とにします。非常に参考になるからです。
「ウェイソンの4枚のカード」という有名な心理テストがあり
ます。ウェイソンとは、英国の心理学者のペーター・カスカード
・ウェイソンのことですが、それはさておき、早速問題を解いて
みてください。
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4枚のカードがあり、それぞれ片面にはアルファベットが、
もう片面には数字が書かれている。「片面が母音ならば、そ
のカードの裏は偶数でなければならない」というルールが成
立しているかどうかを確かめるには、どのカードをひっくり
返して調べるべきか。
[A] [F] [4] [7]
https://bit.ly/2u9k7BT
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正解は、「[A]と[7]をひっくり返して調べる」です。何
でもない問題のようにみえますが、ある大学の心理学の講座でこ
のテストをやったところ、正解率はたったの5%だったといわれ
ています。
しかも、その間違えた学生のすべては、ひっくり返すカードは
[A]と[4]と答えているのです。このように誤答に偏りがあ
るということは、何らかの理由が考えられます。論理的に誤答を
選んでいるからであり、これは心理学の問題になるわけです。
母音のカード[A]をひっくり返して裏が偶数かどうか確かめ
るのはわかるとしても、偶数の「4」の裏は、母音でも子音でも
問題がないので、ひっくり返しても意味はないのです。母音の裏
は絶対偶数でないといけないというのがルールですが、偶数の裏
は必ずしも母音でなければならないということはないからです。
この問題を田方氏は次のような問題に変更し、問題を解かせて
みると、ほとんどの人が正解したといいます。
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居酒屋のカウンターで4人が飲んでいます。1番、2番は席
を外して飲み物だけが置いてあります。1番はビール、2番
は烏龍茶です。3番はハゲ親父(65歳)で、4番は女子高
生(17歳)が座っていますが、何を飲んでいるかわかりま
せん。さて、この中で、何番と何番を調べれば、誰が未成年
で飲酒しているか確認できますか。
1 2 3 4
[ビール] [烏龍茶] [ハゲ親父] [女子高生]
https://bit.ly/2ugCeVE
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この問題の前提は「飲酒は20歳になってから」というルール
です。この答えは簡単に出せるはずです。1番のビールを飲んで
いる人の年齢と、4番の女子高生が何を飲んでいるかを調べれば
よいからです。もうひとつ問題を出します。
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「麺類は500円以下でないといけないと」いうルールがあ
るとします。次のうち、このルールに違反していないか調べ
るには、どれとどれを調べればいいのでしょう。
1 2 3 4
[ラーメン] [親子丼] [800円] [300円]
https://bit.ly/2ugCeVE
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麺類を調べるのですから、1番の[ラーメン]はすぐわかりま
す。しかし、その流れで、500円未満かどうかを調べるのだか
ら、4番の[300円]だと考えてしまう人がいますが、これは
間違いです。正解は、1番の[ラーメン]と3番の[800円]
です。なぜなら、4番の[300円]が麺類ならルールに合って
いますし、別のメニューであっても問題はないのに対し、3番が
麺類であればルール違反になるからです。
このように、「ルールを満たしているケースだけを調べる」こ
とを、心理学では「確証バイアス」と呼ばれています。人間の思
考パターンには、正しいことを確認して満足するという傾向があ
るようです。
実は、この3つの問題は、すべて確証バイアスの問題、すなわ
ち、ルールを満たしているものを調べる問題という点で同じなの
です。それなのに、問題の出し方によって、やさしくなったり、
難しく感じたりするのです。
なぜ、ウェイソンの4枚のカードの問題を取り上げたのかとい
うことについて、田方篤志氏は次のように述べています。
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なぜ、ウェイソンの4枚のカードの話をしたかというと、人間
の脳は、コンピュータとは違うということを示したかったからで
す。もし、コンピュータなら、数学的に同じ問題なら、変数の中
身が変わっただけで、解けたり解けなかったりしないはずです。
このことから、人間の脳は、コンピュータのCPUとは違うとい
えます。 https://bit.ly/2ugCeVE
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確かに人間の脳とコンピュータのそれとは違います。居酒屋に
行って、そこのカウンターで女子高生が何かを飲んでいたとした
ら、「あれっ!」と思いますね。「未成年なのにお酒を飲んでい
る」と思います。これは、直観的にそう思うわけです。だから、
簡単に問題は解けるのです。
しかし、「母音の裏は偶数でなければならない」といわれても
何もピンとこないわけです。そのため、何となく難しく感じてし
まうのです。その点AIは、数学的に同じ問題なら、絶対に間違
えることはないのです。人間の脳とAIのそれは違うのです。
──[次世代テクノロジー論U/049]
≪画像および関連情報≫
●ウェイソン・テストとは何か
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片面はアルファベットが、その裏側には数字が印刷されて
いるカードが4枚テーブルの上に並んでいて、見えている面
は、A、F、3、4となっています。今「母音の裏側の数字
は偶数になっている」という規則があると言われてその規則
を確かめるとしたら、どのカードを裏返してみれば<よいで
しょうか。
まず、Aのカードを裏返してみる。これはいいですね。裏
が偶数ならOKです。次にFは裏返さない、Fは母音ではな
いから、裏が何でも関係ありません。さて、3、4のどちら
を裏返すか。もし4と思ったら、それは違います。4の裏が
子音でも規則に反しているわけではありません。子音の裏側
について規則は何も言っていないからです。
正解は3です。3の裏側が母音なら規則は間違っているこ
とになります。簡単ですか?間違っても恥ずかしくはありま
せん。このテストはウェイソン・テストといって、1966
年にイギリスのピーター・ウェイソンが同様の実験(オリジ
ナルはアルファベットではなくカードの色)を行った結果で
は、大半の人が間違えました。簡単に解いた人の中には、論
理学の知識を使った人がいたかもしれません。論理学では、
「AならばB」であると「BでないならAでない」は同じで
それぞれ対偶であるといいます。対偶の考えを使えば、偶数
ではなく、奇数を裏返せばよいということが、すぐにわかり
ます。 https://bit.ly/2m6Xv0f
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ウェイソンの4枚のカード


