対策を行っています。安倍政権のメディア対策を再現します。
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1.ぶらさがり会見の中止
2.蜜月メディアへの出演
⇒ 3.メディア幹部との会食
⇒ 4.メディアチェック実施
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メディア対策の第3は「メディア幹部との会食」です。
安倍首相は、2012年暮れに政権を奪取すると、凄い勢いで
メディアの幹部と会食をはじめます。2014年12月30日付
の「しんぶん赤旗」の記事から、2013年1年分を抜き出して
みると、次のようになります。
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1月 7日:読売・渡邊恒雄会長
8日:産経・清原武彦会長 熊坂隆光社長
2月 7日:朝日・木村伊量社長
14日:産経・清原武彦会長
15日:共同・石川聡社長
3月 8日:日経・喜多恒雄社長
15日:フジテレビ・日枝久会長
22日:テレビ朝日・早河洋社長
28日:毎日・朝比奈豊社長
4月 4日:朝日・曽我豪政治部長、時事・田崎解説委員ら
5日: 日本テレビ・大久保好男社長
5月 7日:時事・西澤豊社長、田崎解説委員ら
8日:読売・渡邊会長、日本テレビ・大久保社長ら
15日:読売・渡邊会長ら
6月12日:各社論説委員
7月22日:朝日・木村社長、日本テレビ・大久保社長ら
8月16日:フジテレビ・日枝会長
22日:共同・福山社長、フジテレビ・日枝会長
9月10日:読売・渡邊恒雄会長ら
12月 2日:読売・渡邊恒雄会長ら
12月16日:時事・田崎解説委員、読売・小田論説委員長、
毎日・山田孝男専門編集委員、朝日・曽我政治
部長、NHK・島田敏男解説委員、日本テレビ
・粕谷報道局長ら
19日:読売・渡邊恒雄会長ら
20日:産経・清原会長、熊坂社長ら
26日:報道各社の政治部長ら
──砂川浩慶著
『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
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このなかでダントツに多いのは、読売新聞の渡邊恒雄会長で、
実に6回も会食しています。何しろ相手は超多忙の総理大臣であ
り、年に2回以上も会っている人は相当親しい人であるというこ
とになります。それも単に会うのではなく、会食なのです。官邸
側が場所を用意して招いているわけで、その時間は最低でも数時
間に及ぶことになります。逆に1回もないのはNHK。NHKの
幹部とは、一度も食事をしていないのです。
会食の場所も出ているので少し上げてみます。丸の内パレスホ
テル東京内の日本料理店「和田倉」、赤坂のANAホテル内の日
本料理店「雲海」、帝国ホテル内の中国料理店「北京」、芝公園
のフランス料理店「陽明殿」、同フランス料理店「レストランク
レッセント」、永田町の山王パークタワー内の中国料理店「聘珍
楼」などです。料亭などはほとんどないのです。接待というより
も、ビジネスディナーという感じのスタイルです。
なかでも突出して回数が多いのは、読売新聞の渡邊恒雄会長で
実に6回、3回食事しているのは、産経新聞の清原武彦会長、フ
ジテレビの日枝久会長、それに時事通信解説委員の田崎史朗氏で
す。ビジネスパーソンでも、1年間に3回会って食事をするとい
うのは、相当親しい人に限られます。まして6回は異常です。
この夜の会食のスケジュールでは、同席者がわからないことが
あります。2013年3月22日に、安倍首相は、宿敵とされる
テレビ朝日の早河洋氏と「首相公邸」で会食していますが、同席
者が注目です。この2人は、2014年7月4日にも会っていま
すが、そのときも同じ人が同席しています。
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◎13年3月22日/首相動静
【午後】7時18分、公邸。テレビ朝日の早河洋社長。幻冬舎
の見城徹社長らと食事。菅幹事長同席。9時11分、東京・富
ヶ谷の自宅。
◎14年7月 4日/首相動静
【午後】6時55分、テレビ朝日の早河洋会長兼最高経営責任
者(CEO)、吉田慎一社長、見城徹幻冬舎社長と食事。9時
4分、東京富ヶ谷の自宅 ──マーティン・ファクラー著
『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』/双葉社
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テレビ朝日は、この会食以降、安倍政権に対する批判的対応を
改め、安倍べったりになるのですが、13年22日のときは菅官
房長官が同席し、両方の席には幻冬舎社長が同席しています。見
城社長と安倍首相は大変親密なことで知られており、安倍首相と
早河洋CEOの間を取り持ったのではないかと思われます。
権力者がメディア幹部とコミュニケーションを持つこと自体は
とくに問題はないと思います。問題なのは、メディアの方です。
彼らは、この首相主催の会食に呼ばれただけで、どのメディアの
幹部もメロメロになってしまい、メディアが本来するべき政権の
監視を弱め、批判を封印してしまったことです。
──[メディア規制の実態/016]
≪画像および関連情報≫
●安倍首相とメディア幹部の会食「読売」突出 5年で38回
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国政私物化疑惑にまみれ、改憲への執念を際立たせている
安倍晋三首相と大手メディア幹部との会食が、今年も15回
に及びました。首相は5月に2020年までの9条改憲構想
を「読売」紙上で明らかにしましたが、同社幹部との会食は
8回、第2次安倍政権以降の5年間では38回と突出してい
ます。「読売」が首相の改憲発言を掲載したのは、5月3日
付でしたが、インタビューが行われたのは4月26日。その
2日前には首相と渡辺恒雄「読売」グループ本社主筆、イン
タビュアーとなった前木理一郎政治部長とが飯田橋のホテル
内の日本料理店で2時間にわたり、会食しています。
「読売」インタビューは「憲法施行70年を迎えた。改め
て憲法改正にかける思いを」という質問から始まり、首相に
言いたいことを言わせるもので、報道機関としてのあり方が
問われました。国会では、改憲発言の意図について野党から
質問を受けた安倍首相が「読売新聞を熟読して」と答弁し、
国会軽視と問題になりました。
そのインタビューの裏では、社のトップとインタビュアー
が首相と会食してすり合わせをしていたのではないかと思わ
せる行動は報道機関失格です。「読売『御用新聞』という汚
名」という見出しの週刊誌記事まで出ました。ちなみに、渡
辺主筆は、5年間で18回、今年だけで5回も首相と会食を
繰り返しており、特別の親密ぶりが問われています。
http://bit.ly/2BxR2Rn
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読売新聞/渡邊 恒雄会長