2018年07月11日

●「子供の心を変えたアップルのCM」(EJ第4804号)

 アップルを復活させたCM「クレージーな人たちがいる」につ
いて、こんな話があります。既出の元アップル・ジャパン社員、
増田隆一氏のブログに出ている話です。
 CMについて、当時のアップルのマーケティングチームが招集
され、CMのキャンペーンの進捗を確認する会議が開催されたの
です。そのとき、そのCMは、それほど大ヒットをしているとい
う感触はなかったといいます。
 ところが、ある国担当のスタッフが、CMに関係するひとつの
手紙を紹介したのです。それは、10歳の男の子を持つ父親から
の手紙でした。
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 息子は少し変わった男の子で、学校でいじめられ、のけものに
されていました。自殺をほのめかせて校長先生から連絡が入った
りしたこともありました。
 ある日、その子が、私に、テレビで流れるアップルのCM「シ
ンク・ディアレント」を一緒に見てほしいというのです。CMが
始まって口を挟もうとすると、「お父さん、黙って、最後まで見
て!」と強い口調でいうのです。やがて、CMが終ると、彼はい
いました。「自分は変わり者だとバカにされて、のけものにされ
てきたけれど、僕は変わりもののままで居ていいんだね!」と。
                  https://bit.ly/2KUaVYf
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 手紙を読み終ると、そこにいた全員は急に黙り込み、涙を流す
人もいたそうです。そして「Think different」 の広告は、これ
までの広告効果測定とはまったく違う次元で捉える必要があるこ
とに気が付いたのです。それは、このCMに人々の心を変えるパ
ワーがあることがわかったからです。
 そして、このCMに象徴される新しいアップルの理念は「人の
心に響く」というところにあり、アップルはそういう製品を世界
に送り出す必要があることを感じ取ったのです。
 それでは、田方篤志氏は、なぜ、新井教授の教育改革の考え方
に対して、この10歳の男の子を持つ父親からの手紙の話を出し
てきたのでしょうか。
 それは、新井教授の『AIvs教科書が読めない子どもたち』
から読み取れる子どもに対する教育観と、田方氏のそれとの間に
は大きな溝があるからです。それにAIに対する考え方も大きく
異なります。
 子どもの教育に関して田方篤志氏は、新井教授のそれとの違い
を次のように述べています。
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 人には個性があります。個性を無視し、文章が読めない子をあ
ぶりだし、文章が読めるように矯正することが本当に正しい教育
なのでしょうか?
 どんな子も、持って生まれた才能があるはずです。もし、すぐ
に見つからなかったとしても、ちょっと、考えてみてください。
その子が、生き生きとするのは、何をしているときでしょう。そ
の子が、その子らしい表情をみせる瞬間とは、どんなときでしょ
う。そこにこそ、その子が発揮できる才能があるのです。その子
の個性を無視して、読解能力値だけでその子を判断する。読解能
力値の低い子は、そのままでは将来仕事につけなくなるからと、
読解能力を高める教育を強制する。そんな教育をしていては、本
来、その子が輝かせるべき才能を潰してしまいます。そんな教育
ちょっとおかしいですよね。(一部略)
 アップルの「Think different」 キャンペーンを思い出してく
ださい。不可能だと証明したことで、世界を変えた人は、いたで
しょうか?世界を変えた人は、不可能と言われたことを成し遂げ
た人たちです。
 これからの世界に必要なのは、読解能力値が高い人でなく、ク
リエイティブな能力を持つ人なのです。それなのに、なぜ、新井
教授は、読解能力値にしか目が向かないのでしょう?その原因は
人間の能力を判断するのに、入試を設定したことにあります。入
試問題こそが、人の能力全体の枠組みを網羅していると思い込ん
だからです。            https://bit.ly/2tZaGVq
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 田方篤志氏の怒りは、子どもの個性を無視して、テストによる
読解能力値だけで、その子を判断する新井教授の教育の考え方に
向けられています。これは、田方氏のブログの記事に関するある
小学校の校長先生の返信を見ても明らかです。
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 新井紀子著『AIvs教科書が読めない子どもたち』について
の批評を拝読しました。新井先生の御本が教育界に与えたインパ
クトは相当大きなものだと感じています。特にアクティブラーニ
ングを推奨していた方々の反論があっても良さそうなものですが
それがないのが気がかりでした。
 しかし、それ以上に気がかりなのが、読解力の定義です。RS
Tに示された6つのテストパターンのみで偏差値として基礎読解
力が評価されていいのかという問題です。
 新井さんが今後「高校基礎力」テスト等にも関与されると聞い
ていますので余計に心配です。そんな中で出会ったのが田方様の
ブログでした。Think Differentのお話は身にしみました。
                  https://bit.ly/2tZaGVq
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 田方篤志氏は、「ロボマインド・プロジェクト」を推進してい
ます。ロボマインド・プロジェクトとは、「ロボットの心」を作
るプロジェクトです。
 既にAIは、自然言語処理技術で人との対話ができるようにな
りつつあるといわれますが、それらの対話は、本物の対話ではあ
りません。AIには「心」、感情というものがないからです。真
の対話は「心」がないと、けっして成立しないのです。
          ──[次世代テクノロジー論U/048]

≪画像および関連情報≫
 ●感情はプログラムできるのか?/ペッパーエミュレーション
  ───────────────────────────
   鉄腕アトムやドラえもんなど、日本ではロボットの人気ア
  ニメキャラクターが数多く生まれている。ロボットでありな
  がら人々に愛されてきたのは、その感情の豊かさからではな
  いだろうか。
   今まで、機械とソフトウェアで作られるロボットがココロ
  を持っているのは、マンガの世界の中でのことだった。しか
  し、今では現実でも「ココロを持つロボット」が身近なもの
  になりつつあるのだ。ソフトバンクが2015年に発売した
  ペッパーはその一つで、人工知能(AI)を搭載し、感情を
  持つロボットとして売り込まれている。一見して疑問の残る
  「ロボットの感情」のメカニズムと、感情を持つがゆえに生
  じる課題を見ていきたい。
   ソフトバンクグループの孫正義社長は2015年に行った
  講演で、ペッパーはどのような感情メカニズムを持っている
  かについて解説している。孫社長によれば、ペッパーの感情
  は人間の感情の動きを模しているという。
   前提として人の感情のメカニズムを少し解説すると、脳内
  で生じる思考や感情といった心の動きは、ニューロン(神経
  細胞)がネットワークを形成して、他にニューロンとの間で
  電気信号をやり取りすることで生じる。また、「見る」「聞
  く」「知る」という外部から入ってくる情報への反応と、セ
  ロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンのホルモンの相互
  作用によって、感情が起きるメカニズムになっているのだ。
                  https://bit.ly/2zfJSoW
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AIは言葉の意味は分かっているのか.jpg
AIは言葉の意味は分かっているのか
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | 次世代テクノロージ論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日本は人権より組織を優先する社会です。個人社会では必ずしも意思を伝える能力は必要とされませんが、組織社会は違います。日本社会ははみだし者を排除しようとする社会です。意思を伝える能力が欠ける事は社会から落ちこぼれるという事です。新井教授の本は現在の日本社会という点において正しい指摘であると思います。
それに対して田方篤志氏は欧米のような個人社会の支配する考え方に沿っていると思われます。観点の違う両者を比較する事は意味の無い行為だと私は思います。
Posted by aiueo at 2018年07月11日 20:27
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