2018年04月06日

●「森友事件は国交省にも責任がある」(EJ第4739号)

 佐川宣寿前国税庁長官の喚問の後のことですが、財務省の内部
から次のような不穏な情報が伝わってきています。
─────────────────────────────
 文書改ざんにあたって、官邸と財務省本省の間で書き換える文
面の調整が行われていた。窓口になったのは双方の中堅キャリア
だった。          ──「週刊ポスト」4月13日号
─────────────────────────────
 官邸の関与を裏づけるためには、近畿財務局はもちろん、本省
財務省の関連部局のPCも差し押さえ、通信履歴やPCデータを
調べる必要が出てきます。現在、大阪地検特捜部はその詰めの捜
査を行っています。全国紙のある大阪社会部記者は、大阪地検特
捜部の意気込みを次のように述べています。
─────────────────────────────
 大阪地検特捜部は前国税庁長官の佐川宣寿氏が指示したという
文書改ざんを巡り、近畿財務局だけではなく、霞が関の財務省本
省に家宅捜査をする可能性さえある。
              ──「選択」/2018年4月号
─────────────────────────────
 もし、財務省への家宅捜査が行われれば、大蔵省接待汚職事件
以来20年ぶりの出来事になります。こうなると、財務省解体も
現実味を帯びることになります。これを契機として、旧大蔵省は
解体され、財務省と金融庁に分離されたのです。そのときよりも
今回の方が事態は深刻であり、刑事事件に発展すれば、財務省は
解体され、歳入庁の創設の可能性も出てくると思います。
 森友問題の取材を続けているジャーナリスト伊藤博敏氏も、大
阪地検特捜部の本気度を次のように語っています。
─────────────────────────────
 財務省の公文書偽造の事実がはっきりした以上、大阪地検特捜
部は、籠池前理事長夫妻だけを逮捕・起訴し、財務官僚は不起訴
にするという「予定調和」の捜査はできなくなった。佐川氏が逮
捕、起訴される可能性は十分あります。その場合、検察は、財務
官僚たちが国有地を安く払い下げたという背任を隠すために公文
書の改ざんを行ったという容疑を組み立てるはずです。そして、
「官邸の指示があった」という証言が得られれば、政治家や官邸
中枢も事情聴取の対象になる。──「週刊ポスト」4月13日号
─────────────────────────────
 大阪地検特捜部長室は、大阪中之島の合同庁舎16階にありま
す。山本真千子特捜部長は、23階にある高検幹部フロアに足繁
く通うところが何回も目撃されています。上野友慈大阪高検検事
長にそのつど進捗を報告しているものと思われます。
 実は大阪地検特捜部は、昨年夏以降、豊中市職員に対して任意
の事情聴取を重ねています。豊中市は森友事件に直接は関係がな
いが、森友学園と隣接する土地を大阪航空局、近畿財務局と交渉
して購入しており、その経緯を調べているものと思われます。こ
れは、近畿財務局などの背任だけでなく、国交省まで範囲を広げ
て捜査していることを意味します。
 実は、森友事件については一貫して財務省が責められています
が、国土交通書も重い責任があるのです。なぜなら、森友学園に
売却した土地は、国土交通省大阪航空局の所有地であるし、大阪
航空局は地中のゴミの算定にもかかわっているからです。
 『選択』という雑誌があります。選択出版株式会社が発行して
います。『選択』は書店で買うことはできません。一冊1000
円ですから、雑誌としては安くはありませんが、予め、一年分の
料金を払い込むと、毎月月初に送付されてきます。記事は正確で
あり、鋭い批判に溢れています。相当の腕の良い記者が執筆して
いるはずですが、記事に著者名はありません。私はこの雑誌を購
読していますが、EJの執筆にはとても役に立っています。
 『選択』の記事のなかに「罪深きはこの官僚」というコラムが
あります。このコラムでは、現職高級官僚を実名で取り上げてい
ますが、ここから官僚について多くの情報が得られます。
 『選択』/2018年4月号では、「重田雅史/国土交通省物
流審議官」です。その記事のなかに次の記述があります。
─────────────────────────────
 財務省がこの間題の主犯だとすれば、国土交通省は共犯者であ
る。財務省ばかりが槍玉に挙げられているが、ここにきて問題の
土地の値引きについて国交省が主導した疑惑が浮上してきた。そ
うなると、従犯ではなく共同正犯とさえいえるだろう。当時の状
況を知り、いまだに霞が関に残っている数少ない国交省の官僚が
大臣官房物流審議官の重田雅史だ。
              ──「選択」/2018年4月号
─────────────────────────────
 実は、森友問題の渦中にいた「官僚」が続々と辞任しているの
です。財務省では、森友学園と価格交渉をしている当時の本省理
財局長の迫田英典氏は、2017年7月に退官しています。森友
事件のカギを握る人物です。さらにその後任者である佐川宣寿氏
も国税庁長官を辞任し、退官しています。
 さらに本省理財局と近畿財務局では、それぞれ自殺者が1人ず
つ出ています。自殺などはあってはならないことです。そうする
と、財務省で残っているのは、森友側との交渉に臨んでいた当時
の近畿財務局長、竹内良樹(現国際局長)氏、その後任の美並義
人氏の2人だけです。
 そして今回のタイトルになっている重田雅史氏は、当時の状況
を知り、現在も霞が関に残っている数少ない国交省の官僚です。
『選択』では重田氏について次のように書いています。
─────────────────────────────
 重田は当時、本省の航空局次長だった。首相夫人の名前が出て
きた時点で、財務省と同様、国交省でも出先機関に留まらず、本
省に情報が上げられた。   ──「選択」/2018年4月号
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/063]

≪画像および関連情報≫
 ●「森友学園」疑惑/水増し知っていた?/国土交通省
  ───────────────────────────
   学校法人「森友学園」の小学校建設をめぐる国の補助金詐
  取事件で、国土交通省が学園側の建設費水増しを知りながら
  補助金給付ありきで黙認していた疑いが浮き彫りになりまし
  た。日本共産党の宮本岳志議員が2018年3月6日の衆院
  国交委員会で追及しました。
   事件は、同学園前理事長の籠池泰典被告らが、木造校舎建
  設への補助金申請で、実際は約14・5億円だった建設費を
  約22億円に水増しし補助金約5600万円をだまし取った
  疑いで、大阪地検特捜部が捜査しているもの。
   宮本氏は建設費をめぐり、今年に入って開示された森友疑
  惑に関する財務省近畿財務局の法律相談文書によれば、「4
  億円」との認識で話が進んでいたと指摘。学園への国有地売
  却について議論した第123回国有財産近畿地方審議会でも
  「(建設費は)十数億はかかるはず」と、4億円との対比で
  懸念が出ていたと強調しました。その上で、第123回の審
  議会に、国交省大阪航空局の奥田薫空港部長が出席していた
  事実を示し、「国交省は建設費用が4億円だと知っていたの
  ではないか」と迫りました。国交省航空局の蝦名邦晴局長は
  「奥田部長に確認したところ、審議会開催時点で4億円だっ
  た記憶はないということだ」とごまかしました。「その後の
  時点では知っていたのか」と重ねて聞いた宮本氏に対し「確
  認したい」と述べました。石井啓一国交相は、補助金審査の
  担当が同省住宅局であることを理由に、「(住宅局と)大阪
  航空局等との情報共有は特になかった」と居直りました。宮
  本氏は、確認できる機会は何度もあり、「『知らなかった』
  『だまされた』では済まされない」として、奥田部長の証人
  喚問を求めました。       https://bit.ly/2EleVNl
  ───────────────────────────

山本真千子大阪地検特捜部長.jpg
山本真千子大阪地検特捜部長
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がない ブログに表示されております。