2018年06月26日

●「マザーボードの変化が進んでいる」(EJ第4793号)

 AI(人工知能)のディープラーニングに関連して、CPUと
GPUの話になっているので、最新のPCのCPUの話にも触れ
ておきます。このところの第4次産業革命の進展に関連して、コ
ンピュータの設計には、大きな変化が起きているのです。
 「マザーボード」というものがあります。PCは、CPUを中
心に、さまざまな電子部品が連携しながら処理を行っていますが
これらの電子部品を電気的につないでいるのが「マザーボード」
です。マザーボードは、まさしくPCを構成する母体回路そのも
のであるといえます。実はいまこのマザーボードに大きな変化が
起きつつあるのです
 昨日のEJで取り上げたインテルの最新CPU「コア・アイ・
セブン」では、GPUがCPUに内蔵されています。コア・アイ
・セブンの第2世代「サンディ・ブリッジ」からです。2011
年のことです。
 もともとPCのグラフィックス処理は、OSがGUIになった
ときから、「AGPバススロット」というビデオカード専用のイ
ンタフェースをマザーボードに装着し、CPUの演算の負担を助
けています。AGPインタフェースは、ビデオラムというメモリ
も備えているので、グラフィックス専用CPUともいうべきもの
です。AGPとは次の言葉の頭文字をとったものです。
─────────────────────────────
        AGP
        Accelerated Graphics Port
─────────────────────────────
 ここで「バス」というものについて知る必要があります。バス
とは「情報の通り道」のことです。マザーボードは、CPUやメ
インメモリなどの多くの電子部品の集合体ですが、互いに指示や
制御情報などのやり取りをしています。このさい、やり取りされ
る情報の伝送路となる信号線が「バス」です。
 それまでPCの機能を拡張するには、PCI拡張バスのスロッ
トにボードを差し込むことで実現していたのですが、画像の描画
には、PCIバスの速度では対応するのが困難で、AGIバスと
いう高速バスを用意したのです。
 このように、同じマザーボード上で、速度の違うバスが出てき
たことによって、これらをコントロールする装置が必要になりま
す。それが「チップセット」です。
 チップセットというのは、マザーボードの中枢的存在であり、
マザーボードに接続されるCPUやメインメモリ、拡張カードな
どのあらゆる電子部品を相互に接続し、それらを制御する役割を
担うコントローラーのことです。チップセットには次の2種類が
あったのです。
─────────────────────────────
  1.ノースブリッジ ・・ CPUに近いところにある
               高速部分をコントロール
  2.サウスブリッジ ・・ CPUから遠い位置にある
               低速部分をコントロール
─────────────────────────────
 なぜ、「2種類あった」と過去形で述べたのかというと、「コ
ア・アイ・セブン」の第1世代「ネハレム」が登場した2008
年に、「ノースブリッジ」の機能は、CPUに内蔵されたからで
す。これによって、これまで、AGPが担ってきたグラフィック
スの処理機能は、CPU内部に移され、より高速に処理が行われ
るようになったのです。
 添付ファイルを見てください。これは、インテル社の「コア・
アイ・セブン」のチップセットとCPUからのデータの流れを示
しています。ここで重要なことは、CPUは画像処理ができない
わけではないということです。ただ、CPUは逐次的に仕事を処
理して行くので、画像処理のような大量のデータを処理するには
どうしても遅くなってしまうのです。しかし、GPUをCPU内
部に取り込んだことによってその速度は格段に向上したのです。
 これによってマザーボード内のチップセットは、1個になって
しまいましたが、これは「サウスブリッジ」の機能(低速部分を
コントロール)を担うことになります。
 この頃には、グラフィックスはとくにゲームなどで、3Dグラ
フィクスの需要が高まり、このことがマザーボードの拡張スロッ
トの大変革を促したのです。その目的は「3D映像を美しく高速
に描画させる」ことにあります。その成果が「PCIエクスプレ
ス規格」であり、現在急速に普及しつつあります。かつては、P
CI規格だったのですが、これら2つには、決定的な形式の違い
があるのです。
─────────────────────────────
       PCI規格拡張スロット パラレルバス形式
 PCIエクスプレス規格拡張スロット シリアルバス形式
─────────────────────────────
 かつては、CPUとチップセットは、パラレルバス形式でつな
がっていたのですが、「コア・アイ・セブン」の登場と同時に、
高速転送に適したシリアルバス形式の専用線で接続されるように
なったのです。もちろんこの変化は、インテル社だけでなく、ラ
イバルのAMD社も同様の仕様変更を行っています。
 これにより、「コア・アイ・セブン」による画像データの表示
は2つに形式に分かれます。1つは、CPU内蔵のGPUで処理
した画像データは、GPUと直接接続しているチップセットを介
してディスプレイに表示される形式です。
 2つは、PCIエクスプレススロットに装着されたグラフィッ
クボードで処理し、VRAMでディスプレイに表示できる信号に
変換し、ディスプレイにデータを転送する形式です。これはCP
Uから直接転送される形式です。3Dグラフィクスの処理などは
これによって行われています。グラフィックボードには、もちろ
んGPUが装着されていることはいうまでもありません。
          ──[次世代テクノロジー論U/037]

≪画像および関連情報≫
 ●GPUによるAIの高速化/NVIDIA
  ───────────────────────────
   先日、ヤン・ルカン氏に招かれ、ニューヨーク大学におい
  て「AIの未来」の立ち上げシンポジウムで講演をしてきま
  した。この分野をリードする人々が大勢集まり、AIの現状
  とその進歩について語りあうすばらしい会でした。今日は、
  そこでお話ししたことをご紹介しましょう。ディープラーニ
  ングとは新しいコンピューティング・モデルが必要な新しい
  ソフトウェア・モデルであること、GPUアクセラレーテッ
  ド・コンピューティングがAI研究者に普及しているのはな
  ぜか、AIは爆発的に普及しつつありますが、NVIDIA
  は、その普及を継続的に推進していること、そして、登場か
  ら長い年月が経過した今、AIの普及が始まったのはなぜか
  をお話させていただきました。
   コンピュータというものが登場して以来、ずっとAIは最
  後のフロンティアだと考えられてきました。この50年間、
  人間と同じように世界を認識したり言語を理解したり、事例
  から学んだりできるインテリジェントなマシンを構築するこ
  とがコンピュータ科学者のライフワークだったのです。ヤン
  ・ルカン氏の畳み込みニューラルネットワーク、ジェフ・ヒ
  ントン氏のバック・プロパゲーションと確率的勾配降下法に
  よるトレーニング、アンドリュー・ン氏による大規模なGP
  Uを活用してたディープ・ニューラル・ネットワークの高速
  化が組み合わさるまで、最新型AI――すなわち、ディープ
  ラーニング――のビッグバンは起きませんでした。
                  https://bit.ly/2ltp9nV
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インテル最新CPUとチップセット.jpg
インテル最新CPUとチップセット
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロージ論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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