2018年01月23日

●「私も言論の自由がある/安倍首相」(EJ第4688号)

 安倍首相がTBSの番組に出席し、街角インタビューのVTR
に対してクレームをつけたことを国会で指摘されたとき、安倍首
相は、次のように答えています。
─────────────────────────────
         私にも言論の自由がある
              ──安倍首相
─────────────────────────────
 この発言を聞く限り、安倍首相は「憲法というものがわかって
いない」といわざるを得ないのです。言論の自由というものは、
憲法によって国民に保障されているものであり、権力者によって
抑圧されることがあってはならないものです。何を勘違いしてい
るのでしょうか。上記の発言に対し、古賀茂明氏は「これは『迷
言』どころかブラックジョークである」と述べています。
 安倍首相はTBSの番組に首相(権力者)として出演していま
す。安倍晋三という一個人としてではないのです。それがわかっ
ていて上記の発言です。古賀茂明氏は、安倍首相に対して次の疑
問を抱いています。
─────────────────────────────
 もしかすると、安倍総理は権力者に自由を保障しているのが憲
法と勘違いしているのではないか。だとしたら、「憲法は権力を
縛るものだ」という立憲主義とは正反対の思想である。安倍総理
がそんな人間であるというだけで、総理不信任の十分な理由にな
るのではないか。    ──古賀茂明著/『日本中枢の狂謀』
                         講談社刊
─────────────────────────────
 安倍政権は、「放送法」というものを正しく理解していないよ
うにみえます。知っていてそうしているのか、知らないでやって
いるのかはわかりませんが、報道機関に堂々と報道の自由を制限
する文書を届けるという先進国ではあり得ないことをするところ
をみると、正しく理解していないものと思われます。ここで20
14年11月20日に在京テレビキー局に届けられた文書のなか
の自民党の要望事項を再現します。
─────────────────────────────
 ・出演者の発言回数及び時間等については公平を期していただ
  きたいこと
 ・ゲスト出演者等の選定についても公平中立、公正を期してい
  ただきたいこと
 ・テーマについて、特定の立場から特定政党出演者への意見の
  集中などがないよう、公平中立、公正を期していただきたい
  こと
 ・街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、ある
  いは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中
  立、公正を期していただきたいこと
─────────────────────────────
 この部分だけで、「公平」「公正中立」「公正」という言葉が
7回も出てきます。文書全体では、これらの言葉は実に11回も
出てくるのです。もし米国で公権力がメディアにこんな文書を送
り届けたら、大騒ぎになります。トランプ大統領がメディアに対
して「フェイクニュース」というレベルではないのです。
 ところが、在京テレビキー局は、公権力から、これほどひどい
恫喝文書を受け取りながら、どこの社も静観して、報道も抗議も
していないのです。ここで重要なことは、放送法第4条には「政
治的に公平であること」とはありますが、「中立」とは書いてい
ないことです。それなのに文書では「中立」という言葉を何回も
使っているのです。
 立教大学社会学部メディア社会学科教授の砂川浩慶氏の本には
この自民党による在京テレビキー局への文書に関する連名の緊急
メッセージが掲載されています。この緊急メッセージは、次の7
人の連名です。
─────────────────────────────
   砂川浩慶立教大学社会学部メディア社会学科教授
   岩崎貞明放送レポート編集長
   石丸次郎氏/ジャーナリスト/アジアプレス
   岸井成格毎日新聞特別編集委員
   坂本衛氏/ジャーナリスト
   原寿雄元共同通信編集主幹
   水島宏明法政大学教授/ジャーナリスト
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
 この緊急メッセージには、自民党の「お願い文書」の問題点を
述べていますが、長いので以下に要約します。
─────────────────────────────
 1.「中立」という誤った考え方を放送局に要求している
   対立する両者から等しく距離を置き、どちらの味方もしな
   い「中立」は言論報道機関が必ず守るべき原則ではない。
   政党Aが独裁政治を目指して政党Bと対立すれば、民主主
   義社会の報道機関は政党Aを批判して当然である。
 2.放送の「政治的公平」を「番組単位」で要求している
   放送法が放送局に対して求める「政治的な公平」とは、本
   来単一番組において実現を目指すべきものではなく、一定
   期間に流された放送番組全体の中で判断すべきものであり
   これは、総務省の過去の答弁からも明らかである。
 3.取材および報道における「公平中立」を要求している
   街頭インタビューに応える人々の声は、場所によって偏り
   が出て当然である。仮にそのインタビューの結果を放送局
   が操作し、政権与党政策への支持・不支持のバランスをと
   ればそれは事実を曲げた報道であり、捏造である。
      ──砂川浩慶著『安倍官邸とテレビ』/集英社新書
─────────────────────────────
            ──[メディア規制の実態/012]

≪画像および関連情報≫
 ●安倍民主党のあくど過ぎるメディア戦略
  ───────────────────────────
   自民圧勝が伝えられる衆院選。調子に乗った自民党がまた
  ぞろ、テレビ報道に報道圧力を加え始めた。2014年の解
  散総選挙では、安倍首相の側近である萩生田光一衆院議員に
  よる在京キー局への「圧力文書」の送付が発覚したが、今回
  は、自民党のネトウヨ議員・和田政宗参院議員がその先兵役
  をになっている。
   和田議員は選挙を間近に控え自民党広報副本部長に就任し
  たばかりだが、連日、テレビ局や番組名を名指しするかたち
  で、こんなツイートを繰り出しているのだ。「テレ朝社員で
  モーニングショー出演の玉川徹氏の印象操作が酷い。今日は
  日本人を馬鹿にするような発言も。「自民堅調」との世論調
  査に対し「安倍総理はやめなくていいんだ」。「森友加計問
  題は日本人は関係ないんだ」という発言をいずれも嘲笑しな
  がらコメント。論評の域を超え印象操作に近い発言が続く」
  「12日の報道ステーション、45分間の党首討論は何だっ
  たのだろうか。森友問題、前川問題(加計学園獣医学部新設
  について)に30分を割き、憲法9条改正について15分で
  全て終了。何か意図があるのだろうか。9条改正は必要だと
  しても、北朝鮮問題や経済政策など国民に直結する課題を全
  く議論させず」。「報道のTBSは完全に死んだ。総理の生
  出演。キャスターは質問で課題を明らかにする力の発揮のし
  どころであったが、そもそも質問力すらなかった。星浩キャ
  スターの外れたイヤホンから、強い口調のディレクターの指
  示。総理の話を遮りまくり」。   http://bit.ly/2zvLd70
  ───────────────────────────

マスコミ懲らしめ発言/安倍首相.jpg
マスコミ懲らしめ発言/安倍首相
posted by 平野 浩 at 00:00| Comment(0) | メディア規制の実態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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