2018年07月06日

●「日本語読解力に欠けている子ども」(EJ第4801号)

 2018年7月2日のBSフジ「プライムニュース」に新井紀
子国立情報学研究所教授が出演しています。まさにEJで取り上
げている問題について、林芳正文科大臣や教育評論家の尾木直樹
氏も交えて、話し合いを行っているのです。
 そのときの「ハイライトムービー」があります。時間は22分
28秒ですので、ぜひご覧ください。
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      2018年7月2日/BSフジプライムニュース
 「人工知能“東大受験”調査/解ける問題・解けない問題」
          出演者:林芳正文科大臣
              新井紀子国立情報学研究所教授
              尾木直樹氏/教育評論家
                      22分28秒
                 https://bit.ly/2Kz6t5n
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 大学は別として、また一部の私立学校を除いて、日本の学校の
ほとんどには「原級停止処分」というものがありません。つまり
落第という処分はないのです。例えば、小学校3年生は1年経つ
と、全員4年生になります。たとえ学力がその学年の要求してい
るレベルに達していない学生も学年は上がるのです。
 そうすると、上級学年の教育の基礎になるべき教科が理解でき
ないままで上級学年に上がると、当然ですが、そこでの教科も理
解できないことになってしまいます。もっともその時点で、適切
な教育が行われればいいのですが、そのまま卒業してしまうケー
スが少なくないのです。
 それに日本では、大学を卒業することは、それほど困難ではあ
りません。大学にもよりますが、入学できたのであれば、卒業の
ための必要単位を取得することは、ほとんどの学生はクリアでき
るはずです。そうであるとすると、本来は、義務教育において、
修得しておくべき基礎的な教科の修得が不完全なまま社会人にな
るケースは多くなります。
 私は、ここ20年以上、あるIT企業の新人教育(中途入社新
人を含む)を担当しておりますが、小学校レベルの算数の問題が
解けない新人が多いことに驚いています。昨日今日はじまったこ
とではなく、ずっとそういう状態が続いています。
 新井教授の本を読んで、これは算数というよりも、問題が要求
していることを読み解く読解力が不足しているのが原因ではない
かと、気が付きました。計算ができないわけではなく、どのよう
に計算するかわからないのです。
 やはり新井教授の本に関して感想を書いているブログに次の記
述を見つけました。
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 AI開発者の第一人者である、新井紀子さんの著書『AIvs
教科書が読めない子どもたち』を読みました。本書では子どもた
ちとAIが最も苦手とする能力の一つに読解力を挙げています。
要は文章が読めず、読んでも理解できないということです。
 私自身、子どもたちの家庭教師(小学校〜高校生)をしていて
ハタと思いつくことがありました。私は理数系の国立大学を卒業
しており、理数系が非常に得意です。なので、理数系が苦手な子
どもたちを抱えているご家庭からの依頼が多いです。
 ご家庭の方々の認識は大体似通っており、曰く
「我が家の子どもは国語は得意なんだが、数学(算数)が苦手」
 どの子も、計算問題は解けるんです。
 時間がかかったり、ケアレスミスをすることはあれど、決して
解き方そのものが間違っているとか、手も足も出ないということ
はありません。おや?と思いつつ、文章問題を解かせてみると、
途端に手も足もでなくなります。
 例えば、小学3年生の「午前9:15に学校に着き、午後15
:15に学校を出ました。学校には何時間いたでしょう?」とい
うような問題に、小学5年生が答えられないんです。答えは当然
6時間です。私が教えている生徒は、何を考えたか、9:15と
15:15を足して、24:30と答えました。小学3年生がで
はありません。小学5年生です。小学5年生が小学3年生の文章
問題に全く歯が立たないんです。   https://bit.ly/2NqZAk7
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 新井紀子教授のRST(リーディング・スキル・テスト)の結
果は、恐ろしい事実を突き付けています。日本人でありながら、
日本語の意味を正確に読み取る力が不足している学生が多いとい
う事実をRSTの結果は指摘しています。教科書が読めい子ども
が多いという事実です。
 これに対する国の動きは必ずしも機敏とはいえないようです。
RSTの結果にも異論を唱える教育関係者も少なくないといわれ
ています。新井教授の本に対する反論も多いのです。これについ
て、新井教授は、次のように述べています。
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 教科書を読むだけの読解力がないという事実に直面したとき、
2つの選択肢があります。ひとつは「教科書なんか悪文だらけ。
読めなくてもいい」と思うこと。もうひとつは「どうにかしない
といけない」と思うことです。可能性が広がるのはどちらでしょ
うか?私は「読めなくてもいい」という人を全員、説得すること
はできません。だから、とにかく中学1年生を診断して、先生た
ちがリアリティをもって、子どもたちの読解力の改善に取り組む
ための手助けをしたい。
 RSTの結果を見ても、子どもたちは自分でどうにかすること
はできません。そこでまず先生に受けてもらい、子どもたちがど
こでつまずいているかを知った上で、ともにどうしたら読解力を
伸ばすことができるか考えてくださる学校からRSTを提供した
いと考えています。         https://bit.ly/2IQsHtM
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          ──[次世代テクノロジー論U/045]

≪画像および関連情報≫
 ●新井紀子教授の本を大人たちはどう読めているか
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   今のところ「真の意味でのAI」は存在せず、現状のAI
  技術の原理から言って「シンギュラリティ」は到来しない、
  という話の部分は明快だし、読む価値がある。ここ数年、定
  年まで自分の職が安泰であることを疑ったこともないような
  立場の人が、耳かじりの「みなさんが大人になる頃には今あ
  る仕事の半分はAIに取って代わられて・・・」みたいな話
  をするのを聞くとヘドが出そうになるので、そういう人には
  特に第1章と第2章で理解を深めて欲しいが、本書もその点
  については脅し煽るような書きっぷりなので読んでもあまり
  変わらないかもしれない。
   私が教育(学)関係者からの厳しい感想を期待していたのは
  そこではなく、第3章以降の「全国読解力調査」の部分だ。
  まず、このテストで測ったものは絶対で、読者はみなこの結
  果に慄然とすべき、という書きっぷりがどうも好きになれな
  い。好きになれないというのは私個人の感想だが、そこに、
  実証研究の報告としても粗雑であることが表れているように
  思われる。結果は事実かもしれないが、それが学生・生徒の
  論理的思考力や推論能力そのものを果たして表しているかど
  うかの解釈にはもう少し慎重であるべきではないかという記
  述が多い。           https://bit.ly/2KOmhgC
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BSフジプライムニュース出演中の新井教授.jpg
BSフジプライムニュース出演中の新井教授
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロージ論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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