2015年1月20日とされています。これを受けて日本政府は
次の声明を出しています。
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彼らのひどい行動の責任を取らせるために、国際社会と協力
して行く。
I will work with the international community to hold
them responsible for their deplorable acts.
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「hold them responsible」 は「責任をとらせる」というかな
り抑制気味の表現ですが、海外のメディアとしては、これまでの
日本の首相としてはかなり踏み込んだ表現であるとして、おおむ
ね好意的に幅広く報道しています。
古賀茂明氏は「当時安倍首相の精神状態はかなりハイになって
いたのではないか」と述べていますが、それは、直後の1月25
日のNHK『日曜討論』に出演した安倍首相が、かなり踏み込ん
だ発言をしているのをみてもわかります。
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現在ですね、政府の中において法案の作成を精力的に進めてい
る状況であります。えー、今回の法整備は切れ目のない安全保障
法制を構築をしている。それによって国民の命と幸せな暮らしを
守り抜いていくということです。
例えばこのように海外で邦人が危害に遭ったとき、その邦人を
救出する。自衛隊が救出するための法律。えー、現在、そのため
に自衛隊が持てる力を十分に活かすことができません。そうした
ことを含めて、そうした法制も含めて、えー、今回、法整備を先
ず進めてまいります。 ──安倍首相
http://bit.ly/2DU5U2n
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これは、かなり危ない発言です。もし、日本人が海外で危害に
遭ったとき、自衛隊がそれを救出できるように法律改正をするよ
うにとれるからです。
いずれにせよ、本来であれば、2人を救出できなかったことを
もっと責められてしかるべき安倍首相は、海外では、何と「敢然
とテロリストと闘う安倍首相」という高評価に受けてしまってい
るのです。安倍首相としては「してやったり!」と舞い上がって
も不思議はないでしょう。
これに反対したのは、「報道ステーション」のコメンテーター
古賀茂明氏です。「このままでは、今後何の罪もない日本人が海
外で「日本人である」というだけで被害に遭う恐れがあるとして
「われわれはアベと違う」という意味で、「I am not ABE」のカ
ードを1月23日の「報道ステーション」で掲げたのです。この
狙いを古賀氏は自著で次のように述べています。
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一国の指導者に課された最大の責務は、国民を無用な戦争に巻
き込まないことだ。しかし安倍総理は、これとは正反対の方向に
進んでいる。
私たち日本国民の心を表すのは、むしろ後藤さんの行動だ。戦
争などの犠牲者、特に女性と子どもたちの姿を世界に伝え、戦争
の根絶のために貢献しようという姿勢こそ、日本国憲法が求める
精神ではないか。
安倍総理の、軍事力による「似非積極的平和主義」とは対極に
ある、日本国憲法が求める「真の積極的平和主義」だ。後藤さん
の心を共有する「I am Kenji」とともに、安倍総理の考えを否定
する「I am not ABE」という言葉を、いますぐ世界に向けて発信
することこそ平和を愛する日本人に課せられた責務ではないか。
そう思い、私は「報道ステーション」の2015年1月23日の
放送で、初めてこの言葉を発信したのである。
「I am Kenji」と「I am not ABE」──
この2つの言葉は、まさに、平和を愛する日本人の命を守るた
めの一対の救いのフレーズなのである。
──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
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この古賀氏による「I am not ABE」のカードに官邸が激しく反
応したのです。日本では、大臣や党幹部、政府高官などが番記者
にオフレコを条件で重要な情報を流す習慣があります。この場合
オフレコだからといって、絶対ヒミツというわけではなく、記者
がその発言をメモし、記事にする場合があるのです。それを承知
で、大臣などがリークすることもあります。
2015年1月24日午後のことです。菅義偉官房長官が、定
例の記者会見終了後に、番記者にオフレコで、次のように話して
いるのです。
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あれは本当に頭にきたなあ。いや、本当、俺だったら放送法に
違反してるって、いってやるところだけどな(笑)
──菅義偉官房長官
──古賀茂明著の前掲書より
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この菅義偉官房長官の発言は、オフレコ会見前日の1月23日
の「報道ステーション」において、コメンテーターの古賀茂明氏
が「I am not ABE」のカードを掲げたことをいっているのです。
何しろ、日本人2人が殺されており、安倍政権にとっては最も
センシティブな問題であり、一番批判されたくないことです。そ
れを具体的に「アベ」と名指しして批判したのですから、菅官房
長官が頭にくるのはわかるような気がします。
しかし、菅官房長官のいうように、放送法には違反していない
のです。既に述べているように、放送法第4条はあくまで「番組
ごと」ではなく、一定期間の報道を通してバランスをとればよい
と総務省がガイドラインを出しているからです。
──[メディア規制の実態/022]
≪画像および関連情報≫
●オフレコメモが存在していた/マイクロバブル日記
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報道ステーション(テレビ朝日系)で爆弾発言を行った古
賀茂明氏へのバッシングが続いている。古賀氏に対して「捏
造だ」「被害妄想だ」「陰謀論を平気で事実のように、しゃ
べっている」という指摘が多く、30日には、菅義偉官房長
官が記者会見で、古賀発言を完全否定している。
「テレビ朝日の『報道ステーション』のコメンテーター」
が、生放送中に菅官房長官の名を挙げて「バッシングを受け
た」と語った際に、「まったくの事実無根」「事実に反する
コメントだ。公共の電波を使った行為であり、極めて不適切
だ」と批判。菅官房長官は、この会見で「放送法という法律
があるので、まずテレビ局が、どう対応されるかを見守りた
い」と発言している。
これこそ何よりの、テレビ朝日に対しての、あからさまな
圧力ではないだろうか?嘘をついていたのは古賀氏でないよ
うだ。菅官房長は明らかに「放送法違反」という言葉で古賀
氏と報道ステーションを攻撃しなから、平気で「事実無根」
などと強弁していたわけだ。捏造と謀略による報道弾圧を繰
り返してきた安倍政権の官房長官ならではの手法というべき
か。信じられないのが、日本のマスコミ達の対応だ。
地上デジタルの各局は、ワイドショーで一斉にこの問題を
取りあげている。だが、ミヤネヤをはじめとして、唖然とす
る横並び報道のオンパレード。彼らはこのオフレコ懇談の席
に同席し、誰よりも菅官房長官が嘘をついていることを知り
ながら、なんの追及もせず、「事実無根」発言を垂れ流して
いる。 http://bit.ly/2s2RkjI
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「I am not ABE」のカードを掲げる古賀 茂明氏