穫加速の法則」を提唱しています。「収穫加速の法則」の定義は
次のようになります。
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秩序が指数関数的に成長すると、時間は指数関数的に速くな
る。つまり、新たに大きな出来事が起きるまでの時間間隔は
時間の経過とともに短くなる。 ──ウィキペディア
https://bit.ly/2NyrWZb
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カーツワイル氏が何をいいたいのかというと、テクノロジーの
進化のプロセスは、その能力を「指数関数的に」向上させるとい
うことです。つまり、イノベーションを図る者は、性能を倍々に
改良しようするものです。したがって、イノベーションの進化は
加法的ではなく、乗法的に進むことになります。
あの「ノイマン型コンピュータ」の設計者として名高いジョン
・フォン・ノイマンは、1950年代に次のようにいったといわ
れています。
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たえず加速度的な進歩を遂げているテクノロジーは・・・人類
の歴史において、ある非常に重大な特異点に到達しつつあるよう
に思われる。この点を超えると、今日ある人間の営為(営み)は
存続することができなくなるだろう。
──レイ・カーツワイル著/NHK出版編
『シンギュラリティは近い/人類が生命を超越するとき』
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驚くべきことですが、ノイマンは、既にこの時点において「加
速度」と「特異点」という2つの概念を指摘しています。ちゃん
と的確なテクノロジーの未来像を描いていたのです。ちなみに、
ここで「加速度」というのは、ある定数を掛けることで繰り返し
拡大する(指数関数的)という意味であり、定数を足すことによ
る繰り返しの拡大(線形的)なものではないということです。
カーツワイル氏は、テクノロジーの進化の歴史を、次の「進化
の6つのエポック」に分けて、概念化しています。6つの段階、
それぞれのエポックでは、その前のエポックで作られた情報処理
手法を使って次なるエポックを生み出してきたのです。シンギュ
ラリティは、「エポック5」ではじまります。
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≪エポック1≫ 物理と化学
・原子構造の情報
≪エポック2≫ 生命
・DNAの情報
≪エポック3≫ 脳
・ニューラル・パターンの情報
≪エポック4≫ テクノロジー
・ハードウェアとソフトウェアの設計情報
≪エポック5≫ テクノロジーと人間の知能の融合
・生命のあり方(人間の知能を含む)が、人間の築いたテクノ
ロジー(指数関数的に進化する)の基盤に統合される。
≪エポック6≫ 宇宙が覚醒する
・宇宙の物質とエネルギーのパターンに知能プロセスと知識が
充満する。 ──レイ・カーツワイル著の前掲書より
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この指数関数的進化の例として、カーツワイル氏は「ムーアの
法則」を上げています。添付ファイルをご覧ください。ここには
インテル社のパラダイムシフト(技術革新)が書かれています。
集積回路の主要な発明者であり、後にインテルの会長になった
ゴードン・ムーア氏が「ムーアの法則」のことを論文に書いたの
は1965年のことですが、実際にそれが始まったのは、集積回
路が開発されてからです。それまでにインテルには、次の4つの
パラダイムシフトがあったのです。
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1.電気計算式計算機
2. リレー式計算機
3. 真空管
4.単体トランジスタ
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それぞれの段階で、既存のパラダイムが活力を失うと次のパラ
ダイムのベースが上がるのです。なお、ムーアの法則は、単体の
トランジスタの後ではじまっているので、第5パラダイムシフト
ということになります。
なお、ムーアの法則とは「18ヶ月ごとに集積回路上に詰め込
むことができるトランジスタの数は2倍になるというものです。
わかりやすくいうと、1・5年ごとにCPUの速度は倍速になり
しかもコストは下がるというものです。これは、CPUのコスト
パフォーマンスが指数関数的に成長しないとできないことです。
1965年4月19日、『エレクトロニクス』の誌上で、ゴー
ドン・ムーア氏は次のように書いています。
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集積電子工学の未来は、電子工学の未来そのものである。集積
化の進展によって電子工学が普及し、多数の新しい分野に浸透し
ていくことになる。 ──ゴードン・ムーア
──レイ・カーツワイル著の前掲書より
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実はこのムーアの法則は現在も続いていますが、さすがにその
パラダイムは、微細化の限界とCPUの熱の問題で、限界に達し
つつあります。しかし、引き続き、3次元の分子コンピューティ
ングが出現し、第6のパラダイムシフトになるのではないかとい
われています。このように、テクノロジーの進化のプロセスは、
その能力を指数関数的に向上させるのです。
──[次世代テクノロジー論U/058]
≪画像および関連情報≫
●指数関数的に進化するテクノロジーの行方
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先日、あるセミナーで、首題のような話があり、考えさせ
られる内容だったので、私の個人的なコメントを交えながら
紹介したい。話をしたのは、スタンフォード大学フェローの
Wadhwa氏。話は指数関数的に進化するとはどういうことかを
実感するところから始まった。
これは、わかりやすく言うと、数字が倍々になっていくこ
とだ。彼の話の例で行くと、たとえば、1歩で(計算が簡単
なように)1メートル進むとして30歩あるくと、30メー
トル進むが、これを指数関数的に1歩の距離を長くしていく
とどうなるか。最初は1メートル、次は2メートル、次は4
その次は8メートルだ。ここまでだと大したことはないが、
これを30歩進めると、大変な距離になる。計算すると10
億メートルを超え、これは地球を24回まわる距離になる。
指数関数的にテクノロジーが進化するということは、これだ
けすごいことが起こっている、ということだ。
指数関数的なテクノロジーの進化で有名なものとして、大
規模集積回路(LSI)に関するムーアの法則がある。19
65年に彼が予測したときは、毎年LSIに組み込まれるト
ランジスターの数は倍になる、というものだった。まさしく
指数関数的な進化そのものだ。 https://bit.ly/2uF9pmL
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ムーアの法則/第5のバラダイム


