席を後ろに引いて、タブレットを手にとる。ほどなくして、
「緊急の打ち合わせを開きたい」と品質管理部長からメッセージ
が入った。すぐにオンライン会議の画面を開くと、すでに生産技
術部や生産管理部などのメンバーがそれぞれの持ち場から会議に
参加している。(会議スタッフとのやりとりは省略)
 「14:00から山中工場に移動する。重なっているスケジュ
ールはすべてキャンセル。関係者に知らせてくれ」。タブレット
から、「承知しました」と返事が返ってきた。スケジュールは変
更され、関係者には気の利いた文書でメールが配信された。
 「まもなく、高速道路を降りて一般道に出ます。自動走行モー
ドを解除しますので、準備してください」
 ハンドルがダッシュボードからせり出してくる。私はハンドル
を握り直した。やれやれ、今日は長い1日になりそうだ。
    ──斎藤昌義著/『未来を味方にする技術/これからの
        ビジネスを創るITの基礎の基礎』技術評論社
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 このビジネスシーンは、何となく、少し前にやっていた「LI
NEワークスのCM」にとてもよく似ています。しかし、これを
読んで、このビジネスシーンを未来物語としてとらえる人は少な
いと思います。自動運転はともかくとして、タブレットによる通
信も会議も既に実現しているからです。
 しかし、自動運転が完全に行われるようになると、職業運転手
は大幅に減少するはずです。しかし、それによって余った労働力
は、必ず人間でなければできない仕事に吸収されるはずです。こ
れまでにも機械化によって、多くの職が奪われ、新しい職が生ま
れているからです。
 しかし、機械の人間化──要するにロボットはどんどん進化し
ます。現代は3Dプリンタがあるので、実物とほとんど変わらな
い人型ロボットができるようになっています。添付ファイルは、
日本のロボット工学者で大阪大学教授。専門は知能情報学工学博
士の石黒浩氏の製作した二足歩行ロボットで、外見や動きや言葉
遣いが自分そっくりの人造人間「ジェミノイドHI−4」です。
このロボットは自分で歩いたり、喋ったりできるのです。こうい
うロボットを「アンドロイド」といいます。現在のところ話をさ
せると、すぐロボットであることがわかりますが、そのうち、ど
ちらが本物かわからなくなる日はすぐそこに迫っています。まさ
に、「機械の人間化」そのものです。石黒浩博士は、人型ロボッ
トについて、次のようにコメントしています。
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 大事なことは、人は人を認識する機能を持っている、というこ
とです。というよりも人の形をしたもののほうが認識しやすい。
現在のスマホや携帯は、人間にとって理想的なインターフェース
じゃなくて、最も理想的なインターフェースは、人そのものなん
です。だから、技術が進めば、世の中のいろんなものが人間らし
くなっていく。そして、人間らしくなっていったときに、その究
極としてあるのが、アンドロイドだと思います。海猫沢めろん著
         『明日、機械がヒトになる/ルポ最新科学』
                 講談社現代新書/2370
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          ──[次世代テクノロジー論U/061]

≪画像および関連情報≫
 ●石黒浩:アンドロイドの未来に革新をもたらす男
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   彼は自分そっくりに作ったアンドロイドに世界中を旅させ
  て、各地で講演を行わせている。彼は、米国の伝説的カント
  リーシンガー、ジョニー・キャッシュを彷彿とさせる黒ずく
  めの衣装に身を包み(しかし、その理由はキャッシュとは全
  く違う)、アンドロイド研究の真意は「人間が人間であるこ
  との意味」を問うことにあると信じて疑わない。要するに、
  石黒浩という人物は、我々が思い浮かべる研究者像とは大き
  くかけ離れている。アンドロイド研究のスーパースターなの
  だ。彼が幼少期を過ごした頃の日本では、上記に書いたよう
  なことはひとつも実現可能だとは思われていなかった。
   「アンドロイドやロボットについてそれほど興味があった
  わけではなかったんです。私が興味を持っていたのは人間そ
  のもので、元々は油彩画家になりたいと思っていました。同
  時に、私はものを作るのが好きでしたし、人間の脳の働きに
  も興味を引かれていました」と石黒教授は語る。
   石黒少年が抱いたそれらの興味は、彼がやがて組み上げる
  非常に精巧で、人間に近いアンドロイドたちの基礎を成して
  いった。彼のアンドロイドたちはあるラップソングの中にも
  フィーチャーされたが、そのフロウは実にスペシャルだ。石
  黒教授がアンドロイドを作ろうと思い立ったきっかけは、彼
  が大学で人工知能(AI)の研究をしていた時だった。「私
  はすぐにAIを収納するボディの重要性を認識しました。ま
  た同時に、アンドロイドを研究してみたいという自分の欲求
  にも気付いたんです。      https://win.gs/2LX7Oza
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石黒浩博士とジェミノイドHI−4.jpg
石黒浩博士とジェミノイドHI−4
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロージ論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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