2018年02月16日

●「政権ワイドショー潰しの高等作戦」(EJ第4705号)

 安倍政権が民放のテレビ局のなかで、最も警戒しているのは、
「テレビ朝日」と「TBS」であるといわれています。日本テレ
ビとフジテレビは安倍政権に近く、あまり心配する必要はなく、
テレビ東京は中立的であるといわれているからです。
 安倍政権の戦略としては、まず、トップと会食を繰り返し、政
権に対して、攻撃的な論説はなるべく避けてもらう雰囲気づくり
を行っています。さらにこうしたトップとの付き合いを通じて、
政治/報道番組そのものを減らす工作もやっています。
 その結果、とくに多くの人が視聴すると思われる土曜日の政治
/報道番組はほとんど姿を消しています。これについては、既に
述べた通りです。その一方で、安倍政権への親派テレビ局である
フジテレビについては、次の2つの政治番組を許しています。
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     ◎「プライムニュース」/月〜金
      ・20:00〜22:00/BSフジ
     ◎「新報道2001」 /日
      ・07:30〜08:00/フジ
─────────────────────────────
 「プライムニュース」はBSではありますが、2時間枠である
ので、政治/報道番組としては貴重な存在です。とくに“お友達
テレビ”の筆頭格であるフジにだけに許された特権です。安倍首
相や菅官房長官および各閣僚は、必要に応じて頻繁にこの番組に
は出演します。番組としては、政権寄りの番組とみられないよう
いろいろ工夫していますが、この番組の政権寄りは歴然です。こ
ういう番組もないと、自民党政権も困るからです。
 「新報道2001」は、以前は2時間枠だったのですが、1時
間に半減されています。そのせいか、最近では視聴率が落ちてお
り、このままいくと、消滅する可能性があります。私を含めて、
これまでこの番組を見ていた人は、午前8時からの2時間枠の政
治/報道番組「サンデーモーニング」(TBS)にチャンネルを
回してしまいます。1時間では議論にならないからです。
 しかし、いくらテレビ局のトップと頻繁に会っても、テレビ局
の現場を変えるのは困難です。そこで政権が目をつけたのが、報
道番組のメインキャスターやコメンテーターです。なかでも政権
にとって手ごわいのはメインキャスター(MC)です。
 MCのなかには、かつてのTBS「ニュース23」のMCだっ
た筑紫哲也氏(故人)や岸井成格氏、テレビ朝日の「サンデープ
ロジェクト」と「朝まで生テレビ」の田原総一朗氏、「ニュース
ステーション」の久米宏氏、この改編番組「報道ステーション」
のMC古館伊知郎氏、それに「サンデーモーニング」(TBS)
の関口宏氏など気骨のあるMCがいたのです。
 このうち、「サンデープロジェクト」は番組そのものを潰し、
「ニュース23」は岸井成格氏をMCから降板させ、「報道ステ
ーション」は古館伊知郎氏を交代させています。しかし、「サン
デーモーニング」(TBS)の関口宏氏は、依然としてMCとし
てこの番組を続けています。「ニュース23」を追われた岸井成
格氏も、ときどきこの番組には出演しています。
 このようにMC降ろしは容易ではないし、あまりにも露骨であ
るので、安倍政権はコメンテーターに目をつけたのです。コメン
テーターによる政権批判も政権にとっては、古賀氏の場合がそう
であったように、大きなダメージを受けるからです。
 ここで、コメンテーターの人気度を調べてみます。視聴者が意
見を聞きたいと思うコメンテーターは誰か──日経BPコンサル
ティングが、2014年9月に調査したベスト10です。
─────────────────────────────
     1位:池上彰(ジャーナリスト)
     2位:森永卓郎(経済評論家)
     3位:辛坊治郎(ニュースキャスター)
     4位:尾木直樹(教育評論家)
     5位:姜尚中(政治学者)
     6位:宮崎哲弥(評論家)
     7位:手嶋龍一(外交ジャーナリスト)
     8位:寺島実郎(評論家)
     9位:やくみつる(漫画家)
    10位:勝谷誠彦(コラムニスト)
                  http://nkbp.jp/2EyWPvG
─────────────────────────────
 2016年頃から、安倍政権はテレビ局の批判封じに新しい手
を使いはじめています。とくに注意を要するテレビ朝日の番組を
例にして、説明します。
 テレビ朝日は、午前4時55分の「グッドモーニング」から番
組がスタートし、午前8時から「羽鳥慎一のモーニングショー」
が10時まで続きます。
 引き続き、午前10時30分から「ワイドスクランブル」が正
午からの「徹子の部屋」の30分をはさんで、午後2時まで続き
ます。そして、午後5時50分からのニュース番組「Jチャンネ
ル」を経て、午後9時54分から「報道ステーション」が始まる
ことになります。
 この「グッドモーニング」、「羽鳥慎一のモーニングショー」
そして「ワイドスクランブル」の3番組には、番組内容に応じて
官邸肝入りのコメンテーターを送り込み、安倍政権への批判発言
には積極的に反論し、批判の度合いを薄める工作をしています。
 私は、平日家にいるときは、「グッドモーニング」から「羽鳥
慎一のモーニングショー」、「ワイドスクランブル」を正午まで
見て、TBSの「ひるおび」を見ることにしていますが、その流
れのなかに、官邸寄りの発言をするコメンテーターが複数配置さ
れていることを確信したのです。ちょうど、森友・加計問題が始
まってから、この体制がとられています。彼らの役割は、安倍政
権の批判を自ら発言により、和らげることにあります。
            ──[メディア規制の実態/029]

