2018年02月02日

●「米国との関係を重視した安倍政権」(EJ第4696号)

 安倍首相の対米重視の姿勢は相当のものです。民主党政権のと
き、当時の鳩山首相がある国際会議で、オバマ大統領との個別会
談の時間をとってもらえず、やむなく合同ランチの席で、オバマ
大統領の席の横でオープンで会談を行ったことがあります。この
とき、後になって有名になる鳩山首相の「ビリーブ・ミー」が発
せられるのです。当時野党議員だった安倍晋三氏は、その様子を
見て、日米関係がこれではいけないと考えたといいます。
 確かにオバマ大統領は、当初は日本に対して厳しく、2012
年暮れに安倍氏が首相になっても、首相就任後の初の日米会談を
春まで延期させられるなど、苦戦を強いられます。それだけに安
倍首相は、誰よりもオバマ大統領に認めてもらいたいという思い
が強くあったと考えられます。
 安倍首相は、フリーランス・ジャーナリストの後藤健二さんに
対してある懸念を持っていたのです。それは、今から約15年前
のブッシュ政権のときの出来事です。当時は小泉政権であり、安
倍晋三氏は官房副長官を拝命していたのです。
 米軍がイラクのフセイン政権を倒して国内を平定したとき、後
藤健二氏がある映像をイラクから持ち帰ったのです。それは、米
軍の攻撃による多くの民間被害者の映像だったのです。
 この映像は、NHKの「クローズアップ現代」に取り上げられ
『終らない戦争』というタイトルで放送予定であり、後藤健二さ
んも出演する予定だったと聞いています。
 しかし、この番組は、放送直前に経営陣の判断で中止され、ボ
ツになったのです。NHKとしての中止の理由は、表向きは「N
HKが取材していない内容を主とする番組を放送するわけにはい
かない」というものでしたが、その本当の理由をジャーナリスト
の横田一氏は次のように明かしています。
─────────────────────────────
 小泉政権は当時、米ブッシュ政権の「テロとの戦い」」に賛同
し、その後、イラクのサマワに自衛隊を派遣しています。そんな
状況下で、米軍の空爆で被害を受けた市民の視点で作った番組を
流すのは、政権批判につながりかねない。OA(オンエア)は避
けるべきという政治的な判断もあったようです。 ──横田一氏
                   http://bit.ly/2DSaLkX
─────────────────────────────
 当時安倍氏は、官房副長官として、おそらくこの放送中止に関
与していたものと思われます。そうであるとしたら、安倍首相は
後藤健二氏について、あまり良い印象を持っていなかったのでは
ないかと思われます。これについて、古賀茂明氏は、次のように
述べています。
─────────────────────────────
 仮に後藤さんが解放されて無事に帰国したら、何が起きていた
か・・。後藤さんは湯川さん救出のためにイスラム国支配下にあ
る地域に入った。ということは、そこで取材をすれば、アメリカ
中心の有志連合の容赦ない空爆による被害の映像がたくさん撮ら
れていたであろう。
 もちろん、アメリカなどは建て前上、イスラム国の拠点だけを
ピンポイントで爆撃したといっているが、そんなことは大嘘であ
ることは、後に海外メディアが暴いて大問題になった。その空爆
の巻き添えになった被害者には、民間人、それも女性や子どもが
多数含まれている。病院や学校がイスラム国の拠点として多用さ
れていることから、誤爆すればとんでもない悲惨な事態になる。
そうした画像や映像を、もし後藤さんが日本に持ち帰ったとした
ら・・。   ──古賀茂明著/講談社刊/『日本中枢の狂謀』
─────────────────────────────
 後藤/湯川両氏を救うという前提に立つと、シリアとの多くの
交渉拠点を持つトルコに現地対策本部を置き、エルドアン大統領
の力を借りながら、ISと水面下での交渉を行うべきです。しか
し、これは米国にとって好ましいものではなかったのです。「テ
ロリストと取引するのか」の批判もあります。
 しかし、実際に安倍首相のやったことは、エジプトでISと闘
う国に対して資金援助を行うと演説し、次にイスラエルに行って
同じ演説をしているのです。これは、ISを刺激させるのに十分
過ぎます。しかも、ヨルダンに対策本部を置いており、米国のC
IAの監視下にあるので、勝手な行動はとれないのです。
 要するに安倍政権としては、2人を救出するのには最悪の手を
打っていたことになります。その結果、安倍政権は2人を救出で
きなかったのです。しかし、米国をはじめ、国際社会に対しては
安倍政権は高い評価を受けているのです。これについて、古賀茂
明氏は次のように述べています。
─────────────────────────────
 安倍総理の姿勢は、列強国には高く評価された。「テロに屈せ
ず闘う安倍」というイメージは、これまでの日本のリーダーには
なかったものだ。これを中東だけではなく世界中に広げることが
できたのだから、安倍総理は大喜びだったであろう。特に総理を
喜ばせたと思わせるのは、米、英、仏など、NATOの中心的メ
ンバー国のリーダーが、後藤さんが殺害された直後に安倍総理の
「闘う姿勢」を称賛し、日本への連帯を示したたことである。各
国首脳が、記者会見で、わぎわざ自分の言葉で褒め称えてくれた
ことで、安倍総理の気持ちがどれくらい高揚したことか・・「こ
れで、晴れて世界の列強の仲間入りができた」と、小躍りしたと
しても不思議はない。      ──古賀茂明著の前掲書より
─────────────────────────────
 もし、古賀氏の指摘することが事実であるとしたら、安倍政権
は、メディアに相当激しく叩かれるはずです。しかし、そういう
混乱は起きていないのです。おそらくそれは、そのとき既にメデ
ィアは抑え込まれていたからであると考えられます。そのため、
それに唯一逆らい、「I am not ABE」とカードを掲げた古賀茂明
氏に対して、安倍政権は集中して、圧力をかけることになったの
です。         ──[メディア規制の実態/020]

≪画像および関連情報≫
 ●人質救出失敗 安倍政権がバラまいた“情報収集”の代価
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   「情報収集と分析に全力を挙げる」だけで、人質2人をむ
  ざむざと殺害されてしまった安倍政権。その“情報収集”に
  も税金は使われている。
   04年4月に起きたイラク日本人人質事件では、拘束され
  た5人の救出に関連して支出した外務省の経費は、総額で約
  1815万円。これは職員の航空運賃、宿泊費など、直接か
  かった経費で、人件費は含まれない。この事件では、人質の
  拘束から解放まで10日あまり。単純に1日約170万円か
  かった計算になる。
   「安倍首相は先日の国会答弁で、後藤さん拘束後の11月
  から現地にも対策本部を立ち上げたと話していた。2カ月以
  上となると、1億円は超える。もっともこれは表に出せる金
  額です。実際には現地の仲介役などに水面下でジャブジャブ
  謝礼を支払っているので、2倍、3倍では、きかないでしょ
  う。そもそも安倍政権は今回の事件で官房機密費からも10
  億円用意していたと囁かれています」(官邸事情通)
   国民の命、安全を守るのは、政府の責任でお金だってかか
  る。当然だろうが、安倍政権は、ヨルダン頼みで右往左往し
  ただけで億単位だ。「情報収集でお金をバラまいたせいで、
  中東では改めて『日本人はお金になる』というイメージが広
  がった。標的にされる危険性が、さらに高まったともいえま
  す。(外務省関係者)。何か解せない。
                   http://bit.ly/2nuSlLK
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現地対策本部/中山外務副大臣.jpg
現地対策本部/中山外務副大臣
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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