2018年05月10日

●「BIとAIは大きな差が存在する」(EJ第4760号)

 今回のテーマのEJを書くに当たり、基礎的なリードの参考に
なる書籍をはじめに紹介しておきます。この本を読んで、今回の
テーマを決定めたからです。著者の雑賀美明氏は、AR×VRシ
リアルアントレプレナー/ARシステム株式会社代表取締役会長
兼CEOです。
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 「AI×VR/人工知能×仮想現実の衝撃/第4次産業革命
 からシンギュラリティまで」──雑賀美明著/マルジュ社刊
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 伊藤穣一氏という人がいます。日本のベンチャーキャピタリス
トで、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)教授、日本人初
のMITメディアラボの第4代所長です。MITメディアラボは
大学の建築・計画スクール内に設置された研究所です。70人の
運営管理スタッフと支援スタッフがいます。
 この伊藤穣一氏は、かねてから、世の中をインターネット以前
の世界とインターネット以後の世界に分けてものごとを考えるこ
とで知られています。
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 インターネット前の世界/ビフォー・インターネット BI
 インターネット後の世界/アフター・インターネット AI
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 伊藤穣一氏によると、「BI」の世界と「AI」の世界の差は
原始社会と文明社会の違いぐらいあるが、それに人工知能が加わ
ると、それ以上の社会変革が起きるといいます。それは2020
年頃にやってくるというのです。
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 「BI」において、世の中は比較的わかりやすかった。ものを
中心に考えることができたし、経済も比較的ゆっくりと動いてい
ました。しかし「AI」になると、途端にルールが複雑になりま
した。インターネットの登場によって大幅に通信コストが下がっ
たからです。通信のコストが下がると、流通やコミュニケーショ
ンのコストも下がります。それに、ムーアの法則(18ヶ月ごと
にコンピューターの速度が倍になり、コストは半分になる)が加
わって、イノヴェイションのコスト、つまりは“何かをやってみ
る”コストが大幅に下がりました。
 それによって、例えば、ウィキペディアや、リナックスといっ
たオープンソースやフリーソフトウェアが増え、グーグルのよう
な会社を、初期コストをかけずに立ち上げられるようになりまし
た。つまり従来であればお金と権力をもたなければ成し遂げられ
なかったことを、誰もができる時代になったのです。それが、複
雑性を生み出す大きな要因となりました。
                  https://bit.ly/2FIpI4P
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 2020年といえば東京オリンピックの年です。オリンピック
は社会を変革させます。1964年の東京オリンピックでは新幹
線が開通し、首都高が完成、ホテルニューオータニ、東京プリン
スホテルなどの近代的大型ホテルが開業し、東京は大変貌を遂げ
ています。
 それでは、2020年には何が変わるのでしょうか。
 現在では、AI(人工知能)という文字が氾濫していますが、
2020年頃には、言葉としてのAIは、ほとんど消滅してしま
うでしょう。あらゆるものにAIが使われることが当たり前にな
るからです。
 現在、既に変化は起きています。その変化は第4次産業革命と
いわれています。VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、スマー
トロボット、フィンテック、自動運転車、ドローン、オムニチャ
ネル、デジタルトランスフォーメーション、5G(第5世代移動
通信方式)、シェアリングエコノミー(共有経済)などの現在進
化中のテクノロジーのすべてにAI(人工知能)は入り込んでお
り、大きなイノベーションを起こしつつあります。
 AIをどう定義するかにもよるのですが、既にAIは、ごく身
近なモノに搭載されています。まず、誰でも持っているスマホに
AIは標準装備されています。アップルの「シリ」、アンドロイ
ドの「グーグル・アシスタント」などがそうです。ユーザーのな
かには、AIとは知らないで使っている人もいます。
 ネットの検索エンジンにもAIが搭載されています。そのこと
を意識してキーワードを入力すると、求めているサイトに正確に
誘導してくれます。検索すればするほどAIは、これまでのキー
ワードと、新しく入力されるキーワードを分析し、ユーザーが求
めるサイトを探し出してくれるのです。
 最新の家電製品にもAIは搭載されるようになっています。お
掃除ロボットの「ルンバ」や、炊飯器、洗濯機、冷蔵庫などにも
AIは搭載されつつあります。
 それから「AIスピーカー」があります。これはスマホに搭載
されているものの独立版であるといえます。つまり、対話型の音
声操作に対応したAIアシスタント機能を持つスピーカーのこと
です。内蔵されているマイクで音声を認識し、情報の検索や連携
家電の操作などを行います。
 それぞれ機能の差はあるものの、このようにAIは身近なあら
ゆるものに搭載されようとしています。これは、あらゆるものが
インターネットにつながる「モノインターネット」(IoT)に
密接に関係しているからです。
 しかも、それらのAIの機能は、年数が経つにつれて、どんど
ん高機能化するのです。なぜなら、現代のAIは、マシンが自動
的に学習し、自らその機能を高める「ディープラーニング」機能
を持っているからです。使うにつれて少しずつ利口になる特性を
持っているのです。
 しかし、AIが便利になればなるほど、悪用される恐れもある
のです。最もやっかいなのは、それが軍事に使われることです。
          ──[次世代テクノロジー論U/004]

≪画像および関連情報≫
 ●「未来都市」2つのヴィジョン/伊藤穣一教授
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   MITメディアラボの伊藤穰一は、「合成生物学」に注目
  し、これからの社会に、インターネットに匹敵するほどの大
  きなインパクトを生み出すだろうと話す。一方、タイ王国文
  化省のアピナン・ポーサヤーナンは、市民デモや洪水災害が
  発生する“カオス”な都市で、市民によるクリエイティヴィ
  ティが発展するプロセスに着目。10月に東京・虎ノ門ヒル
  ズで開催された「イノベーティブ・シティ・フォーラム/2
  014」の基調講演に登場したふたりは、まったく異なる視
  点から「都市の未来」を語る。(雑誌『WIRED』VOL
  ・14別冊より転載)
   インターネットがなかった時代(BI)からインターネッ
  ト以後の時代(AI)への変化の過程で、さまざまなことが
  複雑性を帯びていったと伊藤穰一は語る。
  「これまでの都市は、建築家が中心となって考えられてきま
  した。建築家というのは、どうしても建物を中心にものを考
  えてしまいます。しかしこれからの都市をつくっていくうえ
  では、デザインやエンジニアリングの観点だけではなく、例
  えば合成生物学の知見を用いることで、すでに備わってしま
  っている複雑性を理解し、それを都市や建築に組み込んでい
  くことが必要です。そしてそれを行うためには、ひとりの頭
  のなかにデザイナー、アーティスト、エンジニア、サイエン
  ティストという4つの役割が宿っていることが大切です。
                  https://bit.ly/2FIpI4P
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伊藤穣一マサチューセッツ工科大学教授.jpg
伊藤穣一マサチューセッツ工科大学教授
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | 次世代テクノロージ論U | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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