≪画像および関連情報≫
 ●『ミヤネ屋』がコメンテーター・青木理をクビ切り降板!
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   TBS『NEW23』の岸井成格、膳場貴子両キャスター
  が安倍政権と右派勢力の圧力で降板させられそうになってい
  ることを本サイトがスクープしてから2カ月。この間、『N
  EW23』問題はさまざまなメディアで取り上げられ、論議
  をよんだが、ここにきて、2人の更迭は回避される可能性が
  出てきたらしい。
   二人の降板問題については複数のメディアが後追い報道。
  視聴者からも批判の声が巻き起こり、岸井さんや膳場さんら
  当事者、(TBSの)報道、制作現場も、激しい抵抗を見せ
  た。そのため、上層部も動けなくなってしまったみたいです
  ね。ただ、おさまらないのは岸井さんの後任に星浩特別編集
  委員を出すことを了承し、それを前提に人事計画を組んでい
  た朝日新聞。TBSの煮え切らない態度にカンカンらしいで
  すよ」(TBS関係者)これが事実なら喜ばしい展開だが、
  しかし、一方で、報道圧力に屈し、自主規制を続けるテレビ
  局の空気はまったく変わっていない。つい最近も、あるワイ
  ドショーのコメンテーターが、安倍政権に批判的なスタンス
  が原因で、首を切られていたことが明らかになった。
   そのワイドショーとは『情報ライブ/ミヤネ屋』(読売テ
  レビ)。首を切られたのはジャーナリストの青木理だ。青木
  は共同通信社の公安担当やソウル支局記者などを経てフリー
  になったジャーナリスト。著書や雑誌連載では、安倍政権を
  真っ向批判するなど、リベラルなスタンスで知られるが、テ
  レビでは、政治から犯罪、メディア批評など様々なジャンル
  に目配りできる安定感のある解説で重宝されており、現在は
  『モーニングショー』(テレビ朝日系)のレギュラー・コメ
  ンテーターなど、複数の番組で活躍している。
                   http://bit.ly/2BQgLJh
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コメンテーター第1位の池上彰氏.jpg
コメンテーター第1位の池上 彰氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(1) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
1960年代、朝鮮総連の脅迫的な抗議行動を受けたTBSテレビが、社員の採用にあたり、無試験の「在日枠」(=日本国籍を取り日本名を名乗る「成り済まし日本人」の採用枠)を設けるようになった経緯を記した元TBS社員の内部告発
  http://8729-13.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-9a85.html
Posted by TBSの「在日枠」 at 2018年02月16日 19:45
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