2018年07月26日

●「カーツワイル『収穫加速の法則』」(EJ第4814号)

 レイ・カーツワイル氏は、シンギュラリティに関連して、「収
穫加速の法則」を提唱しています。「収穫加速の法則」の定義は
次のようになります。
─────────────────────────────
 秩序が指数関数的に成長すると、時間は指数関数的に速くな
 る。つまり、新たに大きな出来事が起きるまでの時間間隔は
 時間の経過とともに短くなる。    ──ウィキペディア
                 https://bit.ly/2NyrWZb
─────────────────────────────
 カーツワイル氏が何をいいたいのかというと、テクノロジーの
進化のプロセスは、その能力を「指数関数的に」向上させるとい
うことです。つまり、イノベーションを図る者は、性能を倍々に
改良しようするものです。したがって、イノベーションの進化は
加法的ではなく、乗法的に進むことになります。
 あの「ノイマン型コンピュータ」の設計者として名高いジョン
・フォン・ノイマンは、1950年代に次のようにいったといわ
れています。
─────────────────────────────
 たえず加速度的な進歩を遂げているテクノロジーは・・・人類
の歴史において、ある非常に重大な特異点に到達しつつあるよう
に思われる。この点を超えると、今日ある人間の営為(営み)は
存続することができなくなるだろう。
          ──レイ・カーツワイル著/NHK出版編
   『シンギュラリティは近い/人類が生命を超越するとき』
─────────────────────────────
 驚くべきことですが、ノイマンは、既にこの時点において「加
速度」と「特異点」という2つの概念を指摘しています。ちゃん
と的確なテクノロジーの未来像を描いていたのです。ちなみに、
ここで「加速度」というのは、ある定数を掛けることで繰り返し
拡大する(指数関数的)という意味であり、定数を足すことによ
る繰り返しの拡大(線形的)なものではないということです。
 カーツワイル氏は、テクノロジーの進化の歴史を、次の「進化
の6つのエポック」に分けて、概念化しています。6つの段階、
それぞれのエポックでは、その前のエポックで作られた情報処理
手法を使って次なるエポックを生み出してきたのです。シンギュ
ラリティは、「エポック5」ではじまります。
─────────────────────────────
≪エポック1≫ 物理と化学
 ・原子構造の情報
≪エポック2≫ 生命
 ・DNAの情報
≪エポック3≫ 脳
 ・ニューラル・パターンの情報
≪エポック4≫ テクノロジー
 ・ハードウェアとソフトウェアの設計情報
≪エポック5≫ テクノロジーと人間の知能の融合
 ・生命のあり方(人間の知能を含む)が、人間の築いたテクノ
  ロジー(指数関数的に進化する)の基盤に統合される。
≪エポック6≫ 宇宙が覚醒する
 ・宇宙の物質とエネルギーのパターンに知能プロセスと知識が
  充満する。    ──レイ・カーツワイル著の前掲書より
─────────────────────────────
 この指数関数的進化の例として、カーツワイル氏は「ムーアの
法則」を上げています。添付ファイルをご覧ください。ここには
インテル社のパラダイムシフト(技術革新)が書かれています。
 集積回路の主要な発明者であり、後にインテルの会長になった
ゴードン・ムーア氏が「ムーアの法則」のことを論文に書いたの
は1965年のことですが、実際にそれが始まったのは、集積回
路が開発されてからです。それまでにインテルには、次の4つの
パラダイムシフトがあったのです。
─────────────────────────────
          1.電気計算式計算機
          2. リレー式計算機
          3.     真空管
          4.単体トランジスタ
─────────────────────────────
 それぞれの段階で、既存のパラダイムが活力を失うと次のパラ
ダイムのベースが上がるのです。なお、ムーアの法則は、単体の
トランジスタの後ではじまっているので、第5パラダイムシフト
ということになります。
 なお、ムーアの法則とは「18ヶ月ごとに集積回路上に詰め込
むことができるトランジスタの数は2倍になるというものです。
わかりやすくいうと、1・5年ごとにCPUの速度は倍速になり
しかもコストは下がるというものです。これは、CPUのコスト
パフォーマンスが指数関数的に成長しないとできないことです。
 1965年4月19日、『エレクトロニクス』の誌上で、ゴー
ドン・ムーア氏は次のように書いています。
─────────────────────────────
 集積電子工学の未来は、電子工学の未来そのものである。集積
化の進展によって電子工学が普及し、多数の新しい分野に浸透し
ていくことになる。          ──ゴードン・ムーア
           ──レイ・カーツワイル著の前掲書より
─────────────────────────────
 実はこのムーアの法則は現在も続いていますが、さすがにその
パラダイムは、微細化の限界とCPUの熱の問題で、限界に達し
つつあります。しかし、引き続き、3次元の分子コンピューティ
ングが出現し、第6のパラダイムシフトになるのではないかとい
われています。このように、テクノロジーの進化のプロセスは、
その能力を指数関数的に向上させるのです。
          ──[次世代テクノロジー論U/058]

≪画像および関連情報≫
 ●指数関数的に進化するテクノロジーの行方
  ───────────────────────────
   先日、あるセミナーで、首題のような話があり、考えさせ
  られる内容だったので、私の個人的なコメントを交えながら
  紹介したい。話をしたのは、スタンフォード大学フェローの
  Wadhwa氏。話は指数関数的に進化するとはどういうことかを
  実感するところから始まった。
   これは、わかりやすく言うと、数字が倍々になっていくこ
  とだ。彼の話の例で行くと、たとえば、1歩で(計算が簡単
  なように)1メートル進むとして30歩あるくと、30メー
  トル進むが、これを指数関数的に1歩の距離を長くしていく
  とどうなるか。最初は1メートル、次は2メートル、次は4
  その次は8メートルだ。ここまでだと大したことはないが、
  これを30歩進めると、大変な距離になる。計算すると10
  億メートルを超え、これは地球を24回まわる距離になる。
  指数関数的にテクノロジーが進化するということは、これだ
  けすごいことが起こっている、ということだ。
   指数関数的なテクノロジーの進化で有名なものとして、大
  規模集積回路(LSI)に関するムーアの法則がある。19
  65年に彼が予測したときは、毎年LSIに組み込まれるト
  ランジスターの数は倍になる、というものだった。まさしく
  指数関数的な進化そのものだ。  https://bit.ly/2uF9pmL
  ───────────────────────────

ムーアの法則/第5のバラダイム.jpg
ムーアの法則/第5のバラダイム
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロージ論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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