2018年05月15日

●「プーチン指揮するロシアの電子戦」(EJ第4763号)

 ロシアは、AIの技術を応用するSNS世論操作で次のことを
やってきています。
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   ◎2016〜2017年
    ・米大統領選挙への干渉
   ◎2017年3月
    ・アルメニア選挙への干渉
   ◎2017年4〜5月
    ・フランス大統領選挙への干渉
   ◎2017年9月
    ・ドイツ総選挙への干渉
   ◎2017年11月
    ・スペインカタルーニャ独立投票への干渉
                  https://bit.ly/2KcbaNF
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 このようなSNSを使ったハイブリッド戦は、2018年の米
英仏によるシリア攻撃の前にも行われています。4月11日のこ
とです。英国のメディア各社が次の報道を行ったのです。
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     メイ首相がシリア攻撃参加を検討している
              ──英国メディア各社
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 その報道の直後から、一斉にSNSを通じて反対運動が展開さ
れたのです。まず、「#NotInMyNameTheresaMay」というハッシュ
タグが作られ、反対ツイートが集まります。このハッシュタグは
短時間で9万2000回以上が引用され、9260万人の目にふ
れています。「ハッシュタグ」というのは、特定のテーマに絞っ
てツイートを集めるタグのことで、ツイッターユーザーが簡単に
作ることができます。
 反対活動の中心は、英国野党の労働党の支持者と見られますが
その主張の拡散にロシアが深く関与しているのです。その労働党
支持者は「軍事攻撃を支持するか?」のアンケートを行ったので
すが、84%が反対票を投じています。その投票数があまりにも
多いことから、ロシアによるの関与が疑われているのです。
 このケースにおいて、「軍事攻撃に参加すべきである」という
内容のツイートが発信されたとします。また、同趣旨の主張をす
るブログがあったとします。
 そうすると、これらのツイートやブログに対して、ロシアの工
作部隊の持つ複数アカウントから、人手に加えて、無数のボット
(半自動文章作成AI)が、それに対する反論を、リプライ(返
信)したり、ブログに反対のコメントを書き込んだりします。
 AIは爆発的なペースで、各種SNSに煽り発言を連続投稿し
ます。しかも、ボット同士が相互にそれを引用し合うので、あた
かも大勢の英国人が米仏と一緒にシリアを攻撃することを望んで
いないようにみえるのです。
 これらのロシアの工作隊のAIボットについて、兵頭二十八氏
は、次のように述べています。
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 まったく根も葉もないデマだと宣伝の効果は弱くなりますので
ロシアの工作班は、何かのささいな事実に接続させるようにして
巧みにルーモア(噂)と想像の枝葉を繁らせる。この作業は、し
かし、どうみてもAIまかせではなく、人間の心の機微が分かっ
ているオペレ一夕ーが演出台本に方向を与えていくようです。い
わばAIと人間のコラボですので「サイボーグ」とも呼ばれてい
ます。ツイッターで連日220ツイート以上を量産し続けるよう
なマネは生身の人間には無理でしょう。が、AIロボットならば
淡々とそれを遂行します。(中略)
 察するに、旧共産圏の対外宣伝工作用AI開発部隊は、国際的
な研究者としての名声などは捨てて、ソ連時代のKGBエリート
のように、志願して裏方へ回って国家を支えようとしているので
しょう。            ──兵頭二十八著/飛鳥新社
     『AI/戦争論/進化する戦場で自衛隊は全滅する』
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 英国で発生した元ロシア諜報員の毒殺未遂事件でも、ロシア側
によるトロール作戦が展開されています。英国当局はこれを「ロ
シアの犯行」と断定し、ロシアの諜報部員とみられる外交官を追
放しています。これに対してロシア側も報復として同数の外交官
を追放するという措置をとっています。こういう英国の対応に対
して、「これは英国の陰謀であり、ロシアの犯行ではない」とい
うフェイク情報が大量に拡散されています。
 ツイッターによるツイートの拡散は、フォロワーの数とその質
によって決まります。私は、2010年1月から9年5ヶ月にわ
たってツイッターを続けていますが、フォロワーは全ての人がそ
うではありませんが、基本的には私のツイートの内容に共感して
くれる人の集団が自然にでき上がっています。フォロワーの数が
多ければ多いほど、大勢の人にツイートが届くことになります。
 しかし、フォロワーは自分の力では増やせないのです。ツイー
トの発信、フォロー、リプライ、リツイートなどの、自分でやれ
ることの結果として、生み出されるものです。たとえAIでも今
のところはフォロワーは増やせないといえます。
 ロシアは大勢のフォロワーを持つツイッターのユーザーを多く
確保しています。BBCの調査によると、サラ・アブダラという
謎の女性のツイッターユーザーがいます。12万5000人以上
のフォロワーを持っており、そのフォローワーのなかには、さま
ざまなメディア記者が250人以上も含まれており、突出した影
響力を持っています。ツイートはほとんどがロシアとアサド政権
の擁護であり、おそらくロシアのトロール機関による架空人物と
思われます。ロシアは各国にこのようなツイッターユーザーを擁
しており、トロールの基地として、抜群の拡散力を誇っているの
です。       ──[次世代テクノロジー論U/007]

≪画像および関連情報≫
 ●記事作成ロボットが「フェイク世論」をでっち上げ
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   世界各国で政治権力などに都合の良いネット投稿が自動投
  稿プログラムによって行われている実態が、英オックスフォ
  ード大インターネット研究所(OII)が行った調査で明ら
  かになった。「フェイクニュース」ならぬ「フェイク世論」
  である。ロボットが何食わぬ顔をして社会に溶け込むという
  のはSFでよくある設定だが、すでにネット社会ではそれが
  到来している。日本も無縁ではない。21世紀の新たな情報
  戦が始まっている。
   OIIは過去約2年にわたってロシア、米国、中国、台湾
  ドイツ、ブラジル、ウクライナ、ポーランド、カナダの9カ
  国でのSNS上における世論操作などのやりとりを分析。6
  月に発表した調査結果で、ロボット転じて「ボット」と呼ば
  れる記事作成プログラムが暗躍する実態を白日の下にさらし
  たのである。
   ロシア版では、デジタルプロパガンダはプーチン大統領の
  リーダーシップを国内の政治的挑戦者から守ることと、ロシ
  ア人の関心を西側への敵対心に向かせることに力が注がれて
  いたとしている。ボットに加えて、トロール(荒らし)と呼
  ばれるひたすら書き込みをする人間も使っているようだとい
  う。ボットがどの程度活躍しているかを定量化するため研究
  チームは、2014年2月から15年末までのツイッターへ
  のロシアの政治に関する投稿を調べた。ちょうど、14年2
  月にはロシアによるウクライナ領クリミアへの侵攻、いわゆ
  るクリミア危機があり、世論操作が活発化したとみられる時
  期である。分析対象は130万にのぼるアカウントから投稿
  された1400万件。      https://bit.ly/2Gb7Lw7
  ───────────────────────────

プーチン大統領による「ロシア電子戦」.jpg
プーチン大統領による「ロシア電子戦」
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | 次世代テクノロージ論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ツイッターのボットをやめさせたければ、誰でも扱える粗悪な自動投稿装置を作って広める方法がある。
何も法律に依存する必要は無い。
Posted by マッチポンプ at 2018年05月15日 15:49
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