2018年02月13日

●「衆院選前の『朝生』をめぐる論争」(EJ第4702号)

 EJ第4683号(1月16日)からEJ第4685号(1月
18日)で述べたように、自民党は、2014年11月の衆議院
選挙直前の11月20日に在京テレビキー局に放送法を盾にして
報道に圧力をかける文書を送付し、11月26日にはテレビ朝日
の報道番組「報道ステーション」の担当プロデューサーに対して
11月24日の「報道ステーション」の内容にクレームをつける
文書を送達しています。
 この文書については、当初どこの新聞社も官邸に気を遣ったの
か報道しませんでした。しかし、「日刊ゲンダイ」が報道すると
さすがに他の新聞社も恐る恐る自民党を刺激しないよう穏当に報
道をしましたが、テレビ局については、取り上げるところは皆無
でした。彼らは、このことを放置すると、やがてそれが自分たち
の首を絞める事態になることがわかっていたのに、あえて報道を
控えたのです。
 これに反発したのが田原総一朗氏をはじめとする報道関係の有
識者です。彼らは、2014年12月11日、参議院会館で記者
会見を開き、次のような「緊急メッセージ」を発表しています。
 会見したのは、テレビ朝日出身で「放送レポート」編集長の岩
崎貞明氏、元「GALAC」編集長の坂本衞氏、日本民間放送連
盟出身で立教大准教授の砂川浩慶氏、日本テレビ出身で法政大教
授の水島宏明氏らです。
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 政治的な圧力を恐れる自主規制によって、必要な議論や批判を
避けてはならない。政治家も「錯誤」に満ちた要望書を放送局に
送るような愚行は慎み、放送が伝える人びとの声に耳を傾け、放
送を通じて堂々と政策を議論すべきだ」などと批判している。
                   http://bit.ly/2BGxzCH
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 しかし、これに対して田原総一朗氏は、「テレビにタブーはな
い」として、次のように反論しています。
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 この会見は、テレビ局の報道局長らを巻き込まないと意味がな
い。僕は”朝生”の冒頭、あの問題を20〜25分やった。自民
党は一人で、あとは野党。野党はコテンパンにやっていた。かつ
てない萎縮ムードがまん延している──という見方はウソ。あの
文書で自民党は何百万票も票を減らしたはず。──田原総一朗氏
                   http://bit.ly/2BGxzCH
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 この「朝まで生テレビ」は、2014年11月29日未明に放
送されているのですが、テーマはその直後に開催される衆議院選
挙について、政治家、評論家、ジャーナリストなどを集めて議論
する予定だったのです。
 しかし、その参加者や番組内容に関して、司会の田原総一朗氏
とテレビ朝日の報道局長との間で大論争になったのです。それは
自民党が11月20日と26日にテレビ朝日に対して突きつけた
圧力文書に怯えた報道局長が「中立・公平性を担保」するため、
番組内容の変更を強く田原氏に求めたからです。
 田原総一朗氏は、とことん報道局長に抵抗したものの、強引に
報道局長に押し切られ、出演者からは評論家やジャーナリストは
全員外され、政治家8人だけの議論になったのです。しかも、自
民党からの出演者は、武見敬三氏ただ1人で、後は全部野党議員
だったのです。
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 ◎朝まで生テレビ
 「激論!総選挙直前!これでいいのか?!日本の政治」
 総合司会:田原総一朗/進行:渡邊宣嗣/村上佑子
 パネリスト
   【自 民】武見 敬三   【次世代】松沢 成文
   【公 明】西田 実仁   【共 産】大門実紀史
   【民 主】大塚 耕平   【生 活】松崎 哲久
   【維 新】藤巻 健史   【社 民】福島みずほ
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 これはネットで大騒ぎになったのです。とくに荻上チキ氏を外
したことが話題になっています。これについて「ライブドアニュ
ース」は、次のように報道しています。
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 早速、効果が現れたということだろうか。先日、リテラが取り
上げた自民党による各テレビ局への「報道の公平を求める」通達
の事実はその後、共同通信、朝日新聞や毎日新聞などでも報道さ
れ、識者の間で「報道への圧力」という批判の声があがるなど、
大きな問題になった。
 ところが、その直後、テレビ朝日の「朝まで生テレビ」が解散
総選挙をテーマにした放映で、出演の決まっていた荻上チキ、小
島慶子ら評論家、文化人を「公平性を担保できない」としてドタ
キャンしていたことが発覚したのである。
 荻上がラジオ「セッション22」(TBSラジオ他)で説明し
たところによると、テレビ朝日から連絡があったのは放映前日の
27日。「当初は質問する文化人がいて、各党の代表が答えるス
タンスだった。それだと公平性を担保できない、番組側と局との
間で方針が違ったとの事で政治家のみの出演になったと連絡を受
けた」という。(中略)
 「荻上や小島のようなゲストでは、これに抵触する可能性があ
るということでしょう。ただ、荻上らだけをキャンセルするわけ
にはいかないので、ゲストを一切抜きにして、政治家だけにした
ということでしょう。現場は相当抵抗したのですが、時間切れ。
結局、上層部に押し切られて、政治家と司会の田原総一朗、局の
コメンテーターだけの出演になった」(テレビ朝日関係者)
                   http://bit.ly/2FVHqlY
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            ──[メディア規制の実態/026]

≪画像および関連情報≫
 ●「朝生」で評論家出演中止/荻上チキ氏
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  (1)明日の「朝まで生テレビ」。当初出演予定でしたが、
  前日に電話があり、急きょ出演がなくなりました。番組とし
  ては、「各党議員+ゲスト数人」という構成を予定していた
  のですが、「ゲスト数人」の部分がなくなったとのことで、
  議員の方だけの議論になるそうです。
  (2)出演がとりやめになった理由としては、ゲストの質問
  によっては「中立・公平性」を担保できなくなるかもしれな
  い、というのものだと聞きました。「ゲストが僕だから」と
  いうのものではなくて、「文化人・知識人枠」を入れること
  そのものを取りやめたそうです。
  (3)「朝生」ではこれまでも何度も「各党議員+ゲスト数
  人」の構成で選挙特集をやってきましたし、僕も何度か出演
  してきました。今回、そうした構成でできないというのは残
  念ですが、無理やり出るわけにもいきませんので、いち視聴
  者として見守りたいと思います。
  (4)個人的には、議員の方はゲストの質問にも自由に答え
  られるので、応答の時間があれば問題ないのではなかとも思
  いますし、議員同士でないと「中立・公平性」の上で問題あ
  りとなれば討論番組の形式を縛ることになるとも思います。
  (5)ちなみに、番組スタッフに「誰かが何か言ってきたり
  したんですか?」と確認しましたが、あくまで局の方針と番
  組制作側の方針が一致しなかったため、とのことでした。番
  組スタッフも戸惑っていた模様です。
                   http://bit.ly/2nQULVi
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萩上チキ氏.jpg
萩上 チキ氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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