2018年02月15日

●「テレビコメンテーターを分類する」(EJ第4704号)

 テレビのコメンテーターとは何でしょうか。
 コメンテーターとは、テレビ、ラジオ及びワイドショー(情報
番組)の解説者です。もう少し詳しくいうと、政治、経済、軍事
などの社会的事象に対して、専門的な解説、説明を行う解説者の
ことです。
 このなかでとくに政治に関しては、現政権の政治姿勢や政策な
どについて、問題があれば遠慮なく指摘し、その改善の方向につ
いて、専門家の立場からコメントする役割を担っています。
 しかし、古賀茂明氏の例でもわかるように、とくに安倍政権に
なってからは、在京テレビキー局の番組に常時出演しているコメ
ンテーターからは、権力を恐れず、正しいことは正しいと主張し
間違っていることは鋭く批判するコメンテーターは、ほとんど姿
を消しています。
 古賀茂明氏によると、現在テレビの報道番組に出演しているコ
メンテーターは、次の3つにわけることできるそうです。
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 1.政権寄りが鮮明で、テレビで政権が批判されると、すぐ
   反論し、批判を薄める働きをする。
 2.テレビ局に媚びることで出演機会を得ようとする人々で
   局側の意向を汲んでコメントする。
 3.政権監視がマスコミの役割とわかっているが、テレビ本
   番では、本質を語ることを避ける。
       ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
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 ところで、コメンテーターというのは、どのくらいの収入にな
るのでしょうか。
 もちろん人による違いはあると思いますが、テレビの出演料に
は「タレント枠」と「文化人枠」という区別があり、コメンテー
ターは「文化人枠」になります。「文化人枠」の標準は1回の出
演につき、「5万円+お車代」だそうです。案外安いのです。テ
レビに出るとなると、30分ほどの番組でも、拘束時間を多くと
られるので、割に合わないという人もいます。
 テレビ局は「文化人枠」の定義として、「本業の収入源が別に
ある人」であり、かつ「専門的な話ができる人」としています。
つまり、テレビに出演することで生活をしている人ではないとい
うことで、ギャラが安くなっているのです。
 もっともテレビのギャラは安くても、コメンテーターにはテレ
ビに出ることによるプラス効果がたくさんあります。例えば、作
家がコメンテーターとして、文化人枠でテレビに出演すると、顔
と名前が知られるようになり、本がよく売れたり、講演依頼が増
えたりと、多くのメリットがあります。
 これに対して、「タレント枠」で出演する人は、テレビに出演
するのが職業であり、それで生活している人たちなので、ランク
はあるものの、出演料は高額になるという理屈です。もっとも、
文化人枠で出演しているコメンテーターでも、コメントが評価さ
れ、有名になると、出演頻度も多くなり、タレント枠へ移行する
コメンテーターもいます。
 実は、このタレント枠への変更を目指しているコメンテーター
はたくさんいます。そのためには、できる限り長期にわたっての
テレビ出演が前提になります。そうなると、コメント力を磨くこ
とはもちろんですが、番組から降ろされないよう、どうしても、
多少自分の信念を曲げても、テレビ局の意向に沿うコメントをす
るようになってくるのです。
 その結果生まれたのが古賀茂明氏による冒頭のコメンテーター
の3分類です。「1」は政権に近い人物であり、本人もそれを隠
したりはしないのです。「この前安倍さんとゴルフに行ったとき
・・・」とか、「ある政府首脳と会食したときの話だけどね・・
・」とか口にし、政権に近いことを自ら表明するので、いささか
鼻につきますが、それ自体は貴重な情報であり、参考になること
も少なくないといえます。
 コメンテーターのタイプで一番多いのは「2」です。自分の顔
と名前を売ることが最優先の目的であり、そのコメントは平凡で
内容に乏しく、一貫性もないのです。政権にとっては、毒にも薬
にもならないタイプであり、政権から、圧力をかけられる心配は
ないのがこのタイプです。
 一番問題なのは「3」のタイプです。専門分野に関してしっか
りとした自分の意見を持っており、著書もあって、そこでは結構
政権批判もしているのです。古賀茂明氏は、このタイプのコメン
テーターが一番問題があるとして、次のように述べています。
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 第3のグループは、政権の監視や批判がマスコミの重要な役割
だと分かってはいるが、信念を貫けない人たち。テレビの外では
政府批判もするのだが、在京キー局の本番では、本質を語ること
を避ける。この場合、番組外でのイメージがあるので、視聴者は
本当は非常に大きな問題があるにもかかわらず、「いつも政権に
批判的なあの人が批判してないのだから、そんなに大きな問題で
はないのだろう」と勘違いしてしまうことにつながる。その意味
では、このケースも非常に罪が重いといわなければならない。
       ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 「やっぱり、僕たちはテレビに出てなんぼだからね。そのあた
りはよく考えないとね。テレビに出られなくなったら、政権批判
もできないじゃないか」──こういって、古賀さんに忠告してく
れたコメンテーターは何人もいるそうです。
 菅官房長官は、ほとんど毎晩のように会食しています。対象者
は、政権に批判的な人を選んでいるようです。官房長官から食事
に誘われれば、悪い気はしないと思います。それに貴重な情報が
もらえるので、自分の仕事上プラスが多いです。そのため、どう
しても軍門に下るコメンテーターが多くなってしまうのです。
            ──[メディア規制の実態/028]

≪画像および関連情報≫
 ●菅官房長官が「NEWS23」岸井の勉強会にこっそり
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   政権を監視し、報道の使命をきちんと果たそうとしたニュ
  ース番組のキャスターやコメンテーターたちが次々と降板に
  追い込まれるという、誰の目にも明らかな異常事態が起きた
  2015年。テレビ各局は萎縮と自主規制の空気に支配され
  今では、安倍首相が国会でどんなトンデモ答弁をしても、ほ
  とんど取り上げないという機能不全状態に陥ってしまった。
   こうした状況をつくりだしたのはもちろん、安倍政権の圧
  力だが、その実行犯といえば、やはり、“安倍政権のゲッベ
  ルス”菅義偉官房長官をおいていないだろう。本サイトでは
  菅官房長官によるテレビ、新聞、さらには週刊誌への具体的
  な介入について再三、報じてきたが、ついにあの人が菅氏の
  “やり口”について語った。
   あの人とは、昨年のメディア圧力事件の象徴的人物であり
  菅官房長官の圧力によって『報道ステーション』(テレビ朝
  日)を降板に追い込まれた元経産官僚・古賀茂明氏だ。古賀
  氏が菅官房長官について語ったのは、「週刊金曜日」(金曜
  日)2015年12月25日・1月1日合併号に掲載された
  鼎談でのこと。この鼎談には、古賀氏のほかに評論家の佐高
  信氏、上智大学教授の中野晃一氏が参加。最初に話題に挙が
  ったのは、「放送法遵守を求める視聴者の会」による「ニュ
  ース23」(TBS)のアンカー・岸井成格氏に対する意見
  広告についてだったが、まず、これに対し古賀氏は「いやー
  ここまでやるかなという感じです」と驚嘆し、このように述
  べている。「賛同人の名前を見れば、安倍政権の応援団がし
  てることです。安倍政権が本気でこのまま突き進めば放送に
  ついては完全に国家統制の時代に入りますね」。
                   http://bit.ly/2BQoNlu
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定例会見での菅官房長官.jpg
定例会見での菅官房長官
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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