2018年02月07日

●「古賀は万死に値する/メッセージ」(EJ第4699号)

 2015年1月23日に、「報道ステーション」において、当
時コメンテーターの古賀茂明氏が「I am not ABE」のカードを掲
げたとき、官邸がどのように動いたかについて古賀氏の著作から
情報を集め、明らかにしたいと思います。
 官邸からの第1報は、番組放送中に入っています。官邸の中村
格官房長官秘書官(当時)から、テレビ朝日の報道局ニュースセ
ンタ一編集長の中村直樹氏に直接電話が入ったのです。両方とも
「中村」なので、ややこしい話ですが、要する官邸はつねに「報
道ステーション」をチェックしていたということになります。
 ところが、中村編集長はこの電話を取り損ねてしまいます。そ
うすると、今度は中村編集長のスマホに次のショートメールが入
電したのです。
─────────────────────────────
          古賀は万死に値する
─────────────────────────────
 これで報道局はパニックに陥ったのです。番組終了後に篠塚報
道局長は、藤岡政治部長と番組チーフプロデューサーを呼び出し
対策を協議します。篠塚報道局長は、チーフプロデューサーに対
し、「なぜ、コメンテーターにあんな発言をさせたのか」と詰問
したところ、プロデューサーは次のように答えています。
─────────────────────────────
 古賀氏の発言は番組として了承しており、何の問題もないと
 考えています。        ──チーフプロデューサー
─────────────────────────────
 このプロデューサーの意見は、報道人として非常に立派である
と思います。彼は、古賀氏の発言は、番組中に「I am not ABE」
のカードを掲げることも含めて、番組として了承したものであり
何も問題はなく、官邸からクレームをつけられるいわれはないと
主張しているからです。
 本来は、このプロデューサーのいう通りなのですが、現政権は
安倍政権であり、メディアに対して規制を強め、政権の批判は絶
対に許さないという姿勢です。しかも、これに加えて、1月24
日には、菅官房長官によるオフレコ発言としてではあるが、コメ
ンテーターの古賀氏の発言は放送法に抵触するというクレームが
出たことによって、おそらくテレビ朝日は早河会長らのトップが
官邸に出向いて、菅官房長官に謝罪しています。そして、おそら
くこの時点で、古賀氏のコメンテーター降板は決定したものと思
われます。
 ちなみに、中村編集長のスマホに「古賀は万死に値する」とい
うショートメールを送り付けた官邸の中村格官房長官秘書官(当
時)という人物は、安倍首相に親しいジャーナリストの山口敬之
氏の「詩織」さんに対する「準強姦」疑惑で、高輪署の逮捕状を
握り潰した人物です。中村格氏は、2015年6月には警視庁の
刑事部長に栄転しており、その直前まで官房長官秘書官として、
菅官房長官を支えていたのです。いわば菅官房長官の警察関係の
懐刀的存在です。
 問題は中村刑事部長の判断です。警視庁刑事部長といえば、ド
ラマ『相棒』に出てくるゴマ刷り一辺倒の刑事部長(片桐竜次)
を思い浮かべますが、実際のイメージは警視庁の捜査陣のトップ
であり、とてもエライ人なのです。
 そんなトップが、ショカツの高輪署の一レイプ容疑犯の逮捕状
を握り潰すなどいうことは異例中の異例です。しかし、逮捕され
ようとしている人物が政権にとって重要人物であり、官房長官か
ら何らかの依頼があれば話は別であり、やろうと思えば十分やれ
ることです。
 山口敬之氏は元TBSの記者で、安倍首相の番記者の一人であ
り、安倍首相を描いた『総理』(幻冬舎)や『暗闘』(幻冬舎)
の著書です。その内容は、総理と親しくなければ絶対に書けない
内容であり、テレビなどにもよく登場し、安倍首相について語っ
ていたのです。
 そういう人物がもし逮捕されると、政権として、痛くもないハ
ラを探られることを官邸側が恐れたと考えられます。そういう場
合、頼りになるのは、元官房長官秘書官だった中村格氏というこ
とになります。ただし、中村氏は、もちろんそういう関係は否定
し、逮捕すべき事案ではないと判断したと答えています。
 さらにこの山口敬之氏には、数億円の補助金を搾取したとして
逮捕されている斎藤元章容疑者が社長を務めるペジーコンピュー
ティング社の顧問を務めており、何らかのかたちで口利きがあっ
たのではないかと疑われています。またしても役人の忖度が疑わ
れる事案であり、週刊誌にも取り上げられています。
 1月30日の衆院予算委員会では、希望の党の柚木道義議員か
ら安倍首相に対し、山口敬之氏との関係を聞かれると、首相は顔
をゆがめながら、色をなして、否定しています。
─────────────────────────────
 週刊誌報道を基に質問しないでもらいたい。山口敬之氏は、私
の番記者であり、取材を受けたことはある。それ以上でも以下で
もない。                   ──安倍首相
─────────────────────────────
 官房長官秘書官が、報道番組に間髪を入れず、直接クレームを
入れてくるということは、番組を入念に監視しているということ
を意味します。その一方で安倍首相は、テレビ局の幹部と頻繁に
会食しており、メディアとしては、報道内容に関して抑制せざる
を得ない雰囲気になっていたのです。
 「報道ステーション」の場合、2015年1月23日の古賀発
言によって、古賀氏だけでなく、月曜〜金曜日出演の恵村順一郎
氏(朝日新聞論説委員)と番組プロデューサーを3月末日をもっ
て、降板させることを官邸に約束せざるを得なかったのです。し
かし、そのことを古賀氏にはすぐに伝えていないのです。あくま
で4月の番組改編に伴うスタッフの変更というかたちにこだわっ
たからです。      ──[メディア規制の実態/023]

≪画像および関連情報≫
 ●久米宏氏、報ステに苦言/古賀氏降板問題
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   元経済産業省官僚、古賀茂明氏(59)の、テレビ朝日系
  「報道ステーション」からの“降板”問題を思わぬ人が蒸し
  返した。同局の「ニュースステーション」のキャスターを務
  めた久米宏氏(70)が、毎日新聞(30日朝刊)のインタ
  ビューに応じ、苦言を呈したのだ。
   古賀氏は、3月27日の「報ステ」で、菅義偉官房長官を
  名指しした上で、官邸からの圧力によって自身が降板させら
  れたと主張した。菅氏はこれを「事実無根」と否定し、テレ
  朝は先月28日、報道局幹部ら3人を戒告とする処分を発表
  した。問題となった放送について、久米氏は、毎日のインタ
  ビューに「ビデオを2回見返しても、(古賀氏が)何のこと
  を言っているのかがよくわからなくて、ちょっと欲求不満で
  したね」「あそこで打ち切っては、視聴者にはさっぱりわか
  らない」と感想を語った。その上で「どういう経緯であの話
  になったのか。もし、僕が司会だったら、最後まで聞いたん
  じゃないですかね」と、古舘伊知郎キャスター(60)への
  批判ともとれる指摘をした。
   さらに、自身が中曽根康弘政権に「かなり批判的な発言」
  をした結果、中曽根氏の地元での記者会見への参加を禁止さ
  れたという“武勇伝”を披露し、「番組制作上、面白くする
  ためにあえて踏み出すことはあります」「中途半端だと面白
  くないし、やるなら徹底した方がいい」と持論を展開した。
                   http://bit.ly/2GK5oC7
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ジャーナリスト/山口敬之氏.jpg
ジャーナリスト/山口 敬之氏
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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