2018年03月27日

●「森友問題と日本会議のキーワード」(EJ第4731号)

 2018年3月23日の朝日新聞の「天声人語」欄は、文科省
に調査を依頼した自民党赤池誠章議員を取り上げ、次のように書
き出しています。
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【天声人語】
 2015年に公開された「映画ちびまる子ちゃん イタリアか
ら来た少年」は、文部科学省がタイアップし、全国の学校にポス
ターを配った。外国の子どもと仲良くなる物語ゆえだろう、「友
達に国境はな〜い⊥とある。その表現にかみついた国会議員がい
た。彼はブログで「私は、このポスターを見て、思わず仰け反り
そうになりました」と書いている。「国家意識なき教育行政を執
行させられたら、日本という国家はなくなってしまう」のだそう
だ。文科省の担当課には猛省を促したという。
 子ども向けの宣伝文句も見過ごすことなく、国家意識の危機を
かぎつける。鋭敏な感覚の持ち主なのだろう。この議員、自民党
の赤池誠章氏は、前文科事務次官の前川喜平氏が名古屋市の中学
校で講演したときも素早く動いた。
         ──2018年3月23日付、朝日新聞朝刊
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 赤池議員がちびまる子ちゃんの映画のポスターにまでクレーム
をつけているのは驚きですが、彼は日本会議国会議員懇談会のメ
ンバーであり、そのようなクレームを何回も文科省に申し入れて
いるようです。
 この事件でひどいのは文科省の役人です。赤池氏から申し入れ
のあったメールの文章をほとんどそのまま使って名古屋市の教育
委員会に送っていることです。問題は、文書の中にある「道徳教
育が行われる学校の場に」という表現です。要するに、前川氏は
「不道徳な人間と見做し、そういう人間に中学生に話をさせると
はけしからん」という赤池氏の主張をそのままストレートに伝え
ていることです。「天声人語」は、「『国境はな〜い』どころか
行政と学校現場の亀裂が深くなりそうだ」と警告しています。
 この事件のもう一人の当事者である池田佳隆氏についてもご紹
介しておきます。自民党の池田佳隆衆院議員は2012年、自民
党が政権を奪還した衆院選で愛知3区から立候補し、初当選して
います。しかし、以後2回の選挙は、いずれも比例復活している
いわゆる「魔の3回生」で、党の文科部会所属の「安倍チルドレ
ン」の一人です。赤池誠章議員と同じく、日本会議国会議員懇談
会のメンバーです。
 ホームページによると、池田氏は2006年に、安倍晋三首相
(当時官房長官)と面会しファンになったそうです。「日本の経
済、雇用、賃金が回復するのを目の当たりにした」とアベノミク
スを称賛しています。2015年6月、報道機関に圧力をかけて
言論を封じようとする議論が噴出し、問題になった自民党若手議
員の勉強会にも出席していたのです。
 ちなみに、池田佳隆氏は、2007年1月に次の書籍を上梓し
ています。
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             池田佳隆著/ダイヤモンド社刊
  『誇り高き国日本/この国に生まれて本当に良かった』
─────────────────────────────
 この本のオビには、あの櫻井よしこ氏が「絶賛」の推薦文を寄
せており、それだけで池田佳隆氏がどういう思想の人物かは理解
できると思います。
 ところで、「日本会議」とか「日本会議国会議員懇談会」とい
うのは、どういう団体なのでしょうか。
 これについては、こういう話があります。財務省は、森友学園
関連文書の改ざんを認め、文書を提出していますが、改ざん前の
原本は提出していないのです。提出したのは、改ざん前と改ざん
後の比較表であって、なぜか原本の提出は依然拒んでいます。3
月20日の「報道ステーション」の概要を伝えるサイトには、次
の記述があります。
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 昭恵夫人の関与をめぐり、野党側は財務省太田充理財局長を追
及。改ざんがあった部分だけではなく決裁文書全体を早急に開示
すべきだと要求したが、太田氏は「コンピューターの中がぐちゃ
ぐちゃになっておりそれを作業しているためできない」と拒否。
                  https://bit.ly/2ucOWId
─────────────────────────────
 「コンピュータがぐちゃぐちゃになっている」という表現は、
ウソに決まっており、提出できない言い訳です。原本を提出でき
ないのは、まだ隠していることがあるからです。一説によると、
原本には日本会議に関する記述があり、そのため提出できないと
もいわれています。
 日本会議のウェブサイトを見ると、「日本会議とは」の冒頭に
次の記述があります。
─────────────────────────────
 私たちは、美しい日本の再建と誇りある国づくりのために、
 政策提言と国民運動を推進する民間団体です。
                 https://bit.ly/1U7EeU4
─────────────────────────────
 もう少し具体的に言うと、「戦後失われた国民精神をおしひろ
め、日本を愛し、日本人らしく誇りをもって生きましょう」と提
言する民間団体が日本会議です。ちなみに、「日本会議国会議員
懇談会」というのは、日本会議を支援する超党派の議員によって
構成される議員連盟のことをいいます。
 「美しい国」といえば、安倍首相の同名の本を思い出しますが
そもそも森友学園の問題は、日本会議というキーワードから読み
解くと、すべてすっきりと理解できるのです。しかし、なぜか、
メディアは日本会議というワードを一切使わないのです。非常に
不気味な話です。    ──[メディア規制の実態/055]

≪画像および関連情報≫
 ●日本最大の右派団体「日本会議」と日本の黒幕/魚住昭氏
  ───────────────────────────
   ちょっと前の話になるが、2015年6月15日、日本外
  国特派員協会での記者会見で面白いやりとりがあった。質問
  者はエコノミスト誌のマクニール記者。答えたのは慶応大名
  誉教授の小林節さん(憲法学)である。
   小林さんは、例の憲法審査会で安保法制を「違憲」と言い
  切った3学者の1人だ。もともとは憲法学会で改憲派を代表
  する存在だったが、今回の安倍政権の解釈改憲については、
  立憲主義の根幹を揺るがすものだとして真っ向から反対して
  いる。
   マクニール記者「集団的自衛権行使を合憲としている憲法
  学者が3人いて、彼らはみんな、日本会議に属している。そ
  れは何を意味しているのか?」
   日本会議は安倍政権の”黒幕”とも噂される日本最大規模
  の右派団体だ。そしてマクニール記者の言う3人とは、菅官
  房長官が安保法制を支持する憲法学者として名を挙げた西修
  ・駒沢大名誉教授ら3氏を指す。
   つまりマクニール記者はこう訊いたのである。日本の憲法
  学会に数えるほどしかいない”合憲派”の顔ぶれを見ると、
  そろいもそろって日本会議の関係者だ。これはどういうこと
  か。単なる偶然とは思えない、と。https://bit.ly/1ShIdNb
  ───────────────────────────

文科省に問い合わせた件でコメントする池田衆院議員.jpg
文科省に問い合わせた件でコメントする池田衆院議員
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